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「木漏れ日の中で生活できたら毎日気持ちいいだろうなあと考えた」専門家自邸。3つの中庭には五感以上の豊かさがありそう。
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
設計、監理、プロデュース・コーディネート、インテリア、土地・物件探しを担当
兵庫県の有馬温泉のほど近く、閑静な住宅街に建つ設計者の自邸。外壁に窓をつけて外の緑を眺めるのも良いのですが、この自邸では家の中に緑を取り込み、そして緑に包まれたような、まるで緑が家の一部のように一体的に感じられる空間を考え始めました。植物が好きなので、木漏れ日の中で生活できたら毎日気持ちいいだろうなあと考えたのです。
約16m×10mの柱のない約100畳の長方形の空間をくり抜くように中庭を3つ、合わせて30畳分の広さのものを配置しています。大きな中庭を空間の真ん中にひとつ配置すると、その空間の中でひとつの庭と正対する形になって、目指しているような緑に包まれる感覚にはならないのではないかと考え、現在の形になりました。
3つの中庭の大きさや配置、土の高さによって、つながっていながらも分けられたこの空間は、小さな森の中を移動しているような感覚があります。ガラスに複雑に映り込み増幅された緑が、よりその感覚を助長します。また、外周はぐるりと窓のない壁で囲まれており、中庭上部も外部からの視線が届かないようになっているので、よりいっそう緑との一体感が生まれ、とてもリラックスした時間が流れます。
個室や水回りは16m×10mの2辺に付随するように配置していて、主寝室からは裏庭に設けたデッキに出ることができ、遠景と共に食事やお茶が楽しめるようになっています。
3つの中庭を通じて、植物や天候が四季を色濃く伝えてくれ、周囲に住むたくさんの鳥は、毎日その多様な鳴き声で楽しませてくれます。刻々と変化する自然に満たされた、美しい空間をつくりあげることが出来ました。
所在地 / 兵庫県
規模構造 / 木造平屋建
主要用途 / 住宅+事務所
敷地面積 / 1288.62㎡(389.81坪)
延床面積 / 187.26㎡(56.65坪)
構造設計 / うきょう建築構造事務所
施工 / 匠建築工房
造園工事 / 荻野寿也景観設計
写真 / 繁田諭(写真右下に表記のないもの)
モダンリビングno.258掲載
2022年度 モダンリビング大賞ベスト6賞 受賞
玄関扉を開けると見える景色です。正面に中庭が3つ見えます。ノイズとなる柱を無くすために構造を工夫しています。
焼杉の端正な外観。
焼杉の外観。
奥に見えるのは壁一面の造作本棚(鉄製)。 造園は荻野寿也景観設計。
机やベンチ部分のクッション類など、ほとんどの家具がこの家のために特別につくったものになります。
机やベンチ部分のクッション類など、ほとんどの家具がこの家のために特別につくったものになります。
天井、壁は漆喰です。
机やベンチ部分のクッション類など、ほとんどの家具がこの家のために特別につくったものになります。
仕事場からキッチン方面を見る。
キッチンは造作。天板はデクトンというウルトラセラミック。ダイニングテーブルの天板も同じ素材を採用。
キッチンから少し上がったところがリビング。テレビ台、向かいのソファも造作。
造作のソファ。脚は薄い鉄板で浮遊感をもたせています。
打ち合わせスペース。机は鉄で造作したもので、天板に大判タイルを用いています。
光が美しい。
打ち合わせスペースからキッチンの方を見る。机やベンチ部分のクッション類など、ほとんどの家具がこの家のために特別につくったものになります。
服飾の仕事をしている妻のアトリエ。中庭に面していて気持ちがいい。
アトリエから玄関方面の眺め。3つの中庭がレイヤーとなって複雑な景色をつくり出しています。
写真では分かりづらいですが、浴室の角を曲面で構成していて、やわらかい雰囲気の空間になっています。
手洗い収納は造作。床はタイルで壁は漆喰。
外部デッキに面した寝室。一日じゅう鳥のさえずりが聞こえてきます。
奥の方は崖状になっているので、鉄骨で骨組みを造作しデッキとしています。20畳ほどの広さがあります。
暗くなる直前のようす。造園は荻野寿也景観設計。
本棚の中に黒に塗装したエアコンを納めています。
洗い出しのアプローチ床。曲線でやわらかく導きます。門扉、ガレージの引き戸はすべて鉄で造作の上、亜鉛メッキ塗装。