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設計、インテリアを担当
観光地から離れた静かな別荘地に建つ、山荘の改修計画です。
森と人が住むエリアの境界に立つ山荘は、間に人工的なものが何もなく、ただ緑だけを眺めることができる特別な立地でした。
既存の建物は大きな切妻屋根にもかかわらず、内部は水平天井のフラットな空間でだったため、天井を撤去し吹抜け空間をつくりました。
大屋根に包まれた空間で、どこにいても森と向かい合うことができます。
窓は人の視線の動きに合わせて横長のプロポーションとし、パノラマに広がる森の景色を切り取りました。さらに掃き出し窓とはせず、歩道を散歩する人の目線を切り離し、純粋に森だけが見えるようにしています。
窓辺のベンチでは森を背に親しく語らい、少し深い窓台では森を横目に本を読んで過ごす。
屋根の勾配に沿って上った階段の先には読書机を設け、静かに森を眺めるパーソナルな場所としました。
感染症の影響により多数で集まることへの懸念から、人々は箱から解放され、より自由を求めて暮らし方や働き方が変化しています。日常の喧騒から距離を置き、特別に何をすることもない、特別な余暇の時間がここに流れています。
冬場は雪が50cm程つもり、-10℃程度の日もあるため、室内を暖かく保つ断熱をきちんとしたいというのがきっかけ。さらに不在時に換気ができず、室内にカビが生えることも悩みでした。親子とも本を読むのが趣味なので、のんびり本などをよめるスペース、アアルト自邸のような家をイメージしていました。
目の前に広がる森の景色が魅力的だったので、森を見ながら本をよんだり、家族団欒の時間を過ごすイメージがすぐに湧きました。人の視線の動きに合わせて横長の水平窓をとり、窓に沿ってベンチや読書棚、広窓台など生活に関わる家具を配置しました。
寒冷地にあるため、省エネ基準に適合するようだけの断熱材を入れ、サッシもLow-E複層ガラスに全て取り換えています。
日本でも硫黄の強い草津の温泉を引いているため、浴室の換気設備は業務用のファンを取付けました。
不在中の湿気が悪さをしないように、床下に土間コンクリートを敷き、壁掛けの除湿器を取付けました。
床暖房や空気を循環させる天井ファンなど、良質な熱環境となる工夫をしています。
さらに1m以上積もる雪の重さに耐えられるよう、構造補強も行っています。
断熱やサッシの個所数、熱源など熱環境に関わる性能をどこに設定するかを何度も議論しました。当初コストアップの要因となるため、抑えて計画していましたが、中途半端なものよりも快適に過ごせる別荘を、というお施主様のご意向によりサッシは増やし、土間コンクリート打設などに踏み切ることができました。
結果的に水平に広がる景観や-10度でも快適な室内環境をつくることができ、よかったと思っています。
雪が降る冬の間は工事ができず、春になってからの着工となりました。
その間に詳細の納まりを確認することができ、精度の高い計画をすることができました。
シンプルなインテリアの中にフリッツ・ハンセンのペンダントライトがポイントになっています。
観光地から離れた静かな別荘地に建つ、山荘の改修計画。 既存掃き出し窓部分を窓に変更することで外観もすっきりとした印象にしました。
窓際にはベンチを設け、緑を背に家族が集まる場所としました。ベンチと同じ形状のオットマンは並べるとベンチと一体に使うことができます。
梁の上部のライトが天井を照らし、夜間も暖かい光に包まれた空間を演出します。
開放的な空間を柱が自然に空間を分けています。和室の入り口は建具で閉めることができ、プライベートな空間としても使えます。
エントランスからラウンジに入ると目の前に緑の風景が広がります。深い窓台には本や植栽を置くことができます。
階段の下に飾り棚を設置してスペースを有効活用しています。
和室とランドリー以外は扉を設けず、すべてつながった回遊できる間取りです。
サッシ手前の木柱により、サッシの冷たい印象を軽減しています。
コンパクトでシンプルなキッチンです。山の上の寒冷地のため、別荘不在時の湿気対策として除湿器を設置しています。
階段下のスペースを利用し、オープンな収納を設けています。 和室とランドリー以外は扉を設けず、すべてつながった回遊できる間取りです。
廊下延長線上にある和室の壁にも窓があります。和室建具を開けていれば、玄関からも外の景色が見えるようになります。
ダイニングテーブル上部のフリッツ・ハンセンのペンダントライト以外の照明は、デザインの主張が少ないものを光の演出を楽しめるよう、効果的に配置しています。
シンプルで清潔感のある洗面・トイレです。洗面とトイレの間仕切りをなくすことで、明るく解放的な空間にし、掃除もしやすくしています。
開放的な雰囲気を損なわないよう、階段手摺は最低限の木材で構成しました。
ロフトから一階を見る。森側は吹抜けとし、大屋根に包まれた環境をつくった。
森側は長手方向を通して吹抜けにすることで気積を最大限に広げ、大屋根に包まれた森と対峙する空間としました。 既存の建物は、屋根に積もった雪を落とすための大きな切妻屋根にも かかわらず、内部は水平天井のフラットな空間で、さらに森の景色も構造壁によって塞がれ、この土地に備わる豊かな環境との良質な呼応を感じられない状態でした。 切妻屋根に覆われたおおらかな環境と、眼前に広がる森の木々との関 係を整え、既にある環境の性質を最大に顕在化する改修を考えました。
ロフトの読書スペースからも外の景色を楽しめます。吹抜け上部のシーリングファンにより、暖かい空気を室内に循環させています。
ロフトの屋根下のスペースに棚を設置し、大容量の収納にすることで、空間を有効活用しています。
大きな窓から見える光が、室内の暖かな空間を想像させます。森の雰囲気と調和するよう、ライティングにもこだわりました。
森と向かい合う別荘の様子。別荘地の最奥に位置し、人工的なものがなにもない特別な立地です。
ドローンで上空より撮影した写真です。別荘が山の大自然に囲まれた立地であることがよく分かります。