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設計、監理、エクステリア(庭・外構)を担当
夫婦2人、子供1人が住む木造2階建て、延床面積は約70m2の一戸建て住宅です。
開放的なリビングにするため、高い天井高の2階すべてをLDKとしました。寝室、子供部屋、浴室、洗面などは1階に計画し、ぐるりと回遊できる動線とすることで、利便性があり狭さを感じさせない間取りとしています。
70m2とは思えないような広くのびやかな家です。
家を建てると決めたとき、最初はハウスメーカーに足を運びましたが、要望に対して「できない」といわれることが多く、最初はアドバイスを聞きたいとのことでご相談いただきました。相談を聞くと、ハウスメーカーではNOといわれたことも私の方ではほとんどが出来る内容だったため、依頼を決めたそうです。
ご要望は「インナーテラス」「開放的なリビング」のほか、木工家具の作家さんがつくったダイニングテーブル、ソファなどの木製家具や無垢のクルミ板などを所有しており、内装はそれらと相性の良いテイストにすることを望んでいました。
2階は正方形のワンフロアすべてをつかったLDKで、階段とバルコニーを結ぶ対角線上に、リビング・ダイニングを配置しました。2階平面の使い方を45度斜めに振り、メインの居場所となるリビング・ダイニングを斜めに配することで最大限の奥行きを取りました。
床は、キッチン→リビング・ダイニング→バルコニーや小上がりにかけて徐々に高くなるスキップフロア。天井は構造を見せる現し仕上げで切妻屋根の形を生かしており、リビング・ダイニングの上が最も高い勾配天井となっています。
これらの工夫により、のびやかで開放的なLDKでありつつ、大きなワンルーム空間だけではない、「天井が高く、外まで見渡せる開放的なリビング」「少しこもり感があって落ち着く小上がり」などの多様な居場所をつくっています。
また、東西南北全てからの光が届くように計画したハイサイドライトは、住宅密集地でありながらも、時間帯ごとに日差しや空の変化といった自然を感じる要素となっています。
キッチンはオーダーメイドで、「への字」に曲げたカウンターにする事で空間を広く使えるようにしました。側面はクルミの無垢板、天板はツヤのないバイブレーション仕上げのステンレス。水栓もマットな質感にこだわり、空間の木の雰囲気に溶け込ませています。
毎日楽しく生活しています。
特にリビングは居心地が良く少しでも長く居たいと思う素晴らしい空間となっています。真四角の土地と建物の中に三角形を多用しているデザインはとてもおもしろく気に入っています。屋根の一部を90度回転させる事で驚くほど明るく常に陽が入る。この光を取り込む三角形のFIX窓や小上がり空間などがとても良いアクセントとなっています。
階段をのぼり、2階に入ったときの視界。階段はLDKの隅に位置し、向かいにはバルコニーがある。その対角線上に広がるのがリビング・ダイニング。写真左はキッチン、右が畳の小上がり。床はキッチンから徐々に高くなるスキップフロアで、バルコニーと小上がりが一番高い。
大きな勾配屋根がおおらかな印象。垂木を見せた現しの天井は白い塗料で薄く塗装し、木の重々しさを和らげた。壁は漆喰系の塗り壁、床は節が豊かな表情を生み出す無垢のオークを使用。
写真左上が90度回転された屋根。ハイサイドライトとトップライトからの光が階段を通り、1階に届いている。
リビングからの眺め。天井が高い上、バルコニーを介して外まで視線が抜け、心地よい開放感がある。
バルコニーは窓が斜め手前に入り込み、半分家の中にあるかのよう。連続屋根がLDKとの一体感を高めている。
正方形のLDKの4隅のうちの1つは、キッチンスペース(写真奥)。床はスキップフロアでキッチンが一番低いため、リビング・ダイニングから見るとカウンターが低く感じられる。ダイニングテーブルの高さと揃い、圧迫感がなく、空間を広く感じる効果を生んでいる。
特注したキッチン。天板はマットなステンレス、側面や収納はクルミの無垢板の帯鋸仕上げで、空間の木の雰囲気に馴染む。
階段(写真奥)からすぐにキッチンという抜群の動線。ハイサイドライトやトップライトから明るい光が入る。
「インナーテラス」との要望に応えたバルコニー。勾配屋根が家の中に入り込んだような印象を造り、LDKとの一体感が高い。
階段も洗練されたデザイン。2階のハイサイドライトやトップライトからの光がここまで届く。
1階の玄関を入ると、ディスプレー棚。その奥は洗面室で、帰宅後すぐに手洗いなどができる。
洗面台は造作。奥の洗濯機の横にバスルームがある。手前右に行くと家族の衣類をまとめてしまえる大容量のクローゼット。床はサイザル麻で素足が気持ち良い。
洗面室。奥は玄関扉。その手前を右に行くとWICや個室があり、ぐるりと回遊して洗面室に戻ってこられる。
1階トイレ。2階からは人目が届かない位置に小さな吹抜けをつくり、2階にそそぐ陽光だけを採り込んでいる。
道路に面したファサードは東向き。垂木を張った深い軒やバルコニーのウッドフェンスなど、外観も木のぬくもりが感じられる。
グレーの外壁は、セメント本来の表情を生かした素材を下見板張りとしている。ランダムな「むら」の微妙なニュアンスが、味わいを生んでいる。