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設計、監理を担当
築40年木造住宅のフルリノベーションです。既存は20年空き家だったこともあり、状態は悪く相当の補修等が必要でしたが、前面道路が狭く、また崖地であって大規模な工事が困難だったことから、新築ではなく改修を選択しました。
改修と決まってから大きく6つの段階を踏みました。第1段階は既存建物の採寸と図面化、第2段階は間取りや空間構成を決める基本設計、第3段階はスケルトンまでの解体、第4段階は構造体位置等を正確に反映させた実施設計、第5段階として見積およびコスト調整、そして第6段階として実際の改修工事です。この段階全てにおいて様々な想定外があり、その都度クライアントも設計者、施工者も色んな判断が求められました。今回は既存状態が悪く、特に想定外が多い難しい物件でしたが、構造設計者の検討と施工会社の高い技術で基本設計段階での空間構成をほぼ実現する事が出来ています。
まずは道路に面する地下1階の駐車場を縮小し、玄関を新設して残りを駐輪スペースとしました。元々は外部階段で1階まで上ってから玄関にアクセスする形でしたが、道路から直接入れたほうが便利です。そこで地下1階と1階との間のコンクリートスラブに穴をあけて補強をしながら新たに階段を設置しています。また地下に光を入れるために1、2階の間に吹抜けと屋根にトップライトを新たに設けました。トップライトから入る光は、吹抜けと階段を介して家全体を明るくし、吹抜けは上下の空間をつなげると共に「住まいの中心」をつくりだして、家族が自然と集まるリビングダイニングをつくりだしています。
内部を自由に間仕切るために、耐震壁を全ての外周に施しました。その方法としてガルバリウム角波鋼板を耐震壁の補強兼仕上げとして用いています。特殊なビスで既存の柱梁に止めて、ビス穴からの止水がしやすいように縦角波鋼板を用いていますが、この構法は大学の研究室で破壊実験を行って耐震性能を確認しています。
このように、クライアント、設計者、施工者が根気よく努力して、様々な想定外をクリアーする技術的なアイデアとそれを実現する手法を、その都度あみ出し行った上でこの強固で心地よい住まいは実現しています。
トップライトを新たに設けて家全体を明るくしています。
外壁のガルバリウム鋼板は耐震補強も兼ねています。
10年以上空き家だったボロボロの木造家屋を新築同様の美しい住宅に設計してくれました。私自身建築関係の仕事をしており、構造設計を専門にしています。自宅の改修前の躯体調査や耐震補強設計などは自分でやりました。改修物件は既存の状態が工事の進捗と共に判明して、状況が逐次変化するので、その対応が大変ですが、森吉さんは機敏に現場対応をしてくれました。また、森吉さんは、設計図書を非常にしっかり作成します。私はこれまでに多くの建築家と仕事をしてきましたが、森吉さんほど図面の密度が高い建築家に会ったことがありません。契約時の図面がしっかりしているので、工事がスムーズで、設計が未完であることによる工事費の事後の調整がありません。空間構成の感覚がすばらしく、新たに吹き抜けを設ける提案してくれましたが、上下階の一体感が楽しい家になりました。トップライトからの光もきれいで快適なリビングで生活できるのは森吉さんのおかげです。
Photo Copyright Satoshi Shigeta
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