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【TV放映】
・2024年3月23日(土)テレビ朝日「渡辺篤史の建もの探訪」で放映されました。
半地下にオフィスを併設した住宅です。敷地は南北に細長く道路からも 1m の高低差がありました。両側に住宅が建て込んでいますが、各々の隣家は南側には大きな庭を有しており採光・通風ともに良好な環境でした。建物構成は隣家と同じように南側に庭を配置し地下1階・地上2階としています。日常生活の拠点となる室内空間はUA値0.5W/m²・K(断熱等級5)の高断熱・高気密仕様となっており、環境にも配慮した消費エネルギーの少ない建物となっています。
しかし高断熱・高気密住宅を設計していると、西日など一部の外的要因が忌み嫌う物であったり、窓を閉め切る事がエネルギー効率に繋がるなど正しい事ではありながらも、本当に良いのか・・・と矛盾も感じる事もあります。もちろん室内は快適にした上でですが、気温の変化や陽光の移ろいなど自然の変化も暮らしには重要な要素であると考え、ならば「暑い、寒いなど自然環境も楽しむ部屋」を作ろうと考えました。
そこで住戸の南側には「アウトドアルーム」と呼ばれる屋外の部屋を作っています。AIや自動化など猛烈な勢いで進む中、何かと忘れがちな「人としての感覚、生き物としての感覚」を繋ぎ止める・・・そんな場所になると考えています。
お施主様からは「大人数を呼んでバーベキューをしたい」「もしかしたら数年後に海外赴任もあるかもしれないので、外国の方に貸しても楽しめる家」「防犯には配慮した家にしたい」とご要望を頂いていました。ちょうどコロナ禍に設計した事もあり、室内だけでなく気にせず楽しめる屋外が重要とお伝えしたところ共感いただきました。
自然の変化を取り入れた「アウトドアルーム」です。この空間では上部窓や長押のような梁、ペンダントライトやダイニングセットにより室内にいるような居心地でくつろぐことができます。長く滞在すればするほど、普段生活していた時には気が付かなかった自然が見せる「瞬間」に出会えると思います。ますますスピードアップする時代、ちょっと立ち止まって目を凝らせば、実は目の前にあった素晴らしい何かを発見するかもしれません。それを家族の誰かに話す、そんな感動を共有する場所になると思っています。それは数値を追い求める高断熱・高気密とは異なる視点で自然の尊さ、環境の持続性などを住み手が考える事につながるとも考えています。
保育園児の息子さんはアウトドアルームが大変気に入っているようで、毎朝朝食を外で食べているそうです。断熱等級5(ほぼ6に近いですが)という事もあり冷房がこれほど効くのかと驚いたそうです。リビングに設置したエアコンは2台あったのですが1台しか使わず今年の夏は過ごしたようです。
ご要望を聞いて提案を作りましたが、最初の提案で温熱環境のシュミレーションをすると、夏に暑い家となってしまいました。アウトドアルームの屋根の作り方を変えるなど調整をして最終的な形になりました。
高気密・高断熱の過ごしやすい空間が室内あるからこそ、外の空間が重要になるのを再認識した家づくりでした。息子さんが外でご飯を食べたり、奥様のお父様が毎週ビールを飲みにくるなど、家族の交流の場所になっているのがとても嬉しかったです。施工中も大工さんがいつもアウトドアルームで過ごしており、みんなにとって良い場所が作れたのだと思いました。
この空間は屋外ではありますが、室内的要素を随所に散りばめた内部のような空間となっています。上部窓や長押のような梁、ペンダントライトやダイニングセットにより室内にいるような居心地でくつろぐことができます。
室内のような安心感の中で、時候を肌で感じながら過ごすことができます。
天井高さを5mほどと大きくとり、かつ南側に大開口をとることで開放感のあるリビングにしました。
南側の大開口からは、アウトドアルームを通して自然光がグラデーションで室内に入り込みます。
コールドドラフト対策として、暖気が集まる上部のルーバー部分に吸込口を設け、サッシ下部のスリットから吹き出す計画としました。
構造で必要な横倒しの梁は室内からアウトドアルームへと連続し、長押のような雰囲気を生み出しています。
キッチンはアイランド型とし、背面には十分な収納を設えました。
洗面室と浴室はガラス建具で仕切ることで一体感のある空間にしました。
半地下でありながら、サンクンガーデンへの開口と高い天井により開放感が感じられます。
サンクンガーデンがあることで、南からの日差しが入り込みます。
家族が使う玄関は、ベビーカーを畳まずに置くことができる奥行きのある空間にしました。右手には靴のまま入れるSICがあります。
事務所にも住戸部にも繋がる導線は、木天井により暖かみがありながらも、エッジの効いたアプローチにしました。
道路側の外壁は、周囲からの視線や熱・光を遮る観点から、開口部は最小限としています。
アプローチから奥へ奥へと誘われるような照明計画としました。
サンクンガーデン・人工芝ガーデン・アウトドアルームが立体的につながり、屋外にも家族の居場所を作り出します。
日中とは反対に、日没後は人工光がグラデーションで屋外に漏れていきます。
隣家と同様に、建物を北に寄せ南側に庭を確保することで、緑が連続し風が抜け光が入り込みます。