2023/12/20更新0like4686view

著者:SUVACO編集部

【いい家・オブ・ザ・イヤー2023】今年支持された住宅事例TOP15を発表!

2023年、SUVACOに新規公開された住宅事例は約830件。そのなかでも、特にユーザーからの反応が大きかった人気事例TOP15をランキング形式でご紹介します。

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家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOがご要望に合ったプロを提案します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

SUVACO「いい家・オブ・ザ・イヤーとは?」

SUVACOにはこの1年間に登録された住宅事例のなかから、サイト閲覧ユーザーによる「いい家!数」や「お気に入り数」をもとに、支持の高かった上位15事例を発表しています。

まずは、1位〜10位までの住宅事例から順位順に発表します。上位10位までは事例を手がけた専門家のコメントも載せていますので、併せてお楽しみください。

【1位】光散る窓際[エキップ]

建築関係の仕事をしている夫婦のためのマンションリノベーション。
3面採光・広いルーフバルコニーある住まいを活かしきれていなかった既存の間取り。リビングダイニングをルーフバルコニーとつながる北面に配置し、北だけではなく東西面の窓から、一日を通して光を満たしてくれる空間になりました。

キッチンや浴室・トイレを中心に、玄関~収納・ウォークスルークローゼット~寝室~書斎~LDK~玄関へぐるりと回遊できる間取り。

収納と一体化した明るく広々とした玄関土間は、もとは個室だった箇所の窓も取り込み、リビングへの表と寝室への裏動線の両方にアクセスが可能に。この裏動線上にある、寝室から水まわりへの通路をウォークスルークローゼットとし、洗面コーナーとの間には洗濯機を配置。物干しや片付けができるとんでもなくスムーズな動線に必見!

引き込み戸は、光と風を通すために開けたり、目隠しのために閉めたり、フレキシブルに空間を操作できます。圧迫感を軽減させるためのセットバックしたテレビ側の壁、ダクトなどが通るリビングの天井は羽目板張りで下げるなど、さりげない工夫も満載です。
株式会社エキップ 柳本英嗣さん

株式会社エキップ 柳本英嗣さん

設計

南以外の3面全てに窓があるという面白い条件の一室を、この物件ならではのポテンシャルを引き出すことから計画が始まりました。

パイプスペースが家の内部のやや半端な位置に2箇所あり、ある種の制約がありましたが、それを逆手に取って、中央に水まわりを集めてその周囲を回遊するプランが思いつきました。それによって、窓に面する空間への動線が2つでき、全体の使い方の自由度が増しました。

骨子が決まったところで、風の抜け方や光の入り方、生活動線を加味していくと、必然と思える配置が見えてきてこのようなプランとなりました。
通路部分も何かしらの役割を持たせ効率よくスペースを使いながら、おおらかな住まいとなったように思えます。

【2位】「斜め40do猫の家」猫が遊ぶ大きなテラスを包む住まい~秘密基地・おこもりスペース~[小木野貴光 | 小木野仁美]

もともと2世帯住宅だった住まいを、夫婦ふたりと愛猫2匹のために改めて見直す検討を始めた夫婦。リノベーションも視野に入れていましたが、熟考の末「価値観にあった家づくりが実現できる」建て替えという方向に。

建物を平面軸から斜め40度に振ることで、隣家の窓から中が見えない構成に。2階テラスは、道路から引きがあることでプライバシーが守られています。また、テラスに向いたリビングの大き窓は、カーテンをしなくても視線が入らない快適な室内に。ハイサイドライトや、間仕切りガラス戸や格子戸から光が部屋から部屋へ行き渡ります。

室内の梁や母屋などの構造材が見える天井の小屋組みは、大工が腕によりをかた力作で、施主1番のお気に入りです。

そして、家づくり当初からの希望だった、愛猫への配慮も万全です。
梁の上が全面キャットウォークになっていて、キャットステップと合わせれば、猫にとっての回遊動線となり、猫の楽しめる仕掛けと居場所が計画されたリビングになっています。
猫が陽だまりを好むのは、暖かくて気持ちがいいだけでなく、毛についた雑菌を紫外線に当て殺菌目的があり、窓辺からの外の景色は、好奇心旺盛な猫にとってたくさんの刺激を受けている、と言われています。猫の健康や知的好奇心をも満たしている、人にも猫にも健全な住まいと言えますね。


(関連記事)持ち家をリノベ?建て替え?老後を見据えた夫婦と猫のための家づくり【成約ストーリー】
株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所 小木野貴光さん

株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所 小木野貴光さん

代表・建築家

老後を猫と楽しく暮らしたいという「施主の個性」と、住宅密集地ながら風通しが良い変形敷地という「場所の個性」を素直に読み解いた住宅です。猫と人それぞれの居場所と遊び場所が、家の中のあちこちに有り、その居場所を美しく柔らかい光と風・プライバシーに配慮しつつ眺望も確保した窓が繋ぐ、居心地の良い家です。

施主は、年齢を重ねる事での変化を心配していましたが、老後を見据えたバリアフリー設計、移動しやすく多様に使える間取りが、先々まで柔軟に暮らせる家になっていると実感されています。お伺いすると、猫2匹があっちで遊びこっちで遊び、その様子を微笑ましく眺めている施主の姿。この家での暮らしを猫も人も満喫しています。

【3位】蘭越の高楼[大田 司]

ウインタースポーツと植物を愛する施主が関東圏からの移住のために計画。1階はガレージやスキールーム、2階はゲストのためのフロア、3階がLDKと寝室・浴室からなる住まい。

緑豊かで四季の移ろいが美しい立地ではありますが、また厳しい自然もあることは容易に想像ができます。自然に対してその地に間借りするように、充填断熱と外側をくるむ附加断熱で高断熱な環境の建築です。

ガラスの壁でおおわれたような外観は、夏は涼しく冬は暖かい環境とするため、建物の北側以外の三方向の庇やデッキで夏の直射日光を遮り、冬の日光では室内を満たし、吹き抜けを介して、階段室から塔屋まで重力換気によって風を通した心地よい空間です。

自然と対峙するのではなく、受け身で流しながら、さらりとその恩恵を最大限に享受して空間に落とし込む。なかなかの策士ではないでしょうか。
DAIDA DESIGN STUDIO 大田 司さん

DAIDA DESIGN STUDIO 大田 司さん

建築家

計画地はニセコの山々を臨む緑豊かな場所です。この雄大な景色を住まいに取り込むことが大きなテーマとなりました。それを実現する大きな開口部を持っていますが、LDKを中心として周囲にテラスやサンルーム、水まわりをぐるりと配置することによって、外部との距離を取りながら安心して過ごせる場所となっています。

テラスや大きな軒は四季の日照調整を行い、屋上まで伸びる階段室は風の塔となって、室内に気持ちの良い風を取り込みます。内外装には道南杉や素朴な表情のセメント系の材料を用い、風景に映えながらも環境に馴染んでいく姿を意図しました。

【4位】鶴瀬の家 温熱環境を整え、住み心地をよくするフルリノベーション|改修[後藤智揮]

子育てがひと段落した夫妻がこれからの暮らしに合わせ、最上階・角部屋の築20年のマンションをフルリノベーション。

屋上階で見晴らしが良い一方、日当たりが良すぎて夏暑く、ドアストッパーが壊れるほどの風が吹くという温熱環境の問題が。ウレタンの断熱躯体や、窓はハニカムスクリーンや障子を取り入れ日差しをさえぎり、砂しっくいの天井・壁、杉や檜(ヒノキ)の無垢床などの自然素材で調湿するといった合わせ技により、いつでも柔らかい光が室内に満ちて穏やかな風がよう抜けるになりました。

また、収納量や外の景色が見えないキッチン、くつろげる空間がないといった悩みにも、居間(LDK)の見晴らしのよい窓を活かし、オープンキッチンや逆梁を利用した小上がりを設け、それぞれがゆるやかにつながる空間に。明るい室内は、天井や壁の砂しっくいのコテ跡が美しく映え、外だけでなく室内を見渡しても楽しめる住まいとなっています。
後藤組設計室 後藤智揮さん

後藤組設計室 後藤智揮さん

建築家

最上階の角部屋のフルリノベーションです。子どもが巣立った後の夫妻のセカンドライフを視野に、脆弱だった温熱環境を向上させ、お互いの価値観を尊重しながら穏やかに暮らせる家づくりを心がけました。

工夫の1つは小上がりです。躯体の逆梁の高さを吸収し、居間と一体で利用できるようにしました。畳下は季節外の寝具や衣類のほか、捨てられない空き箱などの収納スペースとしています。

今年の夏(2023年)は厳しい暑さが長く続きましたが、
「玄関を開けると別世界で空気が澄んでいる。断熱や砂しっくいの調湿効果を実感した」
「ヒノキやスギの足触りのよさが嬉しい」
など、夫妻からは住み心地が大きく改善し、満足していると伺っています。

【5位】築57年、日本初女性建築家の意匠を継ぐ戸建リノベーション[NENGO]

日本で女性初の一級建築士の資格を収得、戦後の住宅改善に貢献した浜口ミホ氏の貴重な意匠設計を継承したリノベーション。

築55年の住宅にも関わらず、ほぼ間取りを変えずに引き継ぐことができたのは、経年変化を楽しめる素材を使い、時を経ても基本は変わらない生活に焦点を置いた住宅計画によるもの。地階がRC造で1・2階が木造、1階の床は地盤から1m上がった高床式の構造により、木造住宅の大敵である湿気の影響を受けづらく、建物が長くあり続けられたことが幸いしたという。

まるで古い絵画の修復技術のように、今ではもう作れない職人の手仕事で生まれたタイルやレンガ、貴重なサッシをそのまま受け継ぎ、色を掛け合わせた特徴的なポーターズペイントとの組み合わせが、今後またどのように味わいを増してゆくのか楽しみです。

生活が急激に変化した高度成長期にあった時代、そんな残り香のある空間の、軽やかでありながらも力強く根付いてきた佇まいは、こんな日が来ることを、してやったりとほくそ笑んでいるのかもしれません。
NENGO株式会社 吉﨑啓太さん

NENGO株式会社 吉﨑啓太さん

NENGO工務店

浜口ミホ氏の貴重な意匠設計をリスペクトし、らしさはなるべく残しつつ、かつ新しいご家族の生活にもフィットできるようにバランスをとりました。
苦労した点は、最初は限られた予算をどこに振り分けることが最適かの優先順位付け、施工が始まってからは修繕とお化粧のバランスです。
どの案件においてもですが、我々NENGOでは3つのタイムレスが成立する事を大切にしています。
「物理的にタイムレス、感覚的にタイムレス、感傷的にタイムレス」であることです。
今回はこのような貴重な物件の継承をお手伝いてきたことに感謝しつつ、これからも「究極のふつう」の街つくり、家つくりをしていきたいです。

【6位】設計士&料理家ご夫婦のLDK中心な住まい。[CLOCK]

大きな躯体柱や斜め窓のリビングなど、あまり見ない間取りのタワーマンションを物件探しからのワンストップでリノベーション。

既存の天井をなくし、高さは2.8mを確保。オリジナルのキッチンの天板は、モールテックスを採用し、それを側面まで塗り込みダイニングテーブルと一体化することでシームレスで際立つ美しさ。廊下へ続く快適な動線のウォークインクローゼットは、真ん中にある躯体柱を取り込んで、寝室とつながっています。86.9㎡と十分な広さがあるものの、それが分かりづらかった既存の空間。間取りの整理とスムーズな動線設計により、見ちがえるほどゆったりとした空間になりました。

また、空間の死角を利用して十分な収納を確保し、LDKの床材を貼り分け、広い玄関ホールには洗面台を配置するなど、既製品と造作家具をうまく合わせて、コストを調整しながらもほしいものは全部取り入れることができたとか!

施主と専門家お互いの得意分野と美意識の高さによって生まれた住まいです。
CLOCK株式会社 前田 響さん

CLOCK株式会社 前田 響さん

代表・設計デザイナー

ご主人が店舗デザイナーで、奥様は料理家という施主で
「家造りをするなら感性が似ている人と一緒に造りたい」
という想いで、物件探しからリノベまでトータルでCLOCKにご依頼をいただきました。
いつも施主とたくさん話し合い、共同プロジェクトで家造りしていくスタイルでしたので
店舗デザインをさせているご主人と一緒に造っていくのも特に問題なく進めることができ、施主、CLOCKのお互いの得意分野を活かしながら一緒に造ったこだわりの住まいになりました。

【7位】森と暮らす家〜四季折々の風景と一体となる静謐な空間|週末住宅〜[Studio tanpopo-gumi 一級建築士事務所]

自然石積みの壁が印象的なファサードと、四季折々の草花や木々が彩りをそえる植栽計画のアプローチを通り抜けて室内へ。リビングの窓は、ソファーに座った目線で中庭の景色が広がるように切り取られ、キッチンは森を見渡せる配置に。風景の中にあるような明るく開放的な水まわり、バードウォッチングを楽しむ場所でもあるワークスペースなど、室内のどこにいてもでも自然の中で過ごしているかのような住まいです。

石レンガや木パネル、一枚板のテーブルなどの自然素材を多く採用し、中庭の景色と自然の森とつながるリビングダイニングは、豊かな時を楽しめる場所に。自然の雑木林が残る恵まれたこの土地の魅力を最大限に引き出すために、施主と専門家が、短い期間かも知れませんが、長い時間を共有。どの部屋にいても外と変わらない感覚でいられるそんな場所となっています。

読み解くという作業は、大切な家族や友人、恋人に「何を送ったら喜ぶだろうか?」と、記憶を手繰りよせ、笑顔を想像しながら想いをめぐらせる、プレゼント選びに似ている。そんな目に見えない想いがたくさん詰まった週末住宅です。
Studio tanpopo-gumi 一級建築士事務所 坂口弘樹さん

Studio tanpopo-gumi 一級建築士事務所 坂口弘樹さん

建築家

住宅地にありながら自然の森を包容する立地の週末住宅。
豊かな自然環境との共生や周辺環境に調和するよう距離感・ボリューム感の検討を繰り返し、建物はできるだけ低く抑えボリュームも分散させた計画としました。

アプローチ庭-中庭-森へと徐々に深い緑に包まれ、四季折々の自然を感じながら過ごすことのできる場所。扉を開き森側へと歩みを進め、辿り着く先は森と一体となる静寂な空間。
風のそよぎ、木漏れ日、野鳥のさえずり…
ここでのひとときが、日常を離れゆったりと豊かな時を刻めるよう打ち合わせを重ねクライアント共に創り上げた住宅です。

完成後は美しい紅葉の写真や庭に訪れる珍しい野鳥の写真など…うれしいお便りをいただいています。

【8位】回遊&スキップの3階建て|クランク通りの家[白崎泰弘・治代]

海外生活で過ごした広いワンルームのような大きな空間と、間仕切りや壁ではなくスキップフロアで用いた開放感、そして、冬場でも暖かく過ごしたいという3つのリクエストを専門家に委ねた施主。

家の真ん中には3階まで続く階段があり、2階のLDKともつながっているため、天気に影響を受けない階段上のトップライトからの光が、住まい全体を明るくしています。

2階は広いワンルームのようですが、ダイニングとリビングを格子棚によって空間を分け、読書をするイメージでつくられた、本棚のあるセカンドリビングは、わずか2段下ですが、下がることでこもり感のある落ち着いた空間に。それぞれのお気に入りの場所と家族一緒に過ごせる場所がバランスよくレイアウトされています。

玄関ポーチや玄関ホールは、通りからは見えにくい構成とし、階段は集成材のパネルの間から見え隠れする室内の景色を楽しめる設計に。「五感を育むと六感か育つ」と言われていますが、この住まいで過ごす日々にはそんな感性を育てる魅力がありそうです。
シーズ・アーキスタディオ 白崎泰弘さん・白崎治代さん

シーズ・アーキスタディオ 白崎泰弘さん・白崎治代さん

建築家

この家では開放感を大事にしています。家の真ん中に3階まで至る階段を設け、2階のLDKとは仕切りを設けていません。さらには3階の子供室が2つともリビングの吹抜けに面しており、引き戸の室内窓を開放すれば、リビングとも一体化、子供室同士も一体化する仕組みとなっています。
自然光の降り注ぐ階段をいわば街路に見立てていて、階段を巡っていく際に立ち現れる集成材のパネルや箱によってスキップフロアの景色が楽しく見え隠れすることを意図しました。

お客様からは
「冬場は吹き抜けやスキップフロアによる寒さは全くなく2階リビングの床暖房のみで過ごすことができます。おかげで冬場はエアコンによる空気乾燥もなく快適でした」
との感想をいただいています。

【9位】大屋根まわりの眺居[池田雪絵+大野俊治]

伊豆高原の急斜面に建ち、大海原の壮大な眺めが魅力だった築40年の別荘をフルリノベーション。

室内から眼下に広がる海の風景、緑豊かな風景に囲まれた敷地の特性を活かして、LDKから、テラスから、ベッドルームからと室内のどこにいても、眺望を楽しめる計画がされています。温泉が出る2階の浴室も、壮大な眺めと開放感を味わいながら入浴を楽しめる空間に。友人たちが来ることも想定し、間仕切り壁で完全に部屋として分けるのではなく、既存柱や階段、室内窓から様子をチラリとうかがうことができます。

築年数で不安だった安全面は、耐震補強によって耐震性能Iwが静岡県の基準である1.2を上回るものとし、また断熱性能では複雑な形状の既存部分まわりも、断熱気密的に連続させて断熱等級4相当を確保、気密も高め、部分的に除湿や浸水対策も行い、永く集える快適な環境にランクアップ。

急な傾斜と雑草で庭へのアクセスが不自由だった外構は、LDKに続くテラスや高低差のあるさまざまな居場所をつくり、石敷きの通路を設え建物をぐるりと回遊可能に。都心で暮らす施主や愛犬が、思う存分自然を堪能できる庭が生まれました。

既存を活かし新しい可能性を生み出すリノベーション。建物の背景や構造だけでなく家族の思い出も落とし込む、専門家の繊細で誠実な工程がうかがえます。
池田雪絵大野俊治一級建築士事務所 代表・池田さん・大野さん

池田雪絵大野俊治一級建築士事務所 代表・池田さん・大野さん

建築家

傾斜地から望む大海原が圧倒的な、築40年の別荘のフルリノベーションです。
周囲の緑も豊かな敷地で、それらの眺めを大切に考えました。
大屋根の下のスキップフロアという既存の個性を活かし、複数家族で滞在を楽しみたい・自然に触れる経験を増やしたい、というご希望を反映して、内と外とにさまざまな居場所を散りばめて、立体的につなぎ直し、大屋根の下で共にいることを感じられるよう計画しました。

耐震改修で構造強度を大きく向上させ、断熱性能も確保し、デザインと性能の両立を追求しています。大切な思い出を引き継いだ別荘を大変気に入っていただいていて、季節毎にご友人ご家族と滞在を楽しまれている様子を何よりもうれしく思っています。

【10位】回遊性のある空間で動線もスムーズ、家族も笑顔[Standard Co.,Ltd.]

共働きで子育てにも忙しい時期、スムーズな家事動線と効率アップの快適な暮らしのために持ち家をリノベーション。家事動線のいい効率的な家づくり。

コの字のキッチンが住まいの中心。洗濯室でもある洗面所への家事動線も短く、窓の外の景色も楽しめて、家族の様子を伺うこともできる、まさにパーフェクトキッチン。LDK、収納、洗面所を回遊できるようにしたことで朝の忙しい時間帯もそれぞれがスムーズに支度できるようになって、家事効率も上がり、時短が叶って羨ましいくらいに良いことづくめ。

限られたスペースでの収納も、玄関コーナーにあるシューズインクローゼット、ウォークインクローゼットや、(子どもたちの細々したものが入っているという)LDKのベンチ収納ですっきりと片づけられた空間は、羨ましくも本当に驚き!適材適所のプランの底力を思い知らされます。

今の時代、何もかもがスピーディーで、流れるように一日・一週間・一か月が過ぎて行きます。「いつかああしよう、こうしたい」と思うことは色々ありますが、なかなかできないことが多く、仕事・子育ての渦中に勇気をもって家づくりにピョン!と飛び込んだ施主に拍手。「思い切ってリノベして本当に良かったです」こんな時代だからこそ、よし!と思ったタイミングで、が正解のひとつなのかもしれません。
株式会社Standard 左納一郎さん

株式会社Standard 左納一郎さん

代表

カフェのような空間にしたいというご要望から、あえてキッチンをリビングの中心に設けました。一見部屋が狭くなる印象を持ちますが、ダイニングをキッチンに吸収することで、限られた空間の中でも広々としたLDKを提案できました。

リノベーションならではの工夫として、コンロ・レンジフードなど、既存の設備を活かした製作となり、どのように納めるかがポイントでした。収納できるベンチや、カフェのバックヤードのようなパントリー、ワークデスクなどを設けました。キッチンを中心に、回遊性のある間取りが働くママの毎日を手助けしてくれています。

お客様のご要望を汲み取り、工夫を重ねることで居心地いい空間をカタチにすることができました。

【11位】吹抜けで家族が繋がる高性能住宅〜袖ヶ浦・蔵波台の住まい[平 泰博]

外観は、古い町並みとの調和を意識しながら、落ち着きのある佇まい。大きな吹抜けは、平面的にも立体的にも家の中心に配置することで、吹抜けを介して、人・日差し・空気 が回遊できる間取りとなっています。

1階の天高、通路の開口高、掃き出し窓の開口高がそろえられ、柱やアイアンの物干しバーをすっきりとした寸法にするなど、「洗練された華奢なデザイン」にこだわりを感じます。

構造の安全性は敷地の状況を観察し、気持ちの良い方角からの開口部や通風を計画することで、太陽の光や熱・風といった自然エネルギーを最大限に取り込む設計。そして、例えば手すりなど、既製品ではなく大工の手作りであれば、廃盤になることもなく、その後の部分的なメンテナンスも容易に。そんな、物理的な側面においてもサスティナブルでありたいと考える建築家・平 泰博さんは、「そういった当たり前の設計を誠実に」向き合うことを目指しています。

(根拠に基づいた)実証と(目に見えないデザインのような)感覚、家を考えるという普段はないスケールのものに、施主は難しさを感じるかも知れませんが、専門家の「当たり前」は、あっという間にそれらをシンプルに変換。

竣工後、植栽工事は施主が造園家へ依頼。送られてきた植栽完成写真を見ながら、「とても素敵な雰囲気で、訪問するのが楽しみです!」。手が離れた子供のように、成長しながらその地で逞しく馴染んでゆくのを一緒に楽しめる、羨ましいことです。

【12位】小田原の家[関本 竜太]

眺望や敷地条件を活かしながら、家でも仕事ができて、友人などを招くことのできる広いダイニングスペースのある住まい。

東側方向に広がる眺望の抜けにならい、吹抜けのハイサイドライトからの光を取り込んだ明るく開放的なダイニングスペース。キッチンと一体的に使える大きなダイニング造作し、そのダイニングとつながるテラスにはベンチを設置。外からの目隠しのためでもある木製手摺りに守られながら子供を遊ばせたり、緑を楽しみながらくつろぎの時間を過ごすことができる、もう一つのリビングです。

2階には、眺望が望める吹抜けに面したブリッジ、屋根裏部屋のような子供部屋、デスクに向かった時に、外の切り取られた景色が目に飛び込んでくる書斎があります。

トップライトや大きな開口、ハイサイドライトを取り入れた入念な窓設計により、プライバシーを守りつつ、明るくて開放的な心地の良い注文住宅です。特徴のある照明器具はダイニングテーブル上のペンダントライトだけ。

「必要なのは光であって器具ではない」というようなことを、名建築家の言葉を思い出しました。

【13位】草津別荘ー森の中でひっそりと過ごす家ー[鎌松亮]

森と人が住むエリアの境界に立つ山荘は、間に人工的なものが何もなく、ただ緑だけを眺めることができる特別な立地。冬場は雪が50cmほど積り、マイナス10℃ほどの日もあるため、室内を暖かく保つ断熱を考えたことがリノベーションをするきっかけでした。

既存の建物は、雪を落とすための大きな切妻屋根にもかかわらず、内部はフラットな水平天井だったため、天井を撤去し屋根の傾斜を活かした吹抜け空間に。和室とランドリー以外は扉をなくし回遊できる間取りとなっています。純粋に森だけが見えるように考えられた窓は、散歩道を歩いているように、人の視線の動きに合わせて、横長に続くパノラマ状に森の景色が連なります。

また、階段を上った先にあるロフトの読書スペースからも、ハイサイドライトや1階の窓を介して外の景色を楽しむことができます。いつも見ている、小さな変化に何となく「あれ?」と気づくことがあるように、目の前の眩しいほどの緑の景色も、何か発見があったり、感じ方に変化があるかも知れません。

ここでは、何より森と向かい合うことが最も贅沢なこと。それを堪能できるよう、家具や照明は外の景色を損なわないシンプルなものを選んでいます。広さや間取りでもなく、過ごす時間が豊かでかけがえのないものだと気づかせてくれる山荘のリノベーションです。

【14位】イロハモミジの家[小嶋良一|こぢこぢ一級建築士事務所]

施主が心奪われたのは、食卓の傍に大きな窓から輝く青葉が一面に映し出されている、専門家の手がけた住まいの一枚の写真。毎日移り変わってゆく庭の景色、美しい自然を身近に感じられる住まいが施主の願いだったそう。

広めのデッキスペースを庭に設け、光と風を感じながら食事や読書を楽しむことができるアウターリビング。横に広がる生長が特徴のイロハモミジは、日傘の役割を担います。さらに、室内から見渡す庭を最大限に楽しむために、窓や網戸の収まりにも綿密にこだわりプランニングされています。

暑い時期には、室内の熱気を屋根勾配からロフトへと移動して換気窓から排出することができ、寒い時期には、床下のダクトに暖かい空気を循環させて基礎コンクリート全体を温めることで、床下からのじんわりとした輻射熱を得るという床下暖房を採用した室内環境。

施主は、
「ひとつひとつの木や草が我が子のように可愛くなり、様子を確認せずには居られない、手入れせずにはいられない」
と、これまでのマンションでは感じることのできなかった、自然の育みを楽しみながら、心が豊かに潤ってくるのを実感する日々だそう。

【15位】木場の家_街のスケールと繋がるおおらかな空間[古谷野工務店]

100㎡の占有面積を活かした、大らかで回遊性のある動線とさわやかな風が通り抜ける住まい。組織設計事務所に携わっている施主と、使いやすさや動線はもちろん、美しさや空間のなかで素材をどう活かすかを共有しながら進行したマンションリノベーションです。

玄関に入ると印象的なのは、ゆったりとした洗面カウンターのある幅広の廊下。共有部と住戸内をシームレスな体感でつなぐため、この土地柄や共用廊下に近いスケール感を意識し、室内にも広い廊下を取り込んでいます。キッチン・洗濯室・クローク・主寝室へと続くもう一方の裏動線を回遊性にすることで、家事動線の短縮など、広い住戸内での生活のしやすさやも叶えました。

ハワイアンマンゴーやプラタナスの突板を採用した廊下の壁やブラッシングされたフローリング、大判タイルや石など外部を連想させる演出も。それぞれの素材を、上質に馴染ませるだけでなく、力強くおおらかな存在感で引き立たせています。

手間をかけて汚れを落とした美しい仕上がりのコンクリート壁の空間と、その先の緑が眩しい庭の風景。その姿を、廊下とLDKの間にある太い木枠のガラス引き戸が、まるで写真のフレームのように納めています。

「いい家・オブ・ザ・イヤー2023」を振り返って

年々感じる温暖化や異常気象といった環境問題の課題からも、天候危機に備えた住まいへの重要性が高まっているようです。2023年のTOP15の住宅事例のなかにも、この課題に対して専門家のさまざまなプランニングや対策が取り入れられていることがわかります。
太陽の光や風といった自然環境向き合い、安心・快適な住まいを維持する「パッシブハウス」への需要が今後さらに注目されていくでしょう。

SUVACOには、日々新たな住宅事例が掲載されています。

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