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この家の役割を理解する入居者とのイベント開催や、コーヒースタンドの開放など、地域にも開かれた住宅兼シェアスペース。
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設計、監理を担当
オーナー住戸と賃貸住宅2戸で構成された共同住宅。複数の公園が隣接するという立地条件を活かし、住宅の大半を時間によって誰もが使えるシェアスペースとし、「住宅の半分をひらく」ということを試みました。
具体的には、公園に面して1階にコーヒースタンド、地下にシェアオフィス、2階にシェアリビングを配置し、スマートロックによる時間によって切り替わるセキュリティー計画を施すことで、公園に面したとっておきの気持ちの良い場所をまちにひらいていきます。運営面ではオーナーがコーディネーターとして活躍します。
ライフスタイルを共感できる入居者をあつめ、蔵書の共有、イベントの開催などを行うとともに、公園利用者にはコーヒーを振る舞う予定。
日本の住宅が本来持っていた境界の曖昧さを建築内に取込み、街と住宅、相互の価値を高めることに加えて、「気持ちの良い空間をお裾分けする」という生活の新しい楽しみが育まれることを期待しています。
住宅を持つことで、経済的な制約を受けるのではなく経済的な自由を手に入れられるような仕組みをつくりたい、というオーナーの想いがこのプロジェクトの始まりでした。
ライフコストの大半を占める住居費をクリエイティブに減らすことを考えたかった、と話すオーナーとたどりついたのは、金利が低く長期固定で借りられる住宅ローンを活用しつつ、収益を得ることができる賃貸併用住宅をつくるということ。
公園に面した高台の好立地の土地が幸運にも見つかり、この豊かな環境を独り占めするのはもったいないということで、賃貸部だけではなく、自宅部もシェアするいうアイディアが生まれてきました。その結果、オーナーの不在時も、誰かが家を使っているという高稼働の住宅が実現し、気持ちのよい空間をお裾分けするという新しい生活の楽しみが生まれています。
デザインの目標は、大きく次の2点です。
・オーナーの家賃を実質0にし、ライフスタイルを自由にする
・オーナー宅部の大半をシェアすることで、新しい生活の楽しさを生む
上記を実現するため、オーナー宅の大半をシェアスペース(ピロティ、シェアオフィス、シェアリビング)と位置付け、時間帯によってオープンにできる仕組みを構築しました。
具体的には、シェアスペースを公園に面した気持ちよい場所に配置し、時間帯によって切り替え可能なセキュリティラインを設けており、これによりオーナー不在時には、賃貸部の住人はもちろんのこと、スペースマーケットなどで集めたユーザーがシェアスペースで心地のよい時間を過ごすことができます。
オーナーコメント:
結果的にオーナーにとって、賃貸部+シェアスペースの収益が得られ、住人にとっては、賃貸部以外に使えるスペースが増え、まちにとっては、公園に面した新たなホットスポットが生まれる(特に1階コーヒースタンド)、という3方良しの状況をつくることができてます。
賃貸併用住宅を計画したいという条件を理解し、最善の計画を提案いただきました。
その結果、住居費ゼロで生活することができています。また、法的規制を最大限に利用した計画だったのですが、粘り強く協議を行い実現していただきました。
設計時には、大きな模型を製作し、分かりやすくプレゼンしていただき、家族一同、計画内容を深く理解することができました。
誠実に対応いただき、完成度が高い建築を実現していただき、非常に感謝しています!
基本設計を共同で行った共同設計者でもあるオーナーと二人三脚で進めてきました。
土地が購入できた段階で本格的に着手し、やり取りもSNSや頻度高く会い、スケールの大きな模型も使いながらお話をすることで価値観や目的も明確に共有でき、結果的に双方が理想としていたものに近づいたと思います。
完成するまで印象深いことがとても多くありますが、建物の中の構成を検討している時間が長く、濃密な時間を過ごさせていただきました。その甲斐があって本当に良い建物ができたと思います。どの建物も完成してからが本当のスタートですので、実際に自ら入居し運営をお手伝いしながら見守っていきたいと思います。
シェアスペースを内包した賃貸併用住宅というハード面もさることながら、それを運用し育む仕組みをいかにつくるかということが大切だと考えています。
単なるスペース貸しだけでは、面白くない。常にコミュニティマネージャーが介在し、クリエイティブにシェアスペースを活用し、そこを使う人同士をつなげる仕組みが必要不可欠です。幸いなことに半地下スペースに私たちのオフィスが入居させていただき平日のシェアスペースを管理し、休日はオーナー家族がシェアスペースのコミュニティマネージャーとなることで、普段の生活の中で無理なく運用することができています。
運用を始めて可能性を感じているのは、「ひとつの場所を共有することで、あたらしい縁が生まれる」ということです。心地よい場所を共有することで、それを気持ち良いと感じる同じ価値観の人が集まる。そこから新しいプロジェクトや、スキル交換が生まれると最高だと思っています。
そんな暖かく、クリエイティブな循環がうまれることを楽しみに、見守って行きたいと思っています。
少し高台にあり、目の前には公園が広がります。
夜は部屋の中の明かりが漏れ、周辺にも明るい雰囲気を出しています。大きな窓には障子もあるので、中は見えずに光だけが外に漏れます。
2Fのシェアリビングは大きな木製の水平窓があり、前面の公園や北側には見晴らしの良い景色が広がって開放的で明るい空間です。北側の窓辺には大きな造作のソファがあり、直射日光は当たらない明るい窓辺で過ごすことができます。
シェアオフィスには蔵書も共有できます。真ん中には1600mm×1600mmの大きなテーブルがあるので、大人数での打ち合わせもできます。
B1の賃貸部分にはキッチンやバスなども設置されています。窓が大きく明るいので、地下っぽさはあまり感じられません。
2Fシェアキッチンの造作窓。斜面地にあり、北側が低くなっているので直射が当たらず明るく開放的な景色が広がります。外には防火雨戸、中には障子があり、状況に応じて閉じることができます。
2Fシェアリビングの造作窓の障子です。柔らかい布が貼られていて、こどもたちが破く心配もありません。
1Fのシェアスペースにはシンクがあり、コーヒースタンドやイベントなどを開催しています。目の前の公園に来ている方たちにもふるまっています。
1Fのシェアスペースにはシンクがあり、コーヒースタンドやイベントなどを開催しています。目の前の公園に来ている方たちにもふるまっています。2面を開放することができるので風通しがよく、気持ちの良い空間です。
1Fの賃貸スペースです。壁3面に大きな窓がある開放的なワンルームです(仕切ることも可能です)。住居以外にもいろいろな使い方ができるようにしています。