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〜その楽園には、ふたつの特別な木が植えられていました〜
過密な都市のなかで、プライバシーを守りながら気候と天候の変化をかんじ、家族が楽しくおおらかに生活できる場所を提案します。
住宅密集地の旗竿地のため隣家が近接する1階に家族の寝室と水周りをまとめ、日当たりのよい2階に家族が集うLDKを設けています。LDKは、外部からの視線を遮りながら南の空に向かって開く外部空間“空庭”と連続しています。
空庭は、空へと旺盛に枝を伸ばすヤマモミジが地上から貫き、鉄板で作られたひさしが雨音を響かせ、滝のように流れ落ちる雨水が見えます。過密な都市のなかでプライバシーが守られた家にいながらにして、"自然の息吹"を、見て、聞いて、確かめることができます。
一方、LDKは、起伏に富んだおおらかな大地をイメージしました。その大地には、トップライトから降り注ぐ光に向かって大きく枝を伸ばす、大樹のような本棚がしっかりと根ざしています。
四季に応じて新緑・紅葉・落葉を繰り返し、ダイナミックに建ものを突き抜けるヤマモミジが『生命の木』であるなら、書物を葉のごとく枝に繁らせた本棚は、まさしく『知恵の木』です。
楽園の象徴であるふたつの『木』が、家族の生活を常に見守ります。
お住まいになっていたマンションのすぐ近くで土地を入手されたお客様からお声がけを頂きました。
家族とアウトドアライフが大好きなご主人でしたので、いつも家族と一緒にいられる場所、家でもアウトドアライフを楽しめる場所となるよう、打合せをしっかりと重ねながら、設計を進めました。
また、ご主人が『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日)の大ファンで、渡辺さんに会うのが幼少時からの夢ということを最初に伺っておりましたので、建築作品としての高い完成度はもちろん、物語性のある家にすることを目指しました。
旗竿地で隣家が密集してるため、1階の日当たりがどうしても悪くなってしまうのですが、なによりも優先するのが、家族が集まるLDK、というお話を伺っておりましたので、1階は水周りと寝室のみでプライバシー優先主義、2階はオープンで日射しを取り入れた家族みんなのアクティビティを最大限発揮、というように上下階で明確にゾーンを分けました。
2階はワンルームの大空間ですが、スキップフロアで高低差をつくり、家具の配置を工夫することで、料理、食事、団らん、勉強、読書、演奏、ボードゲーム、ぼーっとする、等、アクティビティの内容によって場所を見つけられる多様な空間となりました。
完成後はオールシーズン、毎週末のように2階のバルコニーで、家族で食卓を囲んでいるとのことでした。バルコニーではハーブなどの食材も育てらえていて、まさにアウトドアリビングを実践されているご様子です。
また、『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日)へのご出演では、幼い頃からの夢が実現したということで感謝のお言葉を頂戴しました。
最初に詳細なアンケートにご記入を頂き、具体的なご要望から漠然としたイメージまでしっかりと伺っておりましたので、ラフプランは修正1箇所ですんなりとまとまりました。
その分、詳細設計では細やかな部分までしっかりと時間をかけて設計することができました。
バルコニーを貫くモミジや、本棚と間接照明が合体した木の造形物など、ともすると“夢物語”と一笑に付されておしまいになるようなアイディアでしたが、それでも想像で終わらせることなく、技術者や施工者の力を借りてカタチとして実現し、夢ではない現実の“物語”を紡ぐことができたのは、おおらかで理解あるお客様と価値観を共有できたからこそであり、感謝の念に堪えません。
『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日)
他
トップライトから降り注ぐ日の光に向かって、のびのびと育つ木のような本棚には、その枝に知恵の果物である本が実ります。そして夜には幻想的な間接照明として機能します。 『知恵の木』は屋内のシンボルツリーです。
南側のアプローチから見た外観です。前庭にはヤマモミジが植えられています。
2階のダイニングから、アウトドアダイニングである“空庭”を見ています。
キッチンの調理台から、ダイニング、リビングと、本棚である『知恵の木』を見ています。
“空庭”の床を『生命の木』であるヤマモミジが貫き、鉄板で作られた庇に集められた雨水が、ガーゴイルから滝のように流れ落ちます。
ライブラリーは読書やボードゲーム、音楽演奏等を家族で楽しむための、テレビがない第二のリビングルームです。 地窓からはバルコニーのアウトドアダイニングとシンボルツリーが見えます。
広いバルコニーの床は1階の前庭からシンボルツリーのヤマモミジが突き抜けています。2階でありながら、豊かな緑の下で、アウトドアの食卓を囲むことが出来る、“空庭”です。
リビングの一角に畳の間を設けました。 緩やかなカーブを描く天井は、トップライトからの光を導きます。
畳の間からは、リビング、ダイニング越しに“空庭”が見通せます。 畳の間はリビングと襖で仕切ることも可能ですが、緩やかな弧を描く天井と欄間からトップライトの光が導かれるため、明るく開放的です。
1階の前庭に植えられたヤマモミジが2階のバルコニー“空庭”の床を突き抜けています。生命力に満ちた『生命の木』であるヤマモミジは夜には前庭からライトアップされ光り輝きます。
リビングの本棚『知恵の木』は、LED光源を内蔵しており、照明器具としても十分に機能します。
シーンコントローラーで制御された照明器具が、LDKの様々なアクティビティに対応した光の空間を演出します。