家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討に役立つ機能や情報が満載!
アカウントをお持ちの場合
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
敷地にはメリット・デメリットが混在します。
この敷地のデメリットは「三角形・斜面地」ということ。
メーカーやビルダー住宅の多いこの地では長年に渡っての売れ残り空き地であり、その分非常に安くなっていました。工事費はかかることが予想されましたが、それを補えるだけの土地価格の安さでした。
メリットは斜面をあがってしまえば、北側ではあるけれど
馬見古墳群のなかでも最古の佐味田宝塚古墳(4世紀後半)と
隣接する公園や池が樹木のむこうにひろがります。
将来にわたって隣家がたてられることのない風景です。
この風景を積極的に利用した家づくりをしたいとの施主の選択でした。
三角形の平面をもつ立体を斜面に置くような形で
木造住宅を設計させていただきました。
平面形状により間口が大きくなってしまうことから
周囲の住宅とのスケール感を大きく逸脱しないよう、
高さを抑えた設計にしています。
道路レベルからは地下+平屋に見え、
また太陽光発電パネルが見えないように
2階の配置と屋根勾配を決めています。
アプローチのテラスからは敷地東側の元からあった桃が見え、
2階のリビング、テラスには古墳と緑がひろがります。
また薪ストーブや太陽光発電設備といった新旧の設備を備え、
歴史と現代をさまざまなレベルで感じられる住まいになったと思います。
まだ若い施主でしたが、この場所で死を迎えたいという引き渡し時のコメントが印象的でした。満足してもらえたと感慨深く思いました。
個人的にも敷地のポテンシャルを十分に引き出せた作品になったと思っています。擁壁をなくし、基礎兼用のガレージ、アプローチを道路レベルで作り込み、間口を活かしきれたデザインになったと思います。