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設計、監理を担当
敷地は兵庫県西宮市の海浜エリアの閑静な住宅街。クライアントは建築条件付きの土地を施工会社と交渉して、設計は建築家に依頼することを了承してもらい、購入に至りました。西側に4mの前面道路、接道9m、奥に13m強、36坪の長方形の敷地です。
クライアントは転勤を契機に住み始めたエリアが大変気に入り、その周辺で家を建てることを計画。車2台、緑が見える庭の確保、基本的なLDK水廻り、寝室、子供部屋、ご両親が泊まる和室。1種住居専用地域の為、北側斜線制限も厳しい。その中で心地よい光と風が抜ける居心地のよい静かな空間を望まれていたように思います。
南側の住宅が隣地境界ぎりぎりに建築されおり、直接の光が1階に入りにくい。幸い隣地は南側に面してほとんど窓がないため、隣地の外壁とに囲われた空間をコートハウスのようにとらえ、吹抜け空間となったダイニングをそれに向けて大きく開き、光は間接的に吹抜けを介して、LDKに広がるような計画となっています。また、求められる要素と法的な制約の中でいかに豊かな空間となるプランニングをするかが重要なポイントだったと思います。
その為の素材選びもクライアントと共に考え決定しています。外壁に質量感を与える左官材料のそとん壁。内部壁に採用したしっくい系の塗料は、こぼれてくる光を優しく吸収して静かな空間を演出。キッチンの腰壁に採用した大谷石やシャープなデザインを可能にしたスチール階段。オークの節のない3層フローリング。それぞれの素材感を生かして、一方では主張しすぎないような空間づくりをしています。
『ホームページの施工事例を拝見し、洗練された空間であるのにそこに緊張感はなく、柔らかい居心地の良い空間が素敵だなと思い、樋口さんを訪ねました。
初めてお会いした際に、細かな納まりやディティールの積み重ねで洗練された空間となる、とおっしゃっていたのが心に響き、ぜひ樋口さんに設計してほしい!と、お忙しい中無理を言ってお願いさせていただきました。
顧客の要望を柔軟に汲み取り、自分のデザインを押し付けることも決してされないのですが、ちゃんと樋口さんらしい空間に仕上がるのはさすがだなと思います。
また、コスト面でも、嫌な顔など全くせず根気良く調整案を考えてくださり、本当に感謝しかありません。
樋口さんのお人柄や、マニアックな建材知識が面白くて、ついつい打ち合わせは長くなってしまいましたが、樋口さんとの家づくりはとても楽しかったです。』
要望を伺って、プランニング提案、模型を作成を何度か繰り返し、計画をクライアントと共に収斂していきました。打合せは2,3週に1回のペースで進めさせていただきました。
今回の計画は建築条件付きの土地購入から始まっており、施工会社とのコスト調整、デザイン監理が通常と異なり、大変難しかったが、クライアントの粘り強さと、施工会社の対応力で、結果、大変気持の良い住宅ができました。
吹抜けダイニング。この住まいの中心的空間。キッチンの腰壁は大谷石張。階段はササラ見付を出来るだき小さくしたスチール階段。庭との距離感が心地いい。
コンパクトなリビングダイニングだが、過不足なくちょうどよい空間ボリューム。
ダイニングからキッチン方向の眺め。大谷石の素材感がよい感じに空間に質量感を与える。
ダイニング吹抜に面するワークスペース。カウンターはウォールナットの無垢材。優しい光が回り込む。奥は2階に設けられた洗面、浴室。
ご両親のスペースとして設けられた和室。ふすまの帯はクライアントのお母様による作品。
外部のそとん壁の仕上が内部まで入り込む。
自然素材のそとん壁の外壁。L型配置の駐車スペース。
そとん壁で塗られた外壁。玄関戸は気密性を重視し、アルミ玄関としている。