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設計、監理、インテリア、エクステリア(庭・外構)を担当
都立大学駅に近い高台の住宅地に建つ、ふたりの小さい子供と夫婦のための家である。敷地は緩い傾斜のある道路の交差点にあり、妻側は比較的交通量の多いバス通りに面している。地盤面は道路から半階ほど高いところにあり、建物規模と高度斜線から、計画当初より半地下+地上2階の構成で検討が進められた。
案をつくる中、子供部屋の位置がなかなか決まらなかった。リビングを最上階に置いた時が最もヴォリュームのある豊かな空間が得られることは了解して頂けたのだが、子供部屋を目の届くリビングと隣接した階に配置したいという気持ちも強かった。そうすると、一方では主寝室とリビングが離れてしまうことになる。終の住処とするならばこれらを隣接させるべきで、大変迷うところであったが、夫婦主体の家にするという結論に至り、最終案となった。
でき上がってみると素焼きの壺のようなシルエットの建物になった。妻側の亜鉛メッキでつくられた大きな出窓や玄関が外壁から飛び出している。長手は、妻側の出っ張った表現とは反対に、壁が穿たれたバルコニーがある。これらは、建物の外周に作られた中間的な領域であり、内部に光と風を導き、生き生きとした空間を作り上げるための仕掛けである。
たとえばいちばん上の壷の口にあたるところはトップライトで、リビング上部のスリットとの間に暑くなった空気の溜まるチャンバーを設け排気するようにした。その結果、温度差でドラフトが起き、上に向かったいい風の流れを作ってくれている。
正面の大きな出窓は脇に縦長の通風窓を開け、キッチン横にはルーバー窓も設け、テラスの大きな窓からそれぞれ対角上に風が通るよう工夫した。今年の夏は酷暑の数日を除き、冷房なしで過ごすことができたそうである。
幼稚園に通うお子さんはこの出窓から通りを覗くのが大好きだそうだ。
そしてこの窓はバス通りへ内部の気配を感じさせ、町とのコミュニケーションの仕掛けともなっている。建主はクリスマスにツリーを飾ることを楽しみにされている。
この家は設計の過程で必要なことを見つけ、そこに形を与え、そのまま具体化させていった結果である。最後に現れた形は、少しユーモラスであった。
(新建築住宅特集より抜粋)
写真:小川重雄
写真:平井広行
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:平井広行
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:小川重雄
写真:平井広行
写真:平井広行
写真:小川重雄
写真:平井広行
写真:平井広行
写真:平井広行
写真:小川重雄
写真:平井広行
写真:平井広行
写真:小川重雄