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設計、監理、プロデュース・コーディネート、インテリア、エクステリア(庭・外構)を担当
□ 風と光が通り抜ける住まいへ・リノベーション|before_after
大正時代に建てられた築82年(当時)の四軒長屋。そのうち2軒分を占めるH家。長らく済んでいなかったため老朽化が激しく、物置同然となっていたが、亡き母の思い出がつまったこの住まいに帰りたいと願うオーナー夫妻のために、明るく、風通しが良く、潤いのある住まいに変貌させることを決めた。
--- 2003年8月、大改造!! 劇的ビフォーアフター 放送 ---
室内は、使いやすいさに重点を置いて設計。台所、洗濯機、トイレ、風呂場を一直線に並べることで生活動線をコンパクトに整理。和室には、お母様が毎日使っていたという6つの鍋を窓枠に加工し、光を取り入れるよう工夫。泉水を眺める窓も光と風の通り道となり、居住性を高める役割を果たしています。寝室の配置にも配慮し、来客時も快適に過ごせる空間になりました。
□ 奥行きが面積以上のゆとりをつくりだす
2軒分の長屋を目の前にして、一番に考えたことは、中庭と坪庭をつくることでした。広さを感じる空間に仕上げるためには、空間に奥行きを持たせることが重要です。奥行きを演出することで実際の面積以上に、広がりを感じることができるからです。
まず、中庭は玄関に設けることにしました。玄関の格子戸を入ると古い石臼をリズミカルに配した砂利洗い出しの中庭がひろがり、大きなスチールの回転扉の玄関扉を造作し、その先に上がり口を設けました。格子戸の開閉によって、中庭(内)と前面道路(外)のつながりに変化をもたせました。
さらに、中庭の横に、昔、花屋を営んでいたときに使われていたという泉水を水盤に見立てて配置。水は大屋根からの雨水の流れをつくり、水盤から溢れ出た水が中庭に埋め込んだ石臼へと流れ込む、いわば天然の水琴窟の様なつくりに仕上げました。水が注ぐ音が心地よくこころを癒やしてくれます。
坪庭は住まいの一番奥に設けました。かつて暗く彩りのなかったこの家に坪庭をつくることで、生活スペースに明るい光が満ち、室内にいても外部空間を感じることができる奥行きが生まれました。
・光、風、水、心地よさを設計する
大阪市南部、戦争でも奇蹟的に焼け残った地域に建つ四軒長屋。その内、2軒を占める住まいは、度重なる増改築で光と風の通り抜けが悪くなり、住環境としてはあまり良いものではなく、建物の一部が道路にはみ出ているという状態でした。
まず、道路に出ていた部分を削り取り、元の平屋建の長屋に改修。潤いを演出する中庭と坪庭をつくり、そこから風と光の通りを良くして、快適に過ごせる住宅に仕上げるという大改装を計画しました。
限られた広さの中に風穴をあけ、どこまで外部空間を引き込む事が出来るか、それが設計全体のテーマとなりました。
□ 思い出を新しいかたちに変えて歴史は紡がれる
この住宅のリビングの一番の特徴は、防空壕。戦時中に作られたという防空壕は、光のギャラリースペースへと変貌を遂げました。中庭・坪庭に次いで、床下へと奥行きがひろがるという意外性もそなわったのです。
思い出にあふれた住まいが、今の生活に合う心地よさを得て、家族の歴史がまた紡がれていくことに静かな感動を覚えました。