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密集した住宅地の中に、密やかに自然と寄り添う路地のような庭をつくりました。
四季を通じて光と緑を楽しませてくれる路地庭は、日々の暮らしを活き活きとさせてくれています。
ご主人が青年期まで住まわれていた実家の建て替えを希望されました。イラストレーターの仕事をされているご主人のアトリエと、長く住まわれていたお父さんと同居するご夫婦の終の棲家の設計が要望となります。
敷地は名古屋市の北の端で、周囲はずいぶん前に区画整理された込み合った住宅地です。イラストレーターのアトリエと住まいをパラレルに並べて、ハザマに細長い中庭を配置しています。外からは想像がつかない光と緑が奏でるゆたかな庭ができました。
アトリエを40フィート(12m)の海上用コンテナに納め、対面には開放的なリビングダイニングキッチンがあります。午前中はコンテナに当たる陽光が反射して、ダイニングを間接的に明るく愉しませてくれます。正午には南北軸の路地の上からの陽光が緑の庭へ影を落とします。午後からは木漏れ日がリビングのフロアを彩ります。
アトリエのデスク前のスリット窓からは、実をついばむ小鳥を間近に観ることができて喜んでらっしゃいます。自然に接しながらの仕事場にあこがれを持たれていたクライアントに理想的な環境を提案できました。
並んだ空間の間に緩衝材のようにデザインした庭は、身体的・心理的にゆたかな生活をつくり出しています。
陽光が与えてくれる光の恵みと路地庭に映える緑の潤いは、日々の自然(光・緑・風)の変化や四季を通じてのゆたかさを感じてもらっています。新緑、花、実、紅葉、落ち葉、枯れ木、雪景色・・・が大きな開口部から室内と一体となる様子が愉しみだそうです。
始めは当時住まわれているアパートにお邪魔して現況をお聞きしました。使い勝手・物の量・良い点・不便な点・・・など生活の様子をヒヤリングさせてもらいました。仕事場と生活が混在し気持ちが落ち着かない空間だと言われました。
周囲は同じように区画整理されている敷地の間口は8.5m奥行きは20mである。この正面からのファサードデザインを素材・形・色での表現にこだわり、スチールのコンテナ・木造板張りの母屋・庭を囲むコンクリート、その正面外観の奥にはデザインに伴う機能的なゾーニングをクライアントに提案しました。デザインと機能がコラボレーションしたプレゼンテーションを気に入ってもらい設計が進んでいきました。
施工が始まったころにお父さんが亡くなられるという悲しみもありましたが、お母さんとお父さんの仏間として路地庭の奥の間を使われるという展開で順調に進めて頂いたことに感謝いたします。ここは客間として娘さんにも好評な空間となりました。
以前のお宅にあった障子や欄間が記録として記憶にも残ります。