施主と専門家ががっぷり組んで完成した家。ルイジアナ美術館やフィン・ユール邸本棚をイメージ。とても濃い時間だったそう。

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登り庭の家/徒歩15秒の山荘

手掛けた建築家

設計、監理、インテリアを担当

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (ライブラリ)

ライブラリ

アンティーク家具が入ったサロン。サロンというと人が集まる場所、という事になりますが、普段はお一人で使われる空間なので、日常はライブラリとして使用されています。covid-19の影響が落ち着いたら、ここで絵画展やミニコンサートなども開催される予定。 ちなみにこの写真は夕景に見えて実は雨の日の午後。しっとり濡れた木々の緑は何とも言えない美しさですね。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (東側道路からみた外観)

東側道路からみた外観

斜面上の雑木林を臨むように、片流れの屋根がかかっています。 宅内のお庭は造園のアトリエさんに依頼。樹高のある木々をいれることで、建つ前からそこにあったかのような雰囲気になっています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (サロン)

サロン

サロンの中央はピットになっています。周囲に対して300mm下げることでオープンな空間の中に囲まれ感のある場所をつくりました。奥はフィン・ユール自邸の本棚をイメージした窓と本棚の組み合わせ。障子をいれて光の量を調節できるようにしています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (コンサバトリー)

コンサバトリー

サロンの北側にあるコンサバトリーと呼んでいる空間です。 一般的なコンサバトリーと違い半外部空間という訳ではありませんが、水平に広がるスチールサッシ越しに、庭の木々に囲まれた空間です。 中央の大きな空間に対し、天井高を1950mmに抑えることで、ソファに座った時に落ち着く空間にしました。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (エントランスから階段を上ってきたところ)

エントランスから階段を上ってきたところ

傾斜地に沿って階段上になった空間。エントランスからサロンへと階段を上がると庭越しに東の空へと視線が伸びていきます。豊かな木々はもとからお住まいになっているお庭。自分の庭なので、これだけ開放的な窓を設けてもプライバシーの問題はおきません。いわゆる高級住宅街は今、別荘地にも負けない豊かな環境に育っているように思います。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (ダイニング・キッチン)

ダイニング・キッチン

伸長式のダイニングテーブルは、名古屋のミッドセンチュリー家具を扱うパームスプリングスで手に入れたもの。椅子はカイ・クリスチャンセン、照明はラウリッツェンのVL45です。壁の色と同化したキッチンにはアイアンの把手。別荘仕様なので質感優先の選択です。大きな窓から穏やかな光が降り注ぎます。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (建物北側の庭と外観)

建物北側の庭と外観

北側の道路から、更地になっている隣地越しに建物を見たところ。木々を密に植えて、目隠しを兼ねた雑木の森をつくっています。片流れの屋根は、土地の斜面の勾配に呼応しています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (建物外観とアプローチ)

建物外観とアプローチ

アプローチは砕石を大小混ぜた駐車スペースと雑木の庭が境目なくつながり、エクステリア然としないように配慮されています。門扉や柵はありませんが、木々が玄関へつづくアプローチの奥性を作り出してくれています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (玄関へのアプローチ)

玄関へのアプローチ

玄関へのアプローチ。石の階段と雑木の奥に、深い軒が出迎えてくれる。ヨーロピアンなブルーグレー色の唐松の外壁に、日本的な軒を組み合わせています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (エントランス)

エントランス

エントランス空間、深い軒と石畳の間に白い建具。基礎巾木(建物足元の白いところ)は、白モルタル仕上げ。汚れは意外とつかないので、真っ白だからすぐ汚れるかも・・と過度な心配はしなくて良さそうです。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (サロン)

サロン

サロン(リビング)からは、東の庭々を臨む縦長の開口と、北の庭に開けた横長の開口が臨めます。ひとつながりの空間はピットや大階段といった段差で場所を緩やかに分節しました。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (サロン(ピット)~ダイニング)

サロン(ピット)~ダイニング

地形にそって内部空間も数段ずつ上がっています。 「段差が多い」ことがバリアフリーの観点から気になる所かもしれませ専が、実は、一度に上り下りする段数を分散させる事による転落時のリスク回避と、昇降1回あたりの疲労軽減になる、という考え方もあります。それに安全に昇降運動を取り入れることは、健康上も良い事として最近では注目されています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (木々に囲まれたコンサバトリー)

木々に囲まれたコンサバトリー

天井高を1950mmに抑えたくつろぎスペース、北庭の木々に囲まれています。デンマークにある世界一美しい美術館といわれる「ルイジアナ美術館」を参考にしました。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (ベッドルーム)

ベッドルーム

ダイニング横のベッドルームは、玄関からは一番遠く、本宅の南庭を通って一番最初に入る部屋になります。漆喰で囲まれた白い空間。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (ベッドルーム/漆喰のヘッドボード)

ベッドルーム/漆喰のヘッドボード

ベッドルームのヘッドボードまわり。右奥から裏手のウォークインクローゼットに入れます。ヘッドボードは漆喰で塗りこんだニッチを設け、アクセサリーを置いたりスマホの充電ができるようにしています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (バスルーム)

バスルーム

寝室と隣接するバスルーム、トイレもこの写真の手前にあり、ホテルライクなプライベート空間になっています。床はテラコッタ、壁は白いタイルでシンプルにまとめました。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (ダイニングキッチン)

ダイニングキッチン

東側の窓辺にあるダイニングキッチン。最も天井高が高く、東の眺望を楽しむことができる場所です。キッチンは人工大理石の天板に白いマット塗装の面材というシンプルな組み合わせに、アイアンのハンドルを合わせました。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (キッチン)

キッチン

キッチンはwellkitのオーダーキッチン。カウンターキッチンはお好みではないというクライアントのご希望でI型になりました。天板はデュポンのコーリアン、マットな白い面材はあえてベーシックなものにしてアイアンのバーを合わせました。背面にはややアンティーク感のあるタイル。3.5mの長さがあり、奥行きを75cmにすることでI型キッチンの中にレンジやトースターも置くことができます。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (エントランスの薪ストーブ)

エントランスの薪ストーブ

エントランス空間は10畳程度の広い土間空間。薪ストーブを楽しめる場所にしました。この家に人が集まる時には受付の場所としても想定されています。

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (コンサバトリー)

コンサバトリー

登り庭の家/徒歩15秒の山荘 (テラコッタタイルのレストルーム)

テラコッタタイルのレストルーム

バスルームのトイレと、パウダースペース。小ぶりなテラコッタタイルとあえて床を這う長さにしたカーテンが可愛らしい雰囲気を作ってくれています。 植物はンベラータというアフリカ由来のものだそうです。ンからはじまるって新鮮ですよね・・・!

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手掛けた建築家

設計、監理、インテリアを担当

用途

別荘

居住者

単身

所在地

愛知県名古屋市昭和区

費用

設計・施工:5000万円以上

敷地面積

326.83㎡

敷地の特徴

傾斜地

延床面積

125.57㎡

階数

平屋

間取り

その他

期間

設計:22ヶ月 、施工:12ヶ月

完成時期

2019年12月

間取り

手掛けた建築家のコメント

設計、監理、インテリアを担当

市内の豊かな邸宅街に建つ、徒歩15秒の別荘です。
敷地はクライアントのご自宅の西隣り。

「歳を取ったら本当の別荘地に行くのは億劫になるだろうから、気軽に楽しめる別荘を作ろうと思って。」

と土地を購入されたクライアントと3年にわたる二人三脚でできた建築は、川名山という土地の名前のとおり、斜面を登るように続く庭々を楽しむ、登り窯のような平屋の空間になりました。

家づくりのきっかけ・施主の要望

クライアントの散歩コースに以前手掛けた別の住宅が建っていたそうで、そこに住む夫妻を通してお手紙をいただきました。
クライアントは空間を考える事そのものが趣味、というような方で、北欧アンティークのデザイナーたち(フィンユールやウェグナー、ポールセンなど)やご自身が住んでいたフランスの空間などを参考に、実用性よりもいかに空間を楽しめるか、を考えたいというのがご要望の中心でした。

この事例の見どころや工夫したところ

一般的に良しとされる南の庭をあえてつくらず、建物を南に寄せて北と東に眺望が広がるプランにしました。現在お住まいの自邸からは南側へ良く開けた庭が見えるので、違う方位と仰俯角をコントロールすることで自邸とは違う風景を感じられるよう意図しています。
特に東の庭から自邸や隣家の庭々を抜けて丘の上の雑木林を臨む眺望は、都市部にいるとは思えない風景です。これは普通の家が南側をあけるのとは逆の建物配置を取ったこと、開口の位置を調整して隣家は見えず庭だけが借景になるよう設計したことの成果といえます。
また内部はしっくいで統一した白い空間にアイアンの手すりをあわせ、シンメトリカルな空間にすることで、どこかヨーロッパを思わせるような雰囲気になっています。

施主の感想

良いとこもあったし、うまくいかなかったこともあった、という手厳しいご感想でした 笑
竣工後も家具を選んだり、プランターや小物を購入するお手伝いもさせていただいています。

事例の進み方

月2回~多い時は週に2回の打合せを重ねました。明確に決定事項を埋めていく、というよりは雑談を交えたイメージの共有が主な目的。
クライアントのイメージに対して、僕の方から建築的なアイディアやテクニックを掛け合わせて、すこしずつ形をつくっては壊し、の繰り返しでした。
もうこんなにはできないかもしれない・・・
というくらい、濃密な打合せだったと思います 笑

印象に残っていること

お好きなだけあってクライアントは知識も豊富で、人生経験も僕の倍。大変勉強になりました。
気になる建築は一緒に見に行ったりして、まさに二人三脚だったなと思います。

豊かな街の環境を住み継ぐ

空家の問題は全国で起きていますが、豊かな邸宅街でも住まい手不在の家が目立ち始めました。
それらが放置されたり、更地にされて細分化されたり、あるいは無味無臭な建物と木々のない庭へと建替えられてしまうことによって、せっかく時間をかけて醸成された街の風景が失われようとしています。
このプロジェクトはそんな街に対して、自身も豊かな庭を設えつつ、周囲へと有機的に接続することで街全体の風景を共有しようという態度で臨みました。
このような事は誰にでもできる訳ではありませんが、住民が時間をかけて育てた街並みは、ともすると別荘地にも匹敵する豊かさを持ちうること、都市部でも風景を楽しむ空間をつくり得ることに気づかせてくれたように思います。

パース/模型/CG/スケッチなど

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この事例のコンセプト

この住宅の写真

手掛けた建築家

対応業務

注文住宅、リノベーション (戸建、マンション)

所在地

愛知県名古屋市天白区八事山445荘苑八事第二303

主な対応エリア

岐阜県 / 静岡県 / 愛知県 / 東京都 / 神奈川県 / 三重県 / 兵庫県 / 愛媛県

対応エリア外についてもご相談いただけます。

目安の金額

30坪 新築一戸建て

1,800〜6,000万円

60平米 フルリノベ

480〜2,400万円

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手掛けた建築家

水谷夏樹

@愛知県