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設計、監理を担当
先祖代々に住み継がれてきた古民家を、若夫婦家族が現代に合う暮らしができるリノベ ーションをおこなう依頼を受けた。長い時間をかけて一族が住み続けられてきた、愛着が 溢れた住み慣れた古民家には、居場所や物に想いが内包し記憶となって家族に住み継がれ ている。そのような掛け替えのない古民家を住み継ぐ為に 過去・現在・未来の想いの関 係性を再構成して、家族がより長くこの場所で過ごすことが出来るリノベーションを目指 した。
若夫婦家族が子供が大きくなってきた事がきっかけで、先祖代々に住み継がれてきた古民家を相続し、昔からの良さを残しつつ現代的な暮らしができる要望を受けた。
創る・再生・継続の3つの項目に分類し設計を行ったか説明していきたい。
(1:創る)既存の古民家にはなかった 現代に合う暮らしに必要とされる新しい価値を 創ることになった改修内容を纏めている。
・居間に広がりを持たせるために、2階床を解体し吹き抜けを計画した
・居間に居心地の良い居場所を作るため、造作ソファーを計画した
・台所の位置を土間から室内に移動し、食と住を近づけた
・食事室と台所の動線を考えて、既存壁を一部撤去した
・階段を玄関正面に移動し登りやすく計画し、またインテリアのオブジェのように造った
・2階は将来を見据えながらフリースペースとし個室に転用できる計画をした
・新しく造る部材は基本的に素材色として、各年代に施工された材質と見分けがつくよう にした
(2:再生)過去に評価されていなかった内容や、リメイクによって内容を再定義し新しい価値に変えた改修内容を纏めている。
・過去の増築で造られた窓格子を解体し、その部材を新たに設けた吹き抜けの手すりに活用した
・書院を解体し書院障子を、造作ソファー上部の間接照明として活用
・昔に使用していた、家具の扉を面材として活用
・床柱の表情を変え再利用するために、籐巻仕上げとしインテリアに合わせた
・天井材を撤去して隠されていた梁をあらわしとした
・過去に木組時に造られた、しゃくりなどをあらわしとした
(3:継続)過去から続く内容をそのまま利用することとした内容を纏めている。
・内部建具は用途に合わせて利用した
・玄関土間と客間の照明器具は修理して利用した
・敷台はオリジナルの素材と合わせ欅として、既存に見劣りしない国産無垢材を使用した
・内壁の左官工事は施主も参加し家作りを楽しんだ
大変喜んでもらい、弊社に依頼して良かったと話していただいております。住み始めてから、家で遊ぶお子さんの写真を送っていただいたりして、楽しそうに暮らす姿を見るのは設計者として幸せです。
ご要望を伺いながら意見を纏めプランニングやパースで形にし、そこから色んな議論をしながら進めていきました。全員が納得するまで考え、未来を想像しながら楽しみながらの家作りを行なっています。
初回にお伺いした時に、築年数は経っているが丁寧に住まわれていることがわかる古民家でした。それだけご家族の皆様の想いが詰まった大切な住宅だと感じました。
壁面の白い壁は珪藻土で、左官職人さんにレクチャーを受けご家族も一緒に楽しみながら家作りを行なった。
天井を撤去し吹き抜け作ることで、開放感のあるリビングとした。
リビングに家族が寛げる場所を計画する為に、作り付けの造作ソファーを計画した。生地はお子さんがお気に入りのミナペルホネンを採用した。ソファー上部には、書院欄間を再利用した間接照明がある。
ダイニングは椅子で食事ができる計画とし、リビングと一体で使えるように、欄間などは一部撤去し再利用した。
フリースペースは将来3人の子供室になる予定で、現時点でどのように分割するか計画している。
2階の吹き抜け手すり。既存建物で撤去した廃材(パイプ)をアクセントに取り入れた。
キッチンはオリジナルキッチで、家族の使い勝手が良いように設計した。
キッチンの横にディスク作業ができるスペース。子育ての書類関係や、趣味の作業ができるスペース。
敷居は上がりやすく段差を設け、既存の樹種に合わせた。
古い階段を登りやすく幅を広げ、玄関正面にオブジェのように計画した。
洗面は来客用を兼ねてアプローチしやすい場所に配置し、家族用の洗面も脱衣室に設けた。
大きな梁をインテリアとして取り入れる計画とした。
私の父が生まれ育った家が空き家になったタイミングと、小さい頃から古民家に住みたいという私の希望が合致しリノベーションすることになりました。
古民家をリノベーションするにあたり、私がこだわったのが、設計を建築家に頼むという点でした。なぜなら、実家が2回家を建てた際、家に一番長くいる母の希望が伝わらないことが多くあったのを側で見ていたからです。それは決して実家を担当した工務店がやる気がなかった訳とかそうゆう話ではなく、母の伝えたいことが工務店や大工に正しく伝わらなかったからだと思います。「伝わらなさ」を建築家が解決してくれると感じ、設計を依頼する建築家を探しました。
当初、越前さんの他にも数社に現場を見に来ていただきました。越前さんに依頼を決めた理由は、越前さんが荒れ果てていたリノベーション前の我が家にワクワクし、いい家になりますよと言ってくれたからです。
越前さんは最初の訪問からすぐにラフな設計図を作って持ってきてくれました。今の住まいとはかなり違いますが、家に思い入れがありすぎて大幅な改修を良しとしない私の父と、幼い子どもと安心して暮らせるようにしたい私の意向をいいバランスで取り入れていただいており、「建築家にまで頼まんでもええやないか」と言っていた父を「お前らの好きなようにせぇ」と納得させてもらいました。
家を建てたりリノベーションをする際に建築家に依頼することは、おしゃれな建築雑誌に載っている特別な人たちだけがするものだと思う方も多いのかなと思います。しかし、その思い込みで建築家に頼むという選択肢を無くしてしまっては勿体無いと私は越前さんに設計してもらって思いました。越前さんは私たちのこれからを私たち以上に想像し、この家で楽しい思い出をたくさん作れるような設計をしてくれました。それはハウスメーカーや工務店ではなかなかやってくれないことだと思います。
古民家をリノベーションするにあたり、30代の私たち夫婦にとって建築家に設計を頼むということは少し勇気が必要でしたが、越前さんの人柄や建築に対しての情熱のおかげで一緒に家を作っているという感覚を味あわせてもらえました。今後の私や夫の仕事への向き合い方を考えるきっかけにもなりました。
また、私が心配していた「伝わらなさ』は「そうそう!それが言いたかった」に変わりました。いつかまた私たちが歳をとって、新しく家を建てたりリフォームする時には越前さんに依頼したいです。
専門家との関係:顧客
イトさんが2023年05月11日に投稿