注文住宅

天蓋のある家

面積:

93㎡

エリア:

神奈川県藤沢市

実施時期:

2014年

内容:

湘南にある敷地は風致地区に指定された穏やかな住宅地である。コンパクトな2階建てのボリュームを敷地に対しおおらかに配置し、道路側は駐車スペースと植栽された前庭を開放的に扱っている。片流れ屋根に沿って仕上げたひと続きのベイマツ小幅板の格子が天蓋のように建物を覆っている。建物の南方向にある隣地の借景に向かってつくられた2階ベランダが建物の表情を特徴づける。2階主室はオープンキッチンを中心に居間、食堂、階段を含む1室空間である。片流れの格子天井は場所ごとに天井の高さに変化を与える。居間のベランダ側は木製ガラス戸、網戸、障子が引き込まれる大開口で、半屋外のベランダと連続する。上部のガラス欄間を通して天井の格子がベランダまで連続する。食堂コーナーは朝日の入る高窓と通りを覗く小さな木製窓がある、天井の一番高い場所となっている。1階玄関から左官仕上げの壁が階段に沿って2階天井まで立ち上がる。階段の西側の窓と天窓の光が刻一刻その壁の表情を変えていく。開閉可能な天窓は空気の流れもつくりだす。天井の高さと開口部の自然光の取り入れ方の違いが、それぞれの場所に変化を与える。1階玄関にはポーチから連続して大谷石を敷きつめる。土間は自転車置場を兼ね、ゆったりとしたスペースをとっている。その上に2階への階段をスチールの吊構造でオーバーハングさせている。寝室とクローゼットは将来の家族構成の変化に対応できるフレキシブルな構成となっている。

平林 繁

自然素材につつまれた『呼吸する家』 本来、日本の住宅(民家)は自然素材でできた風通しの良いものでした。それが現代社会、現代生活のなかで、いつの間にか人工的な材料や工業製品でできた息苦しいものになってしまいました。シックハウスといわれる住宅やエアコンをつけないといられない住宅といったものです。もちろん、現代の住宅で開発された断熱性能、耐震性能、耐久性、経済性などすべてを否定することはできません。昔の民家のもっていた良さを現代の住宅に活かした現代民家『呼吸する家』をめざしています。 エネルギーをできるだけ使わずに、快適に暮らしたい。地球温暖化や化石燃料の枯渇、脱原発がいわれる今日ではそう思わない人はいないでしょう。 風が抜ける家がいい。空気の流れをデザインし、風を呼び込み、自然対流による自然換気を促します。敷地、地形から夏と冬の風向きを考え、風の出入り口と風の流れるルートをデザインします。暖かい空気は軽く上に上がり、冷たい空気は重く下へ下がるという重力も利用し、建具を開閉することで、季節にあった状態にコントロールします。 もちろん窓は風と同時に光も取り入れるわけです。自然光をいかに室内に取り入れるかも同時に考えなければいけません。朝の光、昼の光、夕方の光をどれだけ室内に取り込むか。光のコントロールは近隣や道路が接近する敷地に住むために、プライバシーにも関係してくる現代住宅では欠かせないものになっています。 そして、自然素材の持つ調湿、脱臭、浄化作用を最大限に活用します。珪藻土、漆喰などの土壁や無垢のフローリングなどは経年変化を楽しむ素材でもあります。室内の空気を良くする自然素材のもつ暖かいテイストを住宅のデザインに盛り込みます。 このような細かな気配りの集積が大らかな空間、環境を生み出すことになるのです。 木漏れ日を浴びながら、そよ風が通り過ぎる、そんな快適な室内環境を目指します。

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