家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討に役立つ機能や情報が満載!
アカウントをお持ちの場合
設計者自邸です。限られたスペースを「余すこと無く使うという気概で設計」したそう。デッキを臨むキッチンの理由に感嘆。
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
設計者自邸です。
小さい敷地でもしっかりとした庭を作り、屋内の様々な場所から庭や木が見えるということと、面積が小さくても狭さを感じさせないことがメインコンセプトです。
敷地内の植物以外にも、西向かいの植裁や東のアパート裏のちょっとした植樹帯なども借景として楽しめるように窓の位置を検討しました。
容積率から35坪強まで建築可能な敷地ながら、延床面積で25坪と狭小と言える程ではないものの戸建てとしてはコンパクトな面積に抑え、その分内容を充実させて屋内空間は玄関、トイレなども含め全てを居室としてフル活用するくらいのつもりで設計しました。
家族が集まれる場所としてのリビングや可動式の小上がりがあり、少し距離を取りたいときは踊り場のベンチや玄関のソファをはじめとする各所で読書をしたり植物を眺めたり楽器を演奏したりと思い思いの過ごし方ができるようにしています。
現時点では間仕切りとなる扉はトイレと脱衣室の2箇所しかなく、離れた場所にいてもお互いの気配は感じられる距離感となっています。
小さな面積でも窮屈に感じないように、視線を遠くに飛ばすこと、また、緩い仕切りをところどころに設けることで奥行き感を出すことなどで印象を操作しています。
意匠面では、1階は少し薄暗く落ち着いた雰囲気、2階を明るく暖かい雰囲気として、気分によって居場所を選べるようにしています。
また、左官の天井をきれいに見せたいという思いがあり、極力天井に機器類を設置せず、照明もダウンライトは使わずになるべく天井も照らす計画としています。
性能面では構造は耐震等級3相当の設計をしており制振ユニットも導入、断熱は外断熱でHEAT20のG1基準を満たし(UA値0.54、ηAC値2.7、ηAH値3.2)低炭素建築物の認定を取得しています。
見学ご希望の方はお問い合わせください。
予算に限りがあることもあり、できる限りコンパクトに纏め、密度を上げることを重視しました。左官の内装、植裁、美しい天井などを今後の施主に勧めるため、いつでも見てもらえるような家を目指しました。
家のすべての空間を居室として活用できるというコンセプトで、建前ではなく実際に余すこと無く使うという気概で設計しました。狭くても家族同士が適度に距離感を持てるよう、どことなく気配を感じながら干渉せずに過ごせる場所を散りばめました。
必要な場所に適度なスペースを分配することで子育てにおける家で感じるストレスというものがかなり軽減しました。家事を行う場所に立つ喜びを与えることで、家事の苦痛も軽減しました。引っ越し直後から3歳の子供が我が家のようにくつろいでいたのを見て報われた気がしました。
意見を聞く相手が妻だけだったので、毎日アイディアを図面やパースに落としては確認することができたのは一般的な設計よりは楽でした。
設計者、監理者、施主の立場を一気にこなすというのが相当大変で、竣工後はしばらく抜け殻状態に。
現場がもとの家からすぐ近くだったので毎朝こまめに現場を見ることができ助かりました。
造園の計画、施工は荻野寿也景観設計さんに依頼しました。
1年を通して花が楽しめる裏山っぽい雰囲気で、日々ちょっとした発見を楽しませていただいてます。
ガラスの入った玄関引戸に入る光が透かし編みのカーテンを通して左官壁に影を落とし、真夏の西日も少しだけ涼しげな雰囲気になります。
面積的には小さな家ながら、玄関を広くしておくと大勢の来客にも余裕を持って対応できます。 この日の来客は大人と子供合わせて30人となりましたが、なんとかなるという感じでした。
冬至の昼は天窓からの光の角度と天井勾配が同じになり、壁面に美しい影が落ちる
通りに面する窓は玄関引き戸を含めて庭、木、周囲の借景への視界を確保する目的で大きさと位置を決めました。 また、通りから見た時に外壁が樹木の背景となるように、2階の壁面は開口を最小限に抑えています。
1階の水回りの上をウッドデッキとして奥庭とリビングをつなげています。 写真右手が南面ですが、お隣の建物が迫っているので壁を高くしてプライバシーの確保と空間の落ち着きを両立しています。
キッチン越しに子供室で遊んでいる様子が見える。
玄関に併設して、土間を掘り下げたスタジオを設けた。音楽や運動を楽しむスペース。
2階を道路に向かって跳ね出して玄関前のひさしを深く取ることで、雨の日にも濡れずに身支度等ができ、玄関引戸を全開にすると、ポーチを玄関から続く半屋内的な感覚で利用できます。 ポーチの袖壁は玄関引戸が延焼ラインから逃げるための防火壁も兼ねているため、玄関引戸は防火設備とする必要がなく一般的な製作の木製建具としてコストを抑えています。 ポーチに設置した机は帰ってきた時の荷物置き場の他、椅子を持ってきて仕事をしたり本を読んだりといった使い方もできます。
玄関は単に靴を脱ぎ履きする場ではなく、前庭を見たり簡単な接客をしたり、将来的にはピアノを置いてスタジオを含めて音楽スペースなどとしても利用したいと考えました。 玄関ポーチから続く壁は外壁仕上げをそのまま中まで引き込み、軒裏の高さも天井と合わせることで、玄関引戸を開け放した時にポーチまでが一体空間として感じられます。 行き止まりの私道沿いで近隣住民以外はほとんど人通りが無く人目はほとんど気にならないので、リモートワークが多くなった現在ではポーチに設えた机で外の空気を感じながら仕事をしたり、ご近所との井戸端会議をすることもあります。
庭を見ながらくつろげるように簡易テーブルを設けた玄関ポーチ
ペンダントライトは引掛け部分を天井内に隠し、すっきりした印象にしています。
夜は外灯とポーチ灯の明かりがグリッド状のカーテンを通して内部にやや宗教的な模様を作り出します。
玄関土間は時々レイアウトを変えて楽しんでおり、最近はソファを中心にしたレイアウトが使いやすく感じている。 大きなガラス引き戸の前のカーテンは適度に日射を遮り、時間とともに幾何学模様の影が変化していくのを楽しめる。 アルテックのアアルトデザインの半円テーブルにはレコードプレーヤーを置いて、リモートワーク中にレコード片面分の時間をソファで寛ぎながら休憩するなどといった使い方もしている。
階段踊場の下を土間レベルからさらに一段掘り込んで天井高さを確保し、庭を見ながら楽器や運動を楽しむスペースとしています。 2階でテレビなどを見ていても空間としてつながっていながら、ぎりぎりお互いの音が干渉せずに許容できる距離感となっています。
スタジオからは前庭を楽しめます。
当初の計画では玄関横のこの場所はあくまで玄関収納で、一応パソコンなどを置くもののここで長く過ごすつもりはありませんでした。 着工してからコロナ禍でリモートワークが多くなったこともあり、ここで過ごす時間が多くなりそうだということで玄関に向けて小さな開口を設け、仕事中もここから庭や来客の様子などがわかるようにしました。 座ったときの目線の高さで窓も設けてあるので居室としてもそれほど閉塞感はなく、適度に静かで集中するには良い場所となっています。
階段前には外から帰った時とトイレ用を兼ねる手洗いを設けています。 こういった場所の手洗器は小さいものになりがちですが、小さいと水しぶきが周囲に飛びやすく、結局掃除が面倒で使わなくなったりするため少しでも大きなものを設置できる場所を考えることが後々のためになると考えます。 スリット状の窓で目線を切りながら明かりを確保し、釣棚の釣竹に見立てた銅管を蛇口にしています。 階段を1段上がると子供でも手が届く高さとなっていて、帰宅時にスムーズに手洗いができるようにしています。
2階の開放感とのコントラストを強めるために、登り始めは両側の壁を屹立させて谷底のような印象を与えるよう計画しています。 階段板はオークの無垢材で、接合部分はノンスリップ目地に隠して継ぎ目が感じられないソリッドな印象をもたせています。
踊場は玄関とリビングを繋ぐ場所として、本棚と読書スペースとなるベンチを設えています。
階段踊り場に設けた読書スペースの窓。ブラケットライトから季節の飾り物などを吊るして楽しめる。
写真左上のベンチからリビングへの抜け道は本棚の今後への余裕兼子供の遊び用として設けたましたが、リビングにいる人と物を受け渡すのにも重宝します。 また、これは生活を始めてから気づきましたが、2階から1階まで降りずに柵越しに玄関にいる人に物を渡すという利用機会が多いです。
降りる時は少し薄暗い中に降りていくという感じで、静かな空間に向かって気持ちを切り替える装置のような意図してますが、子供には効かないようです。
階段を登って振り返ると、リビングと小上がりの目隠しが見えます。 適度な高さを持った目隠し板が1枚あることで奥行き感が生まれ、階段を含めても15畳程度の空間ながら実面積以上の広がりを感じます。
階段を登ると正面にベンチ越しのルーフデッキがあり、その手前に小さなソファのある小リビングスペースがあります。 デッキがリビングより1段上がることで少しこもった感じが生まれ、ソファをルーフデッキに向けてデッキ前のベンチをオットマンのように使って外を見ながら過ごすこともできます。 ルーフデッキを2階の床より高くすることは階高を抑えることにも繋がり、建物の高さも低くなるためにコストを抑えられたり建築基準法の斜線対策が容易になるという側面もあります。
ルーフデッキの南側は壁を立ち上げ、お隣とお互いに気にならないようにしています。 リビングから壁面が連続しているような雰囲気も出るので、上部に渡した桟にすだれなど掛けると半屋内のような風情になります。 ウッドデッキを防水面から30cm弱高く設置しているので、FRP防水をしっかり立ち上げた状態でも水切りが隠れてすっきりとした印象となっています。 東側は賃貸住宅でどのような人が住むかわからないこともあり完全に目隠しをすることで逆に不安になる可能性を考慮し、孔の空いている花ブロックを積み適度な目隠しとしています。
階段とバルコニーの間のスペースは外を見たり本を読んだりくつろぐ小リビング。 バルコニーに出る部分をベンチ上にすることでL型に座ることもできる。 ベンチ下は収納になっている。
天井の勾配は冬至の頃のトップライトからの太陽光の角度と合わせています。 あまり冬が好きではないので、家にこもっている時にちょっとした楽しみを見つけるための工夫の一つです。
西側の窓は前庭のアオダモ、コハウチワカエデの他に向かいのお宅の植裁も楽しむためにはめ殺しで床からの窓としています。
夏の西日はハニカムプリーツブラインドで熱対策を行う。午後はベランダ側からの優しい採光でブラインドに映る木陰を眺めながら涼しげに過ごせる。
リビングから1段上がって取外し可能な家具的なつくりの小上がりがあり、ここでゴロゴロしながらテレビを見たり、来客が寝泊まりしたりできます。 トップライトで明るさの確保と熱の排気を行い、壁面に窓を設けないことで落ち着いた空間となっています。
床柱的なイメージで設置した丸鋼は袖壁の補強が主目的ですが、手はつりの丸柱と対になり垂直方向を強調する役割も担っています。 南側はお隣の家がすぐ近くにあるためにリビングには南に面する窓を設けていませんが、トップライトと東西の窓から一日を通して充分な明るさは確保できています。
小上がりからもルーフデッキと庭木が見えます。
リビングから見るキッチンとルーフデッキ。 キッチン入口の上のルーバー内にはエアコンと給気口、照明が設置されている。
シンクが丸見えにならないように設けた袖壁は角を丸め、少し遊び心を出してふきんなどを掛けられる丸穴を開けています。
キッチンは天井を低めに抑え、ルーフデッキに面する天井までの窓を設けて視線を外へと誘導しています。 ルーフデッキの壁を高く立ち上げることでお隣の目線を切り、同時に植裁も映えやすく、外の変化を楽しみながら気持ちの良く台所仕事ができます。 竣工時3歳の子供がおり、このくらいの子育て時期に家を建てる方々の多くがリビング全体を見渡せるような対面キッチンを要望されておりましたが、このように台所仕事時は子供は横目で見えるくらいにしておいて外を見てリフレッシュするという選択肢もありかと思います。 窓の高さや天井高さは主にタイルの割付をベースに決めています。
キッチンの後ろは家電等の収納と作業場になっていて、もともと持っていた古い作業台を使う前提で設計しています。
子供室はロフト的なJパネルからブランコと鉄棒を吊っている。 窓からは花ブロックとヤマボウシが見える。
子供室は塗装用クロスを貼り、当面は落書きができる壁となっています。 取外し可能なJパネルに遊具を設置しています。 入り口は将来的に扉が設置できるよう引き戸レールを付けています。 子供室の窓からはバルコニーの花ブロックと奥庭のヤマボウシがよく見えます。
1階の上の一部をルーフテラスとして利用。 FRP防水の上にウッドデッキを敷き、正面の南隣家側の壁を高めに立ち上げて目線を気にせずにアウトドアリビングとして使えるようにしています。 隣家の窓がそれほど気にならない部分は壁を設けずにオープンにして1階への日差しを優先しました。 写真左側は沖縄の花ブロックを積み、目隠しをしつつ奥庭のヤマボウシへの風の流れを確保しました。 住宅密集地の2階ながら、比較手周囲を気にせずにくつろげるデッキとなっています。
玄関から見た廊下の奥が寝室となっています。 短いながら廊下を挟むことでプライベートなスペースを分けています。
照明は壁面のブラケット照明一つで、本を読む時以外は問題ない明るさが確保できますが、読書時はスタンドを併用しています。 奥庭は少し和の趣が強いこともあり、ベランダからの排水に鎖樋を用いています。
寝室は奥庭に面していて、当初は床から天井までの掃き出し窓を設置予定でしたが、防火設備でかつ網なしガラスにしようとした時に高さの制限があり、網を入れて全面開口にするか、上下どちらかに寄せて網なしにするかの選択となりました。 結果的にやはり植裁を見るのに網がない方が良いと判断し、天井に対する光の入り方を優先して天井に寄せて床から立ち上がりをつくりましたが、この立ち上がりが結果的に寝室としての安心感のようなものをもたらしました。 子供が枠に座って本を読んでたりするのでちょっとした実用性もありました。
洗面台とその前の壁はモルテックス、浴室内の壁は床と同じタイル貼りとしています。 浴室や洗面脱衣室からも庭の緑を楽しめます。
洗面脱衣室は引き込みの大きな扉で仕切れるようになっています。 洗面台とその前の壁はモルテックス、浴室内の壁は床と同じタイル貼りとしています。
浴室はカーテンの仕切りとしていて、利用時以外はカーテンを開け放すことで広々とした空間となり、湿気がこもりにくいという利点もあります。 天井は全て左官でつなげ、部屋同士の一体感を高めています。 基礎蓄熱暖房があるため浴室暖房乾燥機は設置せず、浴室の換気扇は奥の織り上げ部に設置してスッキリと仕上げています。
トイレには、以前暮らしていたマンションに付いていた手摺が思いのほか重宝していたために手摺兼紙巻器を鋼管で製作しました。 照明は奥の棚に置いたスタンドがセンサーで点灯します。 換気扇は棚の扉の奥に設置してあり、コンセントも便器の後ろに隠し、雑然としたものが見えないために静かな気持ちで籠もれるスペースになっています。 トイレの鍵は表示錠を子供が外から開けることを覚えてしまい一時的なことでしょうが煩わしいことと、一般的な鍵は開いているか閉まっているかが一目でわかりにくいこともあり、閂方式としています。
夜にはプリーツスクリーンを閉めることで通りに対する行灯のような柔らかい光を落とします。
秋になるとブルーベリーやコハウチワカエデが色付き始め、陽が低くなり室内奥まで日差しが入ってくるようになる。
雪の日のファサード
階段前の小リビングはデッキ越しの木を見たり読書などで静かに過ごすスペースです。
リビング・ダイニング夕景。 トップライト部からの間接照明、ダイニングのペンダント、リビングと階段のスポットで照度を賄っている。
リビング・ダイニング内にも細かく居場所を散りばめている
階段下の土間を掘り下げてワークアウトなどができるスペースとして活用しています。 庭に向けて大きな窓を設けていますが、外から見ると低い窓になるので目線が気になりません。
寝室に追加した照明はkrank marcelloのオリジナルのものです。
寝室から見る庭と洗面脱衣室です。 朝起きてしばらく庭を見ながら目を覚まし、そのまま自然に顔を洗ったりシャワーを浴びたりできるレイアウトになっています。