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設計、監理を担当
敷地は八ヶ岳の東側裾野にあり、高原の明るい林が南に向かって緩やかに下っています。標高1700mを超える寒さの厳しい土地ですが、四季それぞれに美しく、晴れの日も、雨や霧の日も、そして雪に包まれる日も新鮮で素晴らしい景色です。
この斜面に「主屋」と「外の居間」を配置し、その間をテラスでつないでいます。道や隣家に面するこの場所に、角度を振って二棟を配置することによって視線を方向付け、プライバシーを守りつつ、周囲に広がる眺望を享受することが可能となりました。
「主屋」は、単純な矩形平面に南へ上がる片流れの屋根を置き、南と東に「窓辺の空間」を付加しています。「窓辺の空間」は、1階と2階、そして階段の踊り場にあり、生命力に溢れている自然を様々な高さから眺めることができます。
「外の居間」は、外気に開かれた片流れの小屋です。朝のコーヒー、雨の日の読書、庭仕事の準備など、都会と離れた山の暮らしを楽しむ場として活用されています。
都会の生活と山の暮らし、その両方を日常的に楽しむために計画された山の家です。
設計を始める前に、この場所のもつ個性をしっかりと把握するため、施主と一緒に繰り返しこの地を訪れました。その期間は一年になりましたが、春夏秋冬それぞれの特徴を見出すことができました。現地で施主とハシゴに登って景色を確認しあったことは楽しい思い出ですし、このプロセスを共有したことで、その後の設計はとてもスムーズに進みました。
主屋の外観です。(撮影:小川重雄)
主屋(写真中央)と「外の居間」の外観です。(撮影:小川重雄)
主屋(右)と「外の居間」(左)の間にテラスがあります。(撮影:小川重雄)
主屋(手前)と「外の居間」(奥)の写真です。景色を眺める大きなガラス窓と、風を通す板戸を組み合わせています。(撮影:小川重雄)
ウッドデッキ材によるテラスが、主屋と「外の居間」をつないでいます。主屋の扉を開けるとそこがキッチンですので、テラスや「外の居間」に料理や飲物を簡単に運ぶことができます。(撮影:小川重雄)
「外の居間」には作り付けのベンチを設けました。屋外用電源も備えていますので、ホットプレート等を活用することもできます。(撮影:小川重雄)
居間の正面に大きな開口があり、雄大な眺望が広がります。 手前左は2階に上がる階段です。窓の上のスノコ天井は、1階の薪ストーブの暖気を2階へ送ることと、どの階にいても夫婦のお互いの気配を感じられることを意図したものです。 標高が高く、冬は寒さの厳しい地域ですが、高い断熱性能とこの窓からの日射取得により、薪ストーブをつけなくても外気温マイナス10度の日に室内気温10度程度になっています。(撮影:小川重雄)
階段の踊り場も小さな居場所としてつくりました。 様々な高さに視線が向かうように窓を設けています。(撮影:小川重雄)
居間からテラス方向を見た写真です。ベンチの後ろにある造作棚によって、キッチンの洗い物が丸見えにならないよう配慮しています。写真右は薪ストーブで、その背後のレンガ積み壁に熱を蓄え、壁の向こうにある脱衣・洗面スペースを温めるようにしています。(撮影:小川重雄)
薪ストーブの背面にあるレンガ積みの壁は、熱を蓄え、壁の向こうにある脱衣・洗面スペースを温めます。 写真では脱衣・洗面スペースと、その左に浴室の扉が見えていますが、引戸を閉めると居間からは見えなくなります。(撮影:小川重雄)
階段の踏板は、一段ごとに異なる材種と仕上げにしています。素足で歩いて肌触りの違いを楽しんでいます。(撮影:小川重雄)
階段の手摺は、無垢材でつくられたオリジナルデザインです。原寸の模型を幾つもつくり、気持ちよく握るかたちを探求しました。(撮影:小川重雄)
階段は単なる上下移動の場所ではなく、大切な居場所の一つと考え、踊り場を広めにしています。1階と2階の中間の高さで景色を楽しむことができます。照明スタンド等を置いてくつろげるように、あらかじめコンセントを用意しています。(撮影:小川重雄)
階段の踊り場から1階と2階が見えます。 2階の腰壁は収納棚となっており、上の部分の背板を抜いて飾り棚としています。そうすることで、2階が広く感じられますし、置き物等を飾って楽しく生活できると考えました。(撮影:小川重雄)
2階のベッドスペースです。ベッドに寝ている時に、階段の腰壁が開放感を妨げないように、腰壁の上部の背板を抜いて飾り棚にしています。 杉板壁の左に見えるのは何でも入る大きな収納スペースですが、屋根裏部屋のようで雰囲気がよく、親しい友人がここに泊まることもあるそうです。 右側の大きな窓の周りは床が一段下がっています。ここに腰をかけて、南に向かってゆったりと下る斜面を眺められるようにしたのです。(撮影:小川重雄)
2階にあるもう一つの居間です。1階の居間は、周囲の樹木の樹冠の下になりますが、2階の居間は葉の茂る樹冠に包まれます。山の中は、「視点の高さ」によって見える景色が大きく変わります。この山荘は、その景色の違いを楽しめるように2つの居間を持っています。 また「視線の向き」によっても、青空を見上げる、ゆったりと下る南斜面を見下ろすなど、景色が変わります。窓際の床を一段下げることで、ここに腰をおろして美しい大地を楽しめるようにしています。(撮影:小川重雄)
腰から上にサワラを張った香りの良い浴室です。浴槽から下はハーフユニットを採用しています。窓には目隠し用の板戸を嵌めてプライバシーを守ることもできます。天井点検口もサワラでつくり、目立たないようにしています。(撮影:小川重雄)
外観の夜景です。深い軒の下、二層の高さの大きな窓が周囲を暖かく照らします。(撮影:小川重雄)
外観の夜景です。 シンプルな大屋根の下、二方向に突き出した窓辺の空間が行灯のように周囲を照らしています。(撮影:小川重雄)