注文住宅

I邸 / 断面操作でスキマをつくり広がりと光を得る

実施エリア:

東京都

延床面積:

125平米

内容:

狭小地で快適な居住性を確保するためには、断面構成の工夫が必要であるが、吹抜けを設けると、面積が削られ、要望のスペースが確保出来なくなる。そこで今回は、最大限に面積を確保しながらも、一部の床を少し上下させることによって、天井の高い部屋と低い部屋を設け、面積を削らず高い天井のリビングダイニングを確保している。また、床の上下によって生まれた隙間を利用して、陽光の差込み口、風の通り道、眺望用の窓、テラスを設け、明るく開放的なリビングダイニングとしている。各箇所に設けられた窓は、敷地の法的条件から、今も将来的にも確実に視線が抜ける方向に開けられ、そして道路や隣地の建物から見られない少し高い位置に調整することによって、カーテンを閉めず常にオープンに出来るようにしている。このことが、閉塞感を無くす大きな効果となっている。各個室は、リビングと断面的なはなれ具合によってプライバシーのレベルを変えている。書斎や子供部屋はリビングと近く、スキマを通して繋がっているのに対し、主寝室とゲストルームは、距離は近くても床で仕切り、完全にプライバシーを確保している。

森吉直剛

クライアントからのご要望として、必要諸室、部屋の大きさ、収納の容量などをお聞きします。これらは重要な「必要条件」です。それに対し私からは理想の住まいについてもお聞きしています。それはクライアントが思い描く生活シーンの中に潜んでいます。たとえば「自然と一体となった」や「家族の気配が感じられる」とか「友人と楽しくすごす週末」などです。私からも新たにイメージを提案して議論していくうちに、クライアント「オリジナルの生活シーン」がみえてきます。それを実現することを「十分条件」として設計をはじめます。まず必要条件を満たしてから十分条件も確保していこうとするのが通常かもしれませんが、逆に十分から必要に戻っていくほうが、クライアントにとってより良い住まいができあがる場合もあります。必要諸室は、子供の成長など時間の経過で変わっていきますが、オリジナルの生活シーンはなかなか色褪せるものではありません。設計中は、必要と十分の兼ね合いを、模型や図面を元に、クライアントと何度も対話し、確認しながら決めていきます。最終的にクライアントとの共作として、必要機能を満たしながら、クライアントオリジナルの生活シーンのための「環境」を、現場監理も通してつくりあげていくことが私の役割であると考えています。