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山手線の駅から近い商業地域と木密地域の境目あたり、駅や商店街へ向かう人や自転車が行き交う少し賑やかな通りに面して建つ住宅です。間口4m、奥行12mの細長い敷地で、境界ぎりぎりまで隣家が迫っています。土地探しからご協力させていただき、絵本の編集者である建て主はご実家から近いエリアの土地を検討される中で、下町の風情を残しながら住宅地と商業地域の間のほどよい人通りのあるこの場所で将来家庭文庫のように住み開く構想を持って土地を決定されました。
細長い敷地の特徴を活かし、また将来の住み開きを想定して、町家のようにおもて、みせ、なか、おくの4つ領域に分け、街との関り、光や視線の操作を試みました。
また、近隣では庭のない住宅が多い地域でそれぞれが工夫をこらして小さな緑を演出しており、そんな小さな緑を参照して立体的な緑の庭となる「おもて」をつくりました。おもてができることで街と住まいの距離が調整され住み開きの場となる「みせ」は半分開かれた場所となります。中庭のような中央のオープンスペース「なか」は光や空気を循環、拡散させます。
土地探しから家づくりのご協力させていただき、感覚を共有しながら家づくりを行いました。通りの雰囲気や下町風情のある地域を気に入られて土地を決定し、その思いを大切にしながら建築計画を進めました。
幅の広い道路に面し、商工業地域と住宅地の間の街区に立地します。 建て主は将来、家庭文庫(住宅の一部を開放し地域の子どもが本に触れられる場所)を開く構想があり、この土地を選びました。 写真:西川公朗
人通りが多い道路に面するため、道路から建物を2m程セットバックさせ、緩衝空間となる立体的な庭をつくりました。バルコニーはエントランスの庇を兼ねるため、下からの見え方に配慮した鉄骨造の薄い構造としました。小さなスペースで緑が立体的に連なっていくように、植物への採光や成長を考慮して植栽配置とバルコニーの形状を決定しました。3つの庭にかけたワイヤに蔓植物がつたうことで将来、緑の格子で庭が繋がり、緑で覆われた空間ができます。 写真:西川公朗
エントランスは木製サッシのガラス引戸とし、小さなお店の佇まいで外から土間の本棚が見えるようにしました。ワイヤに植物がつたって緑の格子ができあがると、玄関前に少し囲われた空間が現れ、街と住宅の緩衝スペースとなります。 植栽はシンボルツリーにカリステモン、2階にはレモン、シマグミ、ブルーベリー、蔓植物にはフジ、ヨーロッパブドウ、テイカカズラなど多様な植物を植えて、通りからも内部からも楽しめる庭とし、また日差しや視線を遮ることで居心地よい窓辺空間をつくります。 写真:西川公朗
絵本の編集者である建て主(妻)が将来、家庭文庫として住み開くことを想定しています。温水式の床暖房がコンクリート床に埋設されており、家庭文庫として使う際には床にラグを敷いて子どもたちが座って本を読んだり遊んだりできるようにしました。 写真:西川公朗
絵本を中心に、本や雑貨を置ける棚、有効合板を使った飾れる壁で囲まれた空間。正面の本棚の開口はベンチを兼ねており、その向こうが生活スペースでもあるこあがりで、カーテンで仕切られます。 木造3階建てで構造壁が多くなりがちな1階部分で、本棚と構造壁を重ねることで壁の存在感を消しています。 写真:西川公朗
こあがりは衣類収納、階段を兼ねるスペース。カーテンを開けると土間と繋がります。 この住宅にはいわゆるリビングルームという部屋はなく、様々な場所に小さなリビングとなる居場所が点在しています。階段下のソファは造作で作った収納付きベンチに建て主所有のクッションを置いてソファとしたもの。 写真:西川公朗
細長い空間の中で、スキップフロアにより緑や空が見える複数のアイストップをつくり、視線が長手方向へ遠くまで抜けるようにしました。 最上部のトップライトから入る光は中の間の吹抜けを介して室内に広がります。 写真:西川公朗
バルコニーの窓は植栽と高さを揃え、窓台を広げてベンチとし、窓辺で過ごせる居場所をつくっています。 写真:西川公朗
キッチンは壁面に沿ったコンパクトなカウンターとし、食器や調理器具が効率よく収納できるデザインとしました。 写真:西川公朗
キッチンは壁面に沿ったコンパクトなカウンターとし、食器や調理器具が効率よく収納できるデザインとしました。 写真:西川公朗
階段も居場所にできるよう幅、踏面の広い階段とし、半階上がった中の間へ緩やかに繋げます。 写真:西川公朗
階段も居場所にできるよう幅、踏面の広い階段とし、半階上がった中の間へ緩やかに繋げます。 写真:西川公朗
個室は将来子供部屋になる想定で、中の間と引戸で仕切られます。 写真:西川公朗
トップライトからの光は寝室の屋根に反射して室内に拡散します。トップライトは開閉可能で、夏季は開放して熱気抜きができます。2階から3階への階段はメッシュの段板としてトップライトからの光を1階へ送ります。 写真:西川公朗
寝室は切妻屋根の小屋のような空間。天井上はトップライトからの光の反射板となっています。 寝室外の窓台には背の低い植栽を配置。 写真:西川公朗
フリーランスの夫の仕事場として、吹抜けに面して2階の気配のわかる位置に書斎を配置しました。 写真:西川公朗
書斎の棚は高さを変えられるため、撮影時には子供のお絵描きスペースとして使われていました。 写真:西川公朗
写真:西川公朗