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北向きの旗竿地。光と風が通り抜ける一年中快適な住まいに。2歳だった娘が新居に入ったときの興奮ぶりが印象的だったそう。
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川崎市高津区の住宅地に立つ職住近接の住まいです。敷地は北向きの旗竿地で、以前からあったツツジの樹に寄りそうように計画した中庭のある住宅です。その中庭に面するようにテラスや上下階の広間(「上の間」「下の間」)、アトリエなどを計画。中庭越しに、ほどよい距離感で立体的に繋がり、外部環境を楽しめるようにしました。上の間はプライベートなリビングダイニング、下の間は子どもの遊び場兼夫の打合せスペースです。子育てしやすいようにワンフロアでコンパクトにも暮らせます。旗竿地で重機が入れないため、人力で立てられるよう小さな製材による単純な架構としました。仕上げは無垢材や砂しっくいという自然素材で構成した長期優良住宅です。
子どもが生まれたことをきっかけに家づくりを考え始めました。2階建てとすること、自宅で仕事を行えること、子育てのしやすさが私たちの要望でした。
この家づくりは前所有者の庭だった敷地の中で、残す樹木を考えることから始まりました。敷地中央にある大きなクリの木は伐採しましたが、次に大きな北側のツツジの樹を残してもらい、その樹に寄りそうような建て方を検討。中庭のある「コ」の字型の住宅としました。
また、この敷地は北向きの旗竿地でまわりを住宅に囲まれ、南側には3階建てのマンションが立っています。1階でも自然光で過ごせるよう検討を重ねた結果、下階の採光は上階から吹き抜けを通して光を落とすことに。それにより、下の間の明るさを確保しながら、光のあたる砂しっくいの壁が見どころの1つになりました。左官職人のコテの跡が柔らかい光で照らされ、美しい表情を見せてくれます。
夫:室内が快適で過ごしやすいです。冬は1階のFF式ガスストーブ1台での暖房なのですが、例えば12月上旬は10℃を下回る外気温で12時間無暖房でも、室内は上階2〜3℃、下階3~4℃と温度変化が緩やかでした。
妻:ワンフロアでも過ごせることや家事動線が短いこと、家の中の多くの場所から空が見え、明るいのが気に入っています。
娘:遊び場のテラスと下の間がお気に入り。テラスではシャボン玉を吹いたり、夏にはプールで遊んでいました。
敷地が見つかってからはすぐにプランニングに着手。与条件がいろいろあったので、それらを整理して手早くまとめていきました。工事はいつも設計をしているときに依頼している工務店さんにお願いしました。現場から徒歩3分のところに私たちが住んでいたこともあり、工事期間中は毎日足を運び、自分で出来ることはいろいろ行いました。
色々ありましたが・・・
・土地の購入や住宅ローン審査など、初めての経験に普段味わえない独特の緊張感を味わいました。
・ほぼ毎日現場に通ったこと。自分でできることは色々行いました。
・2歳だった娘が新居に入ったときの興奮ぶりが印象的でした。
下の間:旗竿地の1階部分ですが、ほぼ自然採光のみで過ごしています。夫の打合せはここで行っていますが、来られた方は砂しっくいの壁を興味深く見られていきます。保育園からの帰ってきた娘が遊ぶときはここを使います。
上の間:北側からの安定した光を取り込んだ明るいリビングダイニングになりました。面積は小ぶりですが、傾斜天井をそのまま室内にあらわし、あちこちに視線が抜けるため、開放感があります。
書斎スペースと1階手洗い:コロナ禍で在宅勤務になった妻には2Fの書斎スペース(約2帖)が役立ったようです。同じ理由で、玄関近くに設置した手洗いも活躍しています。
テラス:3帖のほどのテラスですが、食事や夕涼みにはちょうどよいです。コロナ禍の気晴らしや風呂上がりなど気分を変えるのに季節のよいときはほぼ毎日使いました。
玄関ポーチ:レンガブロックを敷いたアプローチの延長でつくった玄関ポーチ。ここが路地部分で風が南北に抜けます。1.5m×1.5m程度の小ぶりな場所ですが、ここが思いのほか気持ちよく、レンガブロックに腰かけて、夏はスイカやアイスを食べて過ごしました。
第64回神奈川建築コンクール 優秀賞
渡辺篤史の建もの探訪
杉羽目貼りの天井は切り妻の屋根形状がそのまま室内にあらわれています。床はヒノキ無垢材。写真中央のルーバー奥はロフトです。
下の間。子どもの遊び場兼夫の打合せスペースです。吹き抜けから柔らかく落ちる光が砂しっくいの壁を照らします。
ツツジの樹のある中庭を囲う配置計画です。各部屋の主開口を設け、3帖のテラスを設けました。
中庭のウリンの縁側です。L字型で高さを変えることで、小さな子どもでも座りやすくしました。子どもが外から帰ってきて、この縁側で遊んだり、休憩することもあります。
中庭に面した下の間。ツツジの樹を中心に中庭を計画しました。写真左が客間、右がアトリエです。
下の間と繋がるアトリエ。夫は平日の大半をここで過ごします。中庭を介して客間と繋がります。壁一面を本棚としています。
玄関からみた下の間とアトリエです。
上の間。コンパクトなサイズですが、テラスなどあちこちに視線が抜けるため、開放感があります。写真右が下の間へ通じる吹き抜けです。天窓と高窓からの光が下の間にも届きます。
タタミの間と繋がる上の間。開口部は障子が引き込めるようになっています。
テラスとダイニングに面した台所です。使い勝手と収納に配慮して、フロントカウンターはキッチン家具屋さん、バックカウンターは大工さん、吊り戸棚は建具屋さんに依頼しました。