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「先祖に感謝し、住み継いできた環境と共に生きる。」健気な住宅。既存の庭を残すこと自体困難な中、ご先祖様も笑顔なはず。
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設計、監理、エクステリア(庭・外構)を担当
もとは旧家のため、美しい日本庭園が残る。
それらを生かしコンクリート打ち放しの美しさを最大に引き出すよう必要以上に手数を掛けないようにしている。
形態こそ違え、漆喰や瓦といった素材の美しさを引き出す日本家屋と、本質的には同じだと思う。
元の母屋は日本家屋だったが、軒の深さは踏襲した。それが夏の日を射防ぎ、風景を切り取ってくれるだろう。
庭にもほぼ手をつけていない。先祖に感謝し、住み継いできた環境と共に生きる。そんな、健気な住宅を目指したのだ。
計画地は大阪府内の旧家で、子世代のための母屋の建て替え計画である。
門や蔵を備えた敷地は300坪ほどあり、戦前から残る正門は昭和初期の佇まいを残す。
広い敷地を十分に活かすため、「H型プラン」を提案した。
頑丈な躯体と、単純明快なプランは、100年という時間を見据えたものだ。
広い敷地を十分に活かすため、「H型プラン」を提案した。
北棟と南棟が距離をとり、動線部のみで繋がるこのプランなら、全ての部屋に光と風を届けることができる。
北棟には水廻りや来客スペースを、南棟には広い庭とつながるプラベートな空間を配置した。中央にLDK、左右に主寝室と子供部屋という並びだ。
くびれた部分にあるエントランスは、すぐ前まで車で寄り付け、かつ明るい。
旧家と言われるご家族の住宅を何件か設計させて貰ったが、根底に流れるのは「住み継ぐ」という意識だと感じる。
銀色の畳に、ステンレスの床を合せた。 奥さんが活けた花が、彩を添えます。 建築は無機物ですが、こういった心遣いによって全く違う次元へと昇華する。
床板はステンレスで背面には黒皮鉄板。 「氷ばかり艶なるはなし」 室町時代の僧、心敬の精神を体現してみた。
向かいにあるキッチンはサンワカンパニー製。 コンクリート打ち放しとウォルナットのフローリングに、ステンレスが良く合っている。
暑い時期でも90cmある庇がその役割をしっかり果たしている。