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2021/12/21更新|0like|14868view
この1年間で、SUVACOに新規公開された住宅事例は約1,000件。そのなかでも、特にユーザーからの反応が大きかった人気実例TOP15をランキング形式でご紹介します。今年の1位はどんな事例でしょうか?
SUVACO「いい家・オブ・ザ・イヤーとは?」
【15位】高津の家 旗竿地に立つツツジの樹に寄り添う家|新築 [後藤智揮]
【14位】marbling -職住一体の建築- [小田内晃彦建築設計事務所]
【13位】62㎡家族全員に自分のスペースを!心地よい風が通り抜ける家 [湘南リフォーム]
【12位】Slow life 琵琶湖を望む別荘に緑を感じ住む 彦根新海浜の家 [COLOR LABEL DESIGN OFFICE / 殿村明彦]
【11位】ガラス階段の家~透明ガラス階段がトップライトからの自然光を家中にとどける家~ [原空間工作所]
【10位】IN BETWEEN [矢板久明 / 矢板直子]
【9位】木立にくらす家 ~雑木の庭が気持ちいい 避暑地のようなすまい~ [森哲哉]
【8位】玄妙 [大田 司]
【7位】RR-HOUSE [真銅祥一朗建築設計事務所]
【6位】長い平面でもコンパクトな動線、自然を楽しむ庭のある住まい [hm+architects]
【5位】旗竿敷地の特徴を活かした、キッチン中心の開放的な暮らし [植村康平]
【4位】日本橋S邸 〜ギャラリーのような回廊のある家〜 [鹿内 健]
【3位】馴染む家 [こぢこぢ一級建築士事務所]
【2位】佐倉の家 [奥野公章]
【1位】庭見る小居 - 居場所を散りばめた小さくて広い家[エキップ]
いい家・オブ・ザ・イヤー2021 講評
専門家の自邸兼仕事場。子どもが生まれたことをきっかけに考え始めた家づくり。2階建てとすること、自宅で仕事ができること、子育てのしやすさを中心にプランニング。住宅密集地の中の旗竿地、もともと根付いていた見事なツツジの樹に寄りそった中庭のあるコの字型に。
傾斜天井をそのまま室内にあらわし、障子や室内開口であちこちに視線が抜けるため、面積以上の広がりと開放感が。コテの跡が素晴らしい左官職人による砂しっくい壁をメインに、自然素材で構成。
中庭や上階吹き抜けからの光は、角度や明度を変えて室内の表情を豊かに、下階もほぼ自然光のみで過ごしているそう。常緑性のツツジが、一年を通してみずみずしい色を添えています。
こちらも専門家の自邸兼仕事場。「ふらっと立ち寄れる距離感がいいな」という妻の一言がヒント。
家の中に小さなオフィスを作り、働く場と住む場を明確に分けるこれまでのSOHOの考え方から、ワークスペースと生活空間をはっきりと分けるのではなく、暮らし方と働き方が自然とゆるやかにつながって、曖昧な空間になるようにプラン。
壁や建具で仕切るのではなく、「開口枠」と名付けた奥行のある境界空間を、室と室の間に設置。仕事のスペースになったり、子供の遊び場や家族団らんの場となったりと縁側のよう。
「ぼかして」「にじませ」、ふらりと生活しているうちに働いていたり、働いているうちに生活していたり、職と住が「にじみ合いながら混ざり合う」。曖昧な境界空間によって日々うつろう色彩が、人生そのものを豊かにしてくれそうです。誰もいない日中は1階全体を仕事場として自由に移動するのだとか。仕事時間だけれど、また楽しからずや。
もともと住んでいるマンションをライフスタイルに合わせてリノベーション。14年前に中古で購入した、LDKは住戸の中央にあるといった昔ながらの区切られた間取り。インターネットで「マンションのリフォーム事例は見尽くした」ほどでしたが、最高の出会いによって大満足の住まいが完成。
希望していた子供部屋に書斎、WICやパントリーなど盛り込みながらも動線をライフスタイルに合わせて整理することで、窓から玄関まで風が抜けるなど、同じ家だったとは思えないくらいくらいに住みやすくなることに驚き。
コロナ禍だったためにオンラインでの打ち合わせがほとんど、ショールームにも思うように行けなかったようですが、イメージ写真やメールのやりとりだけになっても、息がピッタリの施主と専門家には全く問題なかったとのことです。
南側にはさまざまな種類の木々、北側には日本で一番大きな湖の琵琶湖の美しい風景を見ることができる住まい。この眺望を最大限に住まいに取り込むために、家族がみんなでくつろげる空間を2階に。
南に面したリビングの窓を、すべて壁に収納のフルオープンにすることで、街路樹の木々たちが庭の一部になり、ウッドデッキやリビングとつながるひとつの空間に。
薪ストーブも設置されているので、寒い冬にこそ火を囲みながらの家族の団らんを楽しみたい。ウッドデッキ向こうの風景は、子どもの成長もずっと変わらず見守ってくれるはず。
商業系地域の建物密集地、車通りの激しい道路沿いの間口5m程度の細長い土地に建つ住まい。騒音や排気ガスなどを考慮して、室内がはっきり見えないようなガラス壁と、最上階にある2つの開閉式トップライトから光を取り込みます。
間口が狭く奥行きが長い敷地に対応するために、柱の代わりに細いH形鋼を組み合わせることで、広い室内空間を確保。4階の大きなトップライトからの光が、中庭のような役割となったガラス階段を通じて室内全体に広がって、淡く自然発光している光の箱のよう。
代々この地域に住まう家族のための2世帯住宅。上階は子世帯、1階はバリアフリーで計画した親世帯です。規制上、南面を隣家に寄せたため、北側からの光を取り込む工夫として、目隠しも兼ねた反射壁を北側2階に浮くようにプラン。
プライバシーを守りながら光を室内へと取り込む反射壁は、それらの効果だけではなく、反射によってまわりを明るくしたり、壁があることで新たな場所をつくったりと、プラス効果の連鎖が広がります。
1階親世帯では、つまづかないように必要な場所には全部手すりをつけて、手すりがない場所は家具のへりを支えにして歩けるかなど、どこを触って歩くかを専門家が何度もシミュレーション。既製品の手すりさえも、なかなか満足するものがないと毎回造作なんだとか! 住まいが、住み手の健康や人生にも深く関わっていることを実感。
矢板建築設計研究所 矢板久明さん・矢板直子さん
建築家
静かな住宅地にある、雑木に囲まれた避暑地がイメージの住まい。
南に開放的な広い庭をもうけて、高・中・低の青々とした葉や木々によってゆるやかにプライバシーを保っています。
専門家が以前手がけた住宅を、街で見かけてイメージに近いと依頼されたそう。室内からは、白い壁と木のシンプルな内装に、隠し框の木製サッシ越しに見る庭の緑がすっきりと映えています。
敷地の向こうにまで開いている庭で庭仕事をしていると、家のことや植栽の名前などを道行く人からよく尋ねられるそう。昔ながらの緑が地域のコミュニケーションツールに。またすぐに「住みたい家にイメージが近い」と依頼がありそう。
森建築設計室 森哲哉さん
建築家
ニセコのスキーリゾートから南に離れた、静寂さと豊かな自然に囲まれている場所。
山も望むことのできるなだらかな斜面の途中に建つ、素晴らしい景色を多様に取り入れた別荘。
建物を3つのブロックに分けて、向きの異なる片流れの屋根を交互に配置。日本百名山のひとつである羊蹄山を含めた景色を、リビング、寝室、浴室などそれぞれの部屋から多様に眺められるようにしています。
景色を最大限に活かしながら、外観から室内に続く石や木材などの自然素材の使い方が秀逸です。家の中からも外からも、遠方からも、この住まいは見ごたえあり!
DAIDA DESIGN STUDIO 大田 司さん
建築家
都心にも近く、山と海に挟まれた最高の住環境にある住まい。150㎡と広いメゾネットを、プライベートゾーンとパブリックゾーンにしっかりと分けてプラン。
基本的に大きく間取りを変更をすることは難しかったため、既存の間取りを活かしつつ、テーマのひとつであった、たくさんの素材を採用。
鉄板や石、ステンレスやモルタル壁などハードな素材が多く使われているにもかかわらず、壁のモルタルに木目の模様をスタンプして質感を出したり、自然素材であたたかみのある印象のインテリアに。室内とバルコニーデッキに置いたこだわりの植栽で、連動するように室内外に自然を感じることができます。
真銅祥一朗建築設計事務所 真銅祥一朗さん
代表・建築家
「自分の生まれ育った地で子ども達と暮らしたい」と、時間をかけて探した思い入れのある土地。高低差があり緑地公園に隣接、庭の手入れを存分に楽しめて家族がゆったりと過ごすことのできる、広い敷地を活かした伸びやかな「家族のためにぴったりな唯一無二の生活空間」。
高低差によって眺望が開けているのにプライバシーも確保される環境だったため、フロアプランは、平屋をイメージするような東西に伸びた長方形。
室内動線は、LDKを経由するパブリックなものと、エントランスからキッチン背後のパントリーまでまっすぐにつながるバックヤードの2つの動線をプラン。これらを相互にまわることができるようにダイニング・キッチン・パントリーを住まいの中心部分にもうけました。
妻は「家が大きくなって、家事全般は大変になるかなと覚悟していたのに、実際は動線がコンパクトで時短になり、自分の時間が増えて驚いている」そうです。
hm+architects 一級建築士事務所 伊原洋光さん・伊原みどりさん
建築家
県外出身の夫婦が、土地や建物だけでなく風土や立地条件にも明るい建築家に依頼。旗竿地と言えばネガティブな印象もありますが、「プライバシーを守りやすい」「土地代を抑えられる分、建物に費用をかけることができた」など、旗竿地がメリットとなる住まいが完成。
隣家に接していますが、人の目には触れにくい南側は大胆に室内と外部空間をつなぎ、開放感いっぱいの心地良さを実現。
料理やお酒をワイワイ一緒に楽しむこともでき、それぞれが静かに過ごすこともできるよう、吹き抜けや段差をもうけて多くの居場所をつくりました。
小さなお子さんが「何の説明も無く最初から段差やベンチをとても上手に使いこなしてくれ、空間づくりがうまくいったことを感じさせてくれました」とのこと。子供は正直です。
植村康平建築設計事務所 植村康平さん
建築家
築40年、日本橋の4階建てビルの2階をリノベーション。仕事で不在も多く上階に家族が住んでいることもあり、「キッチンも要らないということで、十分すぎる空間をどう使いこなすかがポイント」の、完全なる自分だけのプライベート空間に。
広いWICと脱衣所のある浴室コーナーを中心に、大きく回遊することができるプラン。玄関から寝室までの、仕事モードをOFFにするための長い廊下は回廊のようでもあり、プライベートギャラリーのようにも感じます。
帰宅後にスーツやコートを脱いでシャワーを浴びるといった一連の流れるような動線は、大切にしている洋服や家具、美術品のようにライフスタイルにぴったりと馴染んでいます。
Sデザインファーム株式会社 鹿内 健さん
建築家
プランニングの段階からすでに、こんなに素敵な家が「うち」になるなんて……と「それからはウキウキする日の始まりでした」という施主の言葉が印象的な、農地の一角を宅地化して建てた平屋。
その特殊性から、周辺地域とどのような距離感を保ち関係性を築くのかが一番難しく、一番重要だったそう。
形状がそのまま室内にも活かされてアクセントにもなっている大きな切妻屋根。シンプルなのに、床・壁・天井から金物といった細部までじっくり見たくなる室内は、それもそのはず、「上質な空気感が醸し出されるよう、素材やエレメント選びに時間をかけました」(建築家・小嶋さん)とのこと。
施主から専門家への「今後とも末長く、宜しくお願いします」のメッセージを見るだけであたたかい気持ちに。
こぢこぢ一級建築士事務所 小嶋良一さん
代表・建築家
仕事柄、休まる時間が少ないことや子供が生まれたことをきっかけに、都会のマンションから田舎の庭のある平屋へ移住。四季のある日本の気候に合わせて、どの部屋にも光と風が通り、庭を眺めることができるよう、東西に長く低く計画しました。
室内は間仕切りのない開放感のある広い空間ですが、それ以上に、内と外の境を気にせずに道具小屋や水場、木工場や焚木場などのある敷地全体を、縦横無尽にまわることができる究極の回遊プラン。
今後は、ドッグランやバーベキューテラス、畑などを楽しみながらつくっていく予定だそう。本当にうらやましい限り。
奥野公章建築設計室 奥野公章さん
建築家
設計者の自邸。延床面積25坪と戸建てとしては小さめですが、専門家として施主に勧めたい素材やプランをいつでも見せることができる、見どころと発見が満載な自邸。
小さい敷地でもしっかりとした庭を作り、屋内の様々な場所から庭や木が見えること、玄関やトイレさえも「居室」として多様にフル活用するプランに、「余すこと無く使うという気概」をビシビシと感じます。
家づくりの依頼の際、やはり対面キッチンのリクエストが多いそうですが、「台所仕事時は子供は横目で見えるくらいにしておいて外を見てリフレッシュするという選択肢もありかと思います」とのこと。キッチンに立つ時に目の前にある窓が、そんな素敵な理由だとは! 表情豊かで愛情深い住まいに感動。
エキップ 柳本英嗣さん
設計者兼施主
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