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5人家族が一緒に暮らしていることを感じられるように、大きな屋根を全体にかけて、その下の空間が繋がるような計画が特徴です。その上で、引戸を閉めれば個人の空間や時間が守られるようにもなっています。大きな屋根は内部空間だけでなく外部にも大きく張り出し、軒下空間をつくり、家と人を守る存在にもなっています。
東京都心から千葉にある両親の家と同じ敷地への移住です。母屋を建て替え、5人家族のための平屋を計画しました。『ぼくららしい家をつくって欲しい』。それは「ぼくらの希望をカタチにするときに、華美で無いこと。自分たちらしく、でも “ ぼくららしさ ” を感じる家にして欲しい」ということ。そこで、仲の良い「ぼくら(家族)」での暮らしを中心にしながら「ぼく(個人)」の居場所もつくり、さらに「ぼくとぼくらの中間(個でありながら家族と緩やかにつながる場所)」の空間を織り交ぜて計画していきました。仲の良い家族は料理が得意な母(妻)の周りに集まることからキッチンを中心に暮らしが展開してく設計にしつつ、個室の居住性も確保し、夫のワークスペースも充実させました。華美にならないように素材はラワンや杉といった木材を使い、大工による丁寧な仕事でチープさを消しています。大きな屋根の下で、ぼくららしい暮らしができる家になりました。
都心から移住されるということで、マンションでは実現できない空間のつながり方や外部との関係をつくりつつ、家族同士が一つ大きな屋根で一緒に暮らしていることを実感できるように、空間を繋げていく計画を基本とし、同時に、一人の時間も大事にできるように、引戸を多用し空間を繋げたり仕切ったりできるようにしています。ダイニングの南側に設けた木製サッシは全開することができ、縁側を介して庭につがります。その西側にある窓は視線を抜く大きなFIX窓の下に風を通すための小さなすべり出し窓を設けて快適性を向上させています。屋根の構造をあらわした化粧架はそのまま外につながり視覚的にも物理的にも内外一体の住宅にしています。その化粧垂木でできた軒は深く、家と人を日差しや雨から守ります。料理が好きな建主さんと一緒に考えつくったキッチンは、いつも家族の中心となり賑やかな場所となっています。この住宅は法的には2階建となりますが、2階部分は小屋裏を利用していますので「平屋+ロフト」の構成になっています。ロフト(2階)にご主人のリモートワークスペースがあり、小屋のような秘密基地空間になっています。このリモートワークスペースも基本的には他の空間と繋がるように設計していますが、リモート会議の際にはローススクリーンを下ろして個室化することができるようになっています。外壁には焼杉を使用し、経年変化を楽しめる住宅としました。
「ぼくらの家」での家づくりで感じたのは “ 建主力 ” です。「ぼくらの家」の建主さんからは、具体的すぎず、抽象的すぎないご要望が多かったのですが、それが的を射ていて、こちらが考える幅を与えてくれると同時に、回答の選択肢が広がり家づくりそのものを建主さんも、私たちも楽しみことができたことが印象に残っています。
撮影 小泉一斉 LDKとロフトのワークスペースが一体的になる空間。 勾配天井の化粧垂木がリズムと軽快感をつくっています。 大きな空間をペレットストーブが暖めます。
撮影 小泉一斉 キッチンからダイニング越しに 木製の全開サッシを見ています。 サッシを全開して縁側を介して庭につながります。
撮影 小泉一斉 大工がつくった造作キッチン。 建主さんと話し合いを十分に行い 引出しの位置や深さを収納するものに合わせて 決定していきました。 タイルはご家族で選んでいただいたものを採用しています。 この家の要となるキッチンは、 家族が集まりやすい場所に眺めの良い空間としています。
撮影 小泉一斉 リビングと立体的に繋がるロフトにあるワークスペース。 大きな屋根の化粧垂木で他の空間とつながり、家族との 一体感を感じるスペース。リモート会議の際は ロールスクリーンを下ろし、個室化できる。
撮影 小泉一斉 ロフトに設けたご主人のリモートワークスペース。 屋根なりの天井で構造をあらわした空間に 造作で作業カウンターと本棚をつくりました。 この本棚が背景になり、リモート会議の際に、 余計なものが映り込まないようになっています。 奥の黒い壁は有効ボードになっていて、 好きな位置に棚を設置し飾ったり、 キーホルダーや工具を吊るしています。 小さな空間ながら窓はもちろん、天窓もあり、 開放的な空間になっています。 夜は天窓から星を眺めることもできます。
撮影 小泉一斉 子供部屋とロフト。 隣にも同じサイズの子供部屋があり、 将来巣立ったときに、壁を撤去して 大きな空間にすることができる。
撮影 小泉一斉 脱衣室から独立した洗面コーナー。 幅は1.2mと広く、2人で使えるサイズ。 病院用流しを人工大理石のカウンターに入れています。 手元と天井にサッシを入れて、通風と採光に配慮しています。 背面の収納もオープンの場所と扉で隠す収納部分があり、 収納量も充実しています。
撮影 小泉一斉 メンテナンスとコストのことを考えてシステムバスを採用しましたが、入浴時間を楽しむため、通風性・換気性を向上させるために坪庭を設けています。板塀は大和張りにして視線を止めつつ風は通します。日中は自然光で、夜は浴室の灯を消して坪庭の灯りで入浴すると癒されます。
撮影 小泉一斉 焼杉の外壁の余韻を玄関に採り入れるために、壁に杉板を張り木目を残しつつ黒く塗装しました。土間には大谷石を敷き詰め素材感を出しています。スリット窓からの自然光が黒く塗られた杉板を照らし、木目を浮かび上がらせています。
撮影 小泉一斉 東側から見た南側外観。 軒下に縁側をつくり、既存庭と家の関係を繋いでいます。 深い軒が焼杉の外壁を守ってくれます。 縁側はデッキと違い、奥行きが小さいので、 座ったときに室内と近く、室内にいる家族との コミニュケーションを取りやすい特徴があります。 建主さんは、庭に七輪を出して秋刀魚を焼き、 縁側に座ってビールを飲みながらいただいているようです。
撮影 小泉一斉 ダイニングの木製サッシを全開にした夕景。 軒下空間の縁側を介して庭とダイニングが一体的になる。