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設計、監理、エクステリア(庭・外構)を担当
光と風をとりこみ、地域とつながる障がい者のための住まい。
第5回埼玉建築文化賞、第4回三郷市景観賞 最優秀賞を受賞しました。
中庭を囲むコの字プランの平屋。
東、中央、西と3つのゾーンからなりますが、中央棟は東棟と西棟をつなぎながら、みんなが集うリビングスペースになっています。
リビングスペースは南と北に窓があり、光と風と季節の移り変わりを感じられる空間です。
南の大きな窓は、テラス~中庭~そしてそのまま地域へ、とつながっていく窓。
北の腰窓は、お隣の農家さんのくだものの木が見えたり、猫が散歩していたり、一日眺めていたくなる窓。
生活していくうちに、自然を取込み自然を感じ、そして地域の人たちとの交流をも育んでいくスペースになっていくことと思います。
障がい者福祉法人のお施主様でした。作業や就労の場所はすでにいくつかあったのですが、住まいはまだ男性用が一つあるのみで、次は女性用のグループホームをと切望されていらっしゃいました。郊外の落ち着いた場所に土地がみつかり、地域のみなさまと共に生活してくことのできる、施設ではなく”住まい”をご要望されました。
リビングスペースの丸柱には、この大地、地域にしっかり足を張って生活していけるようにという願いを込め、見た目も手触りも丸くして、気持ちのヨリドコロになるようにしました。
光と風が通り抜ける南北や東西の窓配置、中庭を眺められる玄関ベンチ、三角アーチの廊下、飾り棚にもベンチにもなる窓台など、住まいとして快適で、生活が楽しくなる仕掛けを織り込みました。
内装は、無垢材と漆喰、そして自然塗料で仕上げています。
初期段階で6案ほどのプランを提出したうち、気に入ってくださった案がほぼ最終形になっていきました。個室を南面させることよりも、長い時間をみんなで過ごすリビングゾーンをたっぷり南へ開放する案でした。
担当者の方とだけではなく、お世話をされる方、保護者のみなさま、法人の関係者のみなさまとも打合せを行いました。少人数で詰める打合せ、沢山の皆様に意見を伺う打合せを繰り返しました。
お施主さまからは主に使い勝手やお世話の方針からくるご意見が多く、デザインや窓の取り方、素材の決定や照明計画などはお任せ下さり、提案するものを楽しんで下さいました。
国や県から助成金を受けることもあり、そのスケジュールに乗せていけるように決定タイミングを計りながら、各種の提案打合せを進めさせていただきました。
担当者の方とだけではなく、お世話をされるスタッフさん、保護者のみなさま、法人の関係者のみなさまとも打合せを行いました。少人数で詰める打合せ、沢山の皆様に意見を聞く打合せ、時には保護者の方々とファミリーレストランで打合せをさせて頂いたり、それぞれに出来上がる建物にかかわって下さる、いろんな立場の人のお話を聞かせていただきました。
また、作業所にお伺いして作業の様子を拝見させていただいたり、運営されているカフェでパンとお茶を出していただいたり、障がい者のみなさんとお話する機会も随所でつくっていただき、設計しながら皆さんの仲間にして頂けたのがとても嬉しかったです。その経験で得たことは、小さなところあちこちに建物へ詰め込ませていただきました。
丸い大黒柱のあるリビング。南の大開口と北のベンチ付き窓を光と風が通り抜けます。
丸い大黒柱のあるリビング。南の大開口から、テラスと中庭、それから地域へと繋がっています。
リビングと中庭をつなぐ、軒の深いテラス。 構造部材あらわしの軒は、リズミカルに垂木が並びます。
玄関からリビングへ導く空間。 ベンチと中庭が見える小窓を設えました。
障がい者の方のための住まいなので、ゆるやかなスロープ状の玄関土間としています。 玄関に浮かぶ下足入れは、見た目は軽やかで、お掃除も楽々です。 リビングへとつながっていくベンチコーナーは、荷物置きに、休憩場所にと便利に活躍します。
キッチンスペースからリビングを望む。 キッチンからリビング側の様子が見えるように、小窓をつくりました。 シンプルですがちょっとしたカウンター腰壁は、作業に手を出してしまって危険にならない様に防御しつつ、視線は通せる高さにして安全に見る楽しみをつくりだしています。
キッチンからリビング側の様子が見えるように、小窓をつくりました。 キッチン前のカウンター腰壁は、作業に手を出してしまって危険にならない様に防御しつつ、視線は通せる高さにして安全に調理をみる楽しみをつくりました。 背面には作業台をメラミン化粧板仕上げで製作しています。 家電台、盛り付け台として使います。 可変性と費用削減目的で、カウンター下をオープンにしたシンプルな作業台としています。使い勝手や収納物に合わせて、カゴや引出を置いて活用していただいています。
浴室やトイレへアクセスする動線を兼ねることで、ひろびろ洗面コーナーを実現。 六人の入居者さんたちが、わいわいと身支度できるスペースです。 可変性と費用削減目的で、カウンター下をオープンにしたすっきり洗面台としています。住まいながら使い勝手に合わせて、カゴや引出を置いて活用していただいています。
三角アーチの廊下。空間に浮かぶ光の粒。 バリアフリーに、流れるようにつながっていく空間。 部屋に戻るのもちょっと楽しくなる廊下です。 手摺は手触りを重視して、木で製作しています。 廊下幅は車椅子でも通行しやすい1.2mを確保しました。
深い軒のある平屋の建物です。写真中央に見える大きな窓はリビング。リビングから、テラス、中庭、そして地域へと空間も活動も広がっていく建物です。 駐車スペースは緑化し、バンを寄せ付けてみんなが乗降するアプローチは広々と、玄関前にはバリアフリーの階段とスロープを設けています。 塀はなく、植栽で空間を区切る程度で、地域にひらかれたこの建物は、三郷市景観賞の最優秀賞をいただきました。
RCの自立壁でインターホンコーナーを製作。 「ひなぎく」の表札は、明るくて楽しい印象になるよう、黄色の切り文字にしました。
建物内には、トイレ2つ、浴室2つを備えています。 写真はそのうちの一つで、介助が必要な時にも使えるバリアフリー仕様です。