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千葉県市原市に立つ3人家族のための住宅。夫が単身赴任のため、プライバシーは確保しながらも、近隣に対してほどよい距離感を保てるように配慮しました。東西に長い敷地を生かし、住宅と3つの庭を計画。居間や回廊に面した「中庭」、落ち着いた西側の街区へは開く「眺める庭」、通過交通の多い東側へは水回りや収納で閉じた「使う庭」から成ります。シンプルな大屋根の下に、中庭周りの回遊動線、家事動線(浴室-洗面所-家事室-WIC-寝室)を計画しました。
プライバシーを保ちながら開放的に暮らしたい、水回りを充実させたい、収納をたっぷり、が建て主の要望でした。それぞれ、庭を生かした開放性、コンパクトな家事動線、収納の充実(玄関収納、外部納戸、パントリー、WIC)など、うまく実現できたと考えています。
大屋根は等間隔で並んだ登り梁、それを受ける桁(居間は重ね透かし梁)及びそれを支える四隅の五寸角柱によって支えられています。架構は全てスギの製材。中庭を通して室内へ導かれる光を軒先で制御し、この地域特有の東西の強い風を取込めるように配慮しました。一般的に中庭型にして開口部を増やすことは外皮性能を下げる要因と言われますが、実際は外皮計算の結果以上に快適に暮らせるのでは、と考えています。
居間のソファに座って中庭を眺めるのがお気に入り。想像以上に明るく、風通しもよいです。お天気によって室内の雰囲気も変わり、お日様の移ろいをこれまで以上に意識するようになりました。機能的な家事動線や冬の暖かさもにも満足しています。
ご夫妻とも建築士であるクライアント夫妻が遠方にお住まいだったため、基本的な打合せはメールで送った図面と電話で行いました。おおむねスムーズに進みましたが、ご相談を受けてから、プランニングには1年ほど時間をかけました。なお、契約や見学などの区切りの打合せや水回りの見学は直接お会いしています。
建て主家族と工務店選び、産地見学、ショールーム見学、家具選びなどじっくり行ったことです。採用にならなかったものもありますが、じっくり時間をかけて二人三脚で行えたと思っています。
東西の庭と低く抑えた三寸勾配の屋根の外観が美しいまちなみ作りに寄与すると考えました。Ua値0.86W/㎡Kの外皮性能と通風(西からの地域特有の卓越風利用)、採光(深い庇・ハニカムスクリーン)に配慮した上で、暖冷房はFF式ガスストーブとエアコンで補っています。また、杉の架構、ヒノキの床、珪藻土の壁の自然素材も、数値以上の心地よさを実現するひとつの要因です。
住まいの環境デザイン・アワード2020 特別賞(一般財団法人ベターリビング ブルー&グリーン賞)
渡辺篤史の建もの探訪
家の中心にある中庭。居間にいながら開放感を感じられます。ウッドデッキはイタウバ。
中庭から居間の眺めです。中央のガラス戸を開ければ居間と一体利用もできます。
居間は引戸を介して、読書コーナー(左)と西の間(右)とゆるく繋がります。重ね透かし梁によって6mの大スパンが実現しています。
中庭を囲う明るい回廊には、スタディコーナーや本棚や日用品のための収納を計画しました。
左:玄関に入ると、明るい中庭が目に入ります。 右:キッチン奥のパントリー。西庭に面しています。
中庭に面した開放的な居間。左側の飾り棚の下部にはFF式ガスファンヒーターが、上部にはエアコンが収納されています。