家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討に役立つ機能や情報が満載!
アカウントをお持ちの場合
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
設計を担当
築43年のテラスハウスのフルリノベーションです。既存建物は、敷地の高低差に合わせてスキップフロアになっています。1階の居間や水回りは小さく収まっている一方で2階の個室の面積が大きいアンバランスな構成で、全体的に狭さが際立っていました。そこで、アンバランスな狭さを解消するため、2つの「線びき」による再構成を計画した。1. 線退き:壁・建具の線を退くことで、つながりと広がりを持たせる 2. 線引き:新たに境界線(境界線=壁や床の段差)を空間に引くこと これにより小さな場所が増え、アンバランスな空間の狭さをぼかしています。その小さな場所たちは、あえて仕上げ材を変えて空間に変化を与えました。さらに迷路のように折れ曲がる部屋の配置計画をすることで「おこもり」空間をつくりました。これにより小さいながらも多様な居場所が生まれました。
急遽転居することになったということで、できるだけ急いでいます!という要望でした。広々とした庭のある住まいに憧れていたそうで、小さいながらも豊かに暮らせるテラスハウスでの暮らしを選択され、リノベーションでの家づくりを開始されました。
竣工から40年以上が経過し、現代のライフスタイルには合っていない大きな個室と小さな居間。そういった問題を抱える住宅は少なくありません。そうした問いに対し、単に増築という回答をするのではなく、既存ストックを活用しつつ繕って暮らす。そんなリノベーションの好例となることを目指しました。
元々手の届く範囲での暮らしに興味があったため、居間は小さいながらも二人暮らしには十分というコメントをいただきました。それよりも綺麗にリノベーションした庭や階段状のテラスがアウトリビングとしての役割を果たしてくれており、増築するよりもはるかに豊かな暮らしぶりを獲得できているようです。
購入後のリノベーションだったこともあり、直接現地で図面を見ながら打合せを繰り返しました。また、既存のモザイクタイルなどのテクスチャがとても素敵だったこともあり、こうした現地での打合せを重ねることにより、捨てるのではなく、再活用しようという発見を導いてくれました。
当初は荒れ果てた状況だったこともありなかなか買い手のつかながった物件だそうで、それをたまたま出会った施主がほぼほぼ衝動的に購入を決められたという経緯で設計がスタートしました。購入の決め手はスキップフロアと庭付きのテラスハウスというポイントだそうで、その良さを最大限に活かす設計を心がけました。その後、事情により転居されることになったのですが、売値が400万円もアップしたとのご報告をいただきました。驚きです。
1970年代に名古屋市住宅供給公社によりつくられたテラスハウスです。南側に広々とした庭があり、今回のリノベーションでお庭も改修しました。
玄関を入ると空間がオープンに連なります。階段を降りるとLDK、左に進むと水周り、階段を上ると明るい個室空間とバスルーム..というように風景のように空間が展開していきます。
日当たりの良い居間。広くはありませんが、キッチンやテラスと空間がつながることで図面で受ける狭さよりも広々とした印象を与えます。床はコストコントロールした素材でベニヤ板を採用し、施主による自主塗装を行いました。
お施主さんの住まいぶりから設計しました。コンパクトかつ機能的なキッチンをお考えだったことと、収納棚はDIYしたいという希望からシンプルなキッチンですが、所々に木製のコの字型の棚を設えており、かわいらしいキッチュな雰囲気になっています。
広々としつつも部屋のようにも使える浴室です。浴室は、閉じているとカビの原因になったり1日のうちで滞在時間の限られるなどの課題があります。そこで、既存の浴室という設えを一つの部屋のように構成し、使っていない時間帯でも他の用途として使えたり、冬は加湿器の役割を果たすように再構成しました。壁はコンクリートや木材に透明の防水をかけています。
南側に面する明るい書斎です。既存の天井材を取り外して出てきた下地材の風合いを活かして塗装を施しています。
そのまま布団を敷けるように小上がりになった寝室です。あえて天井高さを抑え、座る、寝るという振る舞いに応じた居心地の良さを演出しています。奥に見える畳の空間は2つめの書斎空間です。
既存の6畳間を寝室と書斎に分解してできた2帖程度のミニマム書斎です。新しく挿入した設えは寝室の針葉樹合板の壁、小上がりの畳、棚と机のみという合理的なリノベーションで元々の空間が持っていたポテンシャルを最大限に活かしています。