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大学キャンパスの道を挟んだ向かい側に建つ住宅です。キャンパスの木々を借景に取り込む木製建具を主役に、焼杉の外壁、三角の切妻屋根があわさって可愛らしい佇まいをしています。1階は寝室と水廻り、2階はワンルームのLDKになっていて、屋根のカタチがそのまま内部空間にあらわれています。
クライアントは大学時代にワークショップ等に取り組んだ後輩で、半分自分で設計しつつ、経験不足だったり自分では気づけない事があると思うので、一緒に設計してほしい、というような依頼のされ方だったように思います。
設計の経験者だけあって要望は良く整理されていて、東に見える大学キャンパスの木々と、南斜面に広がる街並みを眺望として取り入れようという基本コンセプトは敷地をみた瞬間から共有できていたので、とてもスムーズにすすみました。
見どころと言われれば、やはり主役の木の出窓でしょうか。
二階リビングのおかげで、前面道路は結構な交通量なのですが、車の姿が目に入ることなく、出窓から大学の木々だけが風景として切り取られます。
また敷地が狭いのとコストダウンのために塀は設けず、1階を寝室や水廻りというややクローズドな空間にすることで、防犯面のバランスをとっています。
完成後も創意工夫をしながら楽しく住んでいただいているようです。雪の日の景色やDIYした子供スペースの写真など、時々の住まいの様子を送ってくれます。(感想はご興味があれば直接聞いていただくこともできると思いますので、お問い合わせください。)
間取りは主に彼(旦那さんが後輩でした)が主に考えて、僕の方では断面的な検討やディテールを考えました。施主―設計者というよりも共同設計という方が近いかもしれません。
基本構想段階はクライアントサイドが主導で、詳細な設計から工事へ進むにつれ僕の方で引き受けるパーセンテージが増えていくような進み方でした。
ちょっと特殊パターンかもしれませんが、もし興味がある方はこのような方法で進める事も可能です。
学生時代に一緒にあれこれ考えて設計していたことを、まさかこういう形で再びご一緒できると思っていなかったので、とても感慨深いプロジェクトになりました。
この家の一番良い場所だった窓辺は、引っ越してすぐに娘さんの特等席になったようです。
夏の2階リビング窓辺を、下のお子さん用に購入した望遠鏡と一緒に。 道路を挟んだ向かいにある大学の緑を借景に取り込んでいます。 狭小敷地では植えられない大きさの木々が道路からの目線を気にせず楽しめるのは、2階リビングの良さですね。
雪の日にお送りいただいた1枚です。
東側道路からみた外観。二階の出窓が外観上も主役になっています。その出窓からは、道路越しに大学キャンパスの木々(写真左側)が見えます。
娘さんの特等席。2.4mの出窓いっぱいにおもちゃが並びます。
ダイニング~キッチンとロフト。キッチンは大工さんの造作と施主支給品のシンク一体型天板のアイランド型。奥の壁際にクックトップ、右奥にパントリーを配しています。白い塗装の空間の中に、キッチンとロフトは木の素材感をもって、少し温かみをプラスしています。
2階リビング、キッチンのあたりから東側を見ています。キャンパスの木々の向こうに、大学のグラウンドが見えます。丁度グラウンドの端だったこともあり、学生さんが景色に入ってくることもほとんどありません。あっても十分距離があるので、見られている感覚にもならないので、リラックスして風景を楽しむことができます。
リビングダイニングの照明をつけたところ。ブラケットライトはシンプルな真鍮にonly oneのLED電球の組み合わせ。フロアスタンドはミナペルホネンのもの。
ダイニングキッチンと階段廻りの様子。左手キッチンの上はロフトになっています。中央やや右手にある螺旋階段(グレーの支柱が見えるでしょうか?)は子供が誤って侵入しないように扉をつけました。これはエアコンの気流止めにもなっています。
東の大きな十字窓はキャンパスの木々を眺める景色の窓、南の窓は隣地に家が建っても光は入ってくるので最高の窓、という具合に、東と南で窓の役割を分担させています。
南側の窓はYKK AP高性能な樹脂サッシAPW430を採用しています。真ん中がフィックス窓、両サイドは縦すべり出し窓になっています。網戸をあえて木製の製作建具にすることで、室内から見た時は木製建具に囲まれているように感じます。コストを抑えながら断熱気密性能を確保するのに効果的な方法です。
大工造作のキッチン。引出しは建具屋さんの製作、ステンレスの天板とシンクは施主支給にすることで、コストを抑えたシンプルなキッチンにしました。
1階の主寝室。入口を2つ設けて、子供室との2室にすることもできるよう配慮しています。防犯面も考慮して窓は小さく控えめですが、南側なので最高は十分。天井高を思い切って低く抑えることで、寝室ならではの落ち着きが生まれると同時に、2階への移動がとても楽になります。
エントランスは小住宅に対して敢えて広く取り、空間に余裕を感じさせるスペースとしました。上がり框部分が廊下を兼ねており、無駄を省くことで実現しています。手前の螺旋階段には竣工後クライアントがDIYでオークの段板を取り付けました。奥に見えているのは洗面脱衣室のトイレ。
右手が主寝室、奥がWIC。エントランスホールからぐるぐる回れる回遊動線になっています。天井は木造の躯体あらわしに白いペイント。
洗面脱衣室兼ユーティリティ。左手に見えているのはガス乾燥機で、外で干す時は左奥の勝手口から南側のテラスへ出られます。洗面カウンターはオークと実験用シンクの組み合わせ、トイレはアラウーノにしました。小さなお家ですが、客用に2階にも個室トイレを設けているので、1階は主に家族用として使用します。
在来工法(ユニットバスではなくいわば手作り)のバスルームです。FRP素材でくるみ、バスタブはKALDEWEIのホーロー製のものを据え付けました。シャワーはハンスグローエのもので、バスルームもシンプルな作りになっています。