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北鎌倉の谷あいに立つ藤棚が迎える住まい。敷地と道路の高低差2.5mを活かし、地下階を鉄筋コンクリート、1,2階を木造とする混構造。玄関戸を開けると路地のような空間が表われ、1階リビングへと誘います。生活動線は1階で完結。IH内蔵のくすの木のダイニングテーブルや鎌倉岩の土を練り込んで作ったアールの壁を中心に回遊性のある空間となっています。
北側には三畳の茶室を地下には音楽室を持ち、生活の中に遊び心を養います。
外観は鎌倉の地に相応しい入母屋屋根の日本建築の意匠とし、内観ではヨーロッパの石畳の石やアイアンワークを使うなどA.ガウディが好んだ有機的なデザインを多用しています。伝統美と遊び心が融合する家となりました。
(2013年7月に渡辺篤史の建もの探訪で放映されました。)
毎年5月に満開の花を咲かせる藤棚
鎌倉岩が借景の茶室
ヨーロッパの石畳の敷かれた広い玄関
家が完成し住み始めて10年が過ぎました。10年も住むと完成した時の感動も当たり前になってきてしまいますが、このたびのStay Homeで家にいる時間が長くなり改めて設計の良さを感じています。私どもの希望(わがまま?無茶ぶり?)を実現してくれただけでなく、提案していただいた一つ一つの素材や構造や意匠が今もなお家にいる時間を楽しませてくれています。今でも設計の打合せ、基礎工事、コンクリート打、棟上げ、玄関、階段、風呂、各部屋の工事が思い出され幸せな気分になれます。本当に良かったです。
今年春の渡辺篤史さんとのトークショーにて渡辺さんに「オレ、この家本当に好きなんだよねぇ」と嬉しいお言葉をいただきました。また、現場監督、職人、内覧をした方、テレビでご覧になった方など多くの方から愛される建築となりました。当時、古道具屋に建具を見にご一緒したり、お持ちの陶器や掘り出し物などの面白いものを拝見しながらの設計はとても楽しく、時には産みの苦しみも味わい(笑)やり甲斐がありました。現場でも鎌倉岩を珪藻土に混ぜたり、鍛冶屋さんとダンボールで階段手すりの模型をつくって検討したり、ひとつひとつ手作りで作り上げたためか印象深い作品で鮮明な記憶として残っています。お引渡し後も何度も内覧会にご対応いただいたり、茶室での演奏会を開いてくださったりと、私共もこの建築を愉しむ機会を多く与えてくださり、心より感謝申し上げます。
藤棚が迎え入れるアプローチ
5月の連休に毎年満開になる藤の花
コンクリートと苔と草
土壁と砂利と花
ヨーロッパの石畳の玄関ポーチ
奥行のある玄関
玄関の大きな木製引き戸から漏れる光
階段のアイアン手摺は北鎌倉の古い鍛冶屋さんの作品
リビングダイニングの大きな木製サッシからは鎌倉の谷戸を見渡せる
IHが埋め込んであるダイニングテーブル
円形の壁で囲まれた奥様と子供のワークスペース
視線を遮る程度の高さの壁に囲まれたワークスペース
正面はトルコ製便器
地下にあるご主人の音楽室を兼ねた書斎
テラスは藤棚の緑で道路からの視線を遮ることができる
ダイニングテーブルは桐の無垢材で造作、余った材料を利用してソラマメベンチを作る
裏庭の鎌倉岩を借景にした茶室
裏庭から見た外観
裏庭の石畳はクライアントの手作り
茶室の美しい木漏れ日
名古屋万博のスペイン館で使われた壁ブロックをコンクリートに埋め込んだ、一番上はポストの受け口