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「ふらっと立ち寄れる距離感がいいな」妻の一言がヒントに。誰もいない日中は1階全体を仕事場として自由に移動するそう。
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設計、監理、インテリア、エクステリア(庭・外構)、土地・物件探しを担当
千葉県の閑静な住宅地に、4つの家型のヴォリュームをずらしながら配置した自身の働く場を持つ自邸の計画です。
これまでのSOHOの計画だと、家の中に小さいオフィスを作るという考え方であるため、働く場と住む場の床面積が双方に限定されてしまい窮屈に使われてしまっていると感じていました。
また働いている日中は家族が外に出ているため使われていない室があるので非効率な計画となっています。
この建築では職と住をはっきりと分けるのではなく、緩やかに共有するような関係性を持つことで暮らし方と働き方が自然と繋がり合うように期待しました。
一般的な住宅の用途を持った室同士の境界を壁や建具で空間を明確に分けるのではなく、室と室の間に奥行きのある境界空間を入れることで、その境界空間上はどちらにも属さない曖昧な空間となります。
奥行きのある境界空間を入れることにより今いる室の意味をぼかして、相対した室の意味をにじませ、 自然と働く場と暮らす場がにじみ合いながら混ざり合うようになりました。
時に仕事のスペースになったり、子供の遊び場となったり、もしくは、家族団らんの場となったり、打ち合わせの場となったり、縁側のような場となります。
職と住を明確に切り替えるのではなく、生活しているうちに働いていたり、働いているうちに生活していたり、職と住がバランスを保ちながらにじみ合う建築です。
勤めていた設計事務所から独立し、事務所を併設した家族で暮らすための職住一体の住まいを構想しました。共働きのため平日の日中は、家族は外出しているので1階全体を仕事場として自由に使えるように考えました。また、「ふらっと立ち寄れる距離感がいいな」という妻の一言がヒントとなり、仕事と暮らしが混ざり合う環境になるように考えました。
家づくり計画中は毎日のように新居の話をしていました。夫婦2人であぁでもないこうでもないと言いながら、想像と理想を膨らませている時間がとても楽しかったです。
もともと、妻も同じ建築学科で現在もインテリア関係の仕事をしていため、一般的な間取りの住宅と違うところ(玄関が結構オープンだったり少し段差があったりなど)も抵抗なく、むしろ空間の面白さやここでの生活を考えた時のワクワク感を重視して、家族が毎日楽しんで暮らせる生活空間になるように意識しました。
リビングが何帖位…南側に窓を付けて…のような広さや窓の方角などの具体的な数値ではなく、リビングで何をしたいか、どういう空間にしたいかなどの理想やイメージを共有しながら設計を進めました。
それゆえに、この場所で流れてゆく時間を踏みしめてじっくりと生活することも仕事のひとつ。
季節による朝日が昇る方向の変化、冬の空気の冷たさや、夏の風の匂い。
お湯が沸く音のおもしろさや洗濯機の心地よい振動。
家族の何てことない会話や笑い声。
そんな見過ごしがちな大切なことに日々気づきながらこの場所で時を過ごす。
普通の人には何気ないことも、ここでは仕事に活かされる。
仕事は生きること。
生活も生きること。
仕事も生活も同じこと。
生活が働くことの一部となり、働くことが生活の一部となる。
外で働く人のように、オンとオフはなく、
仕事も生活も息をするように自然な行為として行えるそんな場。
息苦しくなく、自由さと心地よさ。
時に不自由さも楽しみながらじっくり暮らして働けること。