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設計、監理を担当
昭和10年代に建った四軒長屋の1住戸をフルリノベーションする計画だ。
クライアントは、まとまった休みにあちこちと海外へ出掛ける。特に北欧が好きで、中でも青に惹かれるという。青というのは奥行きの深い色だ。この計画が目指したのは「碧(あお)」。テーマカラーとなった濃い青が随所にちりばめられている。
クライアントはお母様と2人暮らし。2階奥には洗濯干場があったのだが、お母様は踏み台を置いて外にでていた。こういった上下移動の障害がリノベーションの動機になることは多い。人は重力には抗えないのだ。
リノベーションブームと言って良いほど、この言葉を頻繁に聞くようになった。
「価値を高める」という意味だが、古いものの価値が低いなどということは全くない。
人は思い出に中にも、過去にも生きる。
創り手は、そこをよく理解していないと、ただ封をするような仕事をしてしまうのだと思うのだ。
解体中、思いのほかしっかりした梁が残っていたり、屋根裏の空間が大きかったり。
それらを活かし価値を高めている。
エントランスは南に面しており、2階にも質のよい光が入っていくる。
これらを1階おくまで届け、居室スペースを明るく風通しのよい空間を目指した。
80年の年数でかなり家もいたみ具合がすすんでおり我が家ながらストレスがでてきたこともあり「家をどうにかしなければ!」と思いました。
当初はハウスメーカーにも話を聞きに行きましたが、営業マンからの提案はモデルハウスに使われているそのままの提案..ただ、新しい家を提供するのみ。
これでは納得はいかず、信頼さえできません。
不安がつのるばかり..
そこで、一級建築士の人に1度話を聞きたいと思い、探しだしたのがビフォーアフターの「匠」の名前を持つ守谷さんでした。
緊張しながら電話すると「1度、遊びに来て下さい」と大変感じ良く言って頂き心が軽くなりました。
会って話した際もやはり笑顔で色々と話をし、家はどのように建てていくのかと丁寧に話しをしてくれました。
まるで、少年が大好きプラモデルを組み立てていく過程を話すように....
「本当に家を創るのが好きなんだなぁ」と思いました。
「この人なら信頼出来る」と確信し守谷さんにお願いする事にしました。
当初新築の予定でしたが、金額等の問題もありリノベーションにする事になりました
時間をかけて緻密な打ち合わせ、また、心配してた施工会社も信頼出来る施工会社、監督に出会え今後も何かあればお願い出来る安心感もうまれました。
80年の古びた家が新しい息吹を吹きかけ甦りました。
居心地は言うまでもありません。
守谷さんに依頼して本当に良かったと思っております。
打ち合わせはいつも女性1人でも真に向き合ってくれる姿勢。
真っ直ぐな、アツい、信頼できる建築家だと思います☆☆☆☆☆
この計画のテーマには、「碧」や「北欧」がありますが、これらは私が提案するものではない。
クライアントとよく話し、好きの中心にあるものを純化し、結晶化させていくような作業だと思っている。
設計を始めるとき、「今回の計画で、必ず叶えたいことは何でしょうか」と尋ねている。
その中に「月を見ながらくつろげる、勉強できる」があった。ロフトはそれを具現化したもの。
解体が始まるとクライアントと現場での打合せを毎週行い、変更を加えていった。
床を解体すると、下から火鉢がでてきた。掘り炬燵の下にあったものではという。お母様も越してくる前のことで知らなかったそうだ。昭和10年代から20年代、市井の人々の暮らしがイメージできる瞬間だ。
お父様は25年前に亡くなられている。しかし、その思い出はこの場所、この家に残っているはずだ。人は思い出の中にも生きる。しかし、この計画がまっすぐに幸せへと向かっていたなら、天国のお父様も喜んで下さると思うのだ。
テーマカラーの碧がちりばめられた外観。
ブルーとイエローのアクセントカラーの壁。北欧家具かしっくりなじむ。
客間にはこの家を支えてきた梁がある。 色を塗るのではなく、汚れを丁寧に落とした。 これは監督からの提案だった。 「折角なら、色を付けるのでなく垢を落としてあげましょう」という考えだ。 色を付けるより余程手間のかかる仕事で、物に対する敬意がなければ出てこない考えだ。 一も二もなく賛成した。
客間はロフト付き。右側はサンルーム。
ヤコブセンデザインのドロップに座れば、南に開けた景色が楽しめる。
はしご横には飾り棚を設けてある
2階バルコニーで干している洗濯物を、急な雨の際に持って入れる室内干しエリア。春には花粉対策にもなる。 この家の特徴のひとつだ。 ここは洗面と逆で、腰下を水色とした。
お母様寝室の置くには通り庭があり十分な採光が取れる
右側は玄関。左側はキッチン。同系色のブルーが目を引く。
レンジ、炊飯器、トースターに加えて、ネスカフェバリスタまで、全てワインレッドで統一されている。 また、それらを置くこのフロアキャビネットは造り付け。 向かいのキッチン前も同じタイルで合せた。
「かもめ食堂」で使われたケトル
お母様寝室の横にあるトイレは、思い切った色使いになっている。 トランプと不思議の国のアリスの物語がここに織り込まれているのだ。
ロフトの背面には本専用のニッチ。 サン=テグジュペリの「星の王子さま」が立てかけられている。
通り庭をはさんである洗面・脱衣室。 トップライトの光がお母様の寝室にも漏れ落ちるようになっている。 長屋の北側を、どうすれば心地よい空間にできるか。 「住之江の長屋」、「阿倍野の長屋」と、そして「碧の家」と、様々なトライをしてきた。
収納の一部をパソコンスペースとしました。 南面する窓の下枠を大きくし碧にしいる。小さなカウンターのイメージだ。