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キッチンなし、脱衣所ではなくWIC。広い空間を完全なる自分空間に。仕事モードをOFFにするための長い廊下が回廊のよう。
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
設計、監理を担当
【建築賞】
・SUVACO いい家オブ・ザ・イヤー2021受賞作品
日本橋の築40年の4階建てのビルの2階をリノベーションした住宅です。上階に親が住んでいることもありキッチンは上階にあるので必要とされた部屋は、寝室、くつろぐ場所、WIC、浴室、洗面、WCのみでした。
海外赴任から戻られたのをキッカケに親族に貸していた部屋を自分仕様にリノベーションをしたいとご相談がありました。72.6m2をお一人でお使いになり、しかもキッチンも要らないという事で十分すぎる空間をどう使いこなすかがポイントとなりました。海外のホテルのような照度の抑えられた空間を希望しており、床材もフローリングではなくカーペットのように風合いが好みでした。帰宅時には仕事モードをOFFにできると良いというご要望もありました。
仕事モードをOFFにする空間として回廊のような長い廊下を提案しました。最短経路でも寝室に行くことはできますが、玄関を入ってゆっくりと廊下を進む中でモードをOFFにしつつ、身支度をする空間を配しています。玄関を入ると部屋中央に設置した浴室とWICを取り囲む杉材壁面が見え、柔らかな印象を与えます。また靴収納にお持ちのスタンドと絵画を組み合わせて玄関らしさを演出しました。長い廊下は右側の壁面に壁面と一体となったドアがあり中にWICと浴室を配置しています。帰宅後にスーツやコートを脱ぎ、シャワーを浴びるなど身支度を一体で行えます。廊下の反対側は洗面室とトイレにつながっています。廊下の突き当たり絵画とお待ちの陶磁器を飾るディスプレイ棚を設置し、長い廊下に彩りを与えています。突き当たりを回ると寝室とソファがあるくつろぐスペースに至る空間です。照明もお持ちのスタンドを活用しつつ、ダウンライトは必要最低限としホテルのような落ち着いた空間を演出しました。壁面はグレーのビニルクロスとしコストダウンを図り、床材は不在も多いことを考慮してカーペットのように見えるロール状のボロンを選定しました。
寝室やソファスペースを大きくすることも出来ましたが、玄関入ってすぐ寝室となると眠りに帰るだけの空間のようになりますが、気分を切り替える廊下があることで、毎日帰るのが楽しみとお話していました。
広い面積をお一人でお使いになっていたので、洋服などかなりの物量がありました。現状を確認しつつお客様の方でも断捨離をして適切な収納量を模索しました。また使い切れていなかったスタンド・絵画・陶磁器を見せてもらいどこに配置しようか?とあれこれお話をしました。間取りは初回にご提案した回廊案を気に入って頂いたので、時間をかけながら素材や細かな部分を調整しながら進めて行きました。
宿泊してよかったと話していたシンガポールのホテルの写真を見せて頂いたので、このような雰囲気がお好みなのかな?と思いましたが、当初は真っ白の空間で極力コストを抑えた弊社の物件を見てのご相談でした。最終的には結構費用をかけてしまったねとお客様も笑って話されていましたが、楽しそうにお使いになっているのがとても印象的でした。
木を使う面積を増やしすぎるとカントリー感が強くなります。壁を木としたのでバランスを取り、床はカーペットのような柔らかな異素材としました。ここでは柔らかな印象を持ちつつ少し光沢感があり木材と引き立てあうロール状の塩ビ素材としました。
右の廊下から歩いてくると調度品をディスプレイするニッチ棚があります。木材のボックスを少し凹ませたデザインとして奥に間接照明を設置しました。少し薄暗く狭い中を歩いていくと開放的な寝室へと視界が開けるようにしています。