注文住宅

木ルーバーの家

実施エリア:

東京都

内容:

生産緑地がまだ点在する郊外の住宅地の一角に建つこの住宅は木製のルーバーを開口部の前面に取り付けた外観を見せている。150坪のL型の敷地で南側と西側が前面道路に面している。その道路に面した部分に母屋、そして奥の住宅に囲まれた部分に中庭を挟んで離れをつくった。
母屋の1階はコモンスペースとし、居間、ダイニングキッチンは分節されながら、水平方向に穏やかに繋がっている。食堂には中庭をはさんで離れの和室が対面していて、ギャラリーで結ばれている。 2階には家族の個室を配し、それぞれが独立したスペースを確保している。
1.5層分の居間のある内部空間は、2階図書コーナー、屋上テラスまで床をずらしながら垂直方向に連続する。 図書コーナーは家族で使うコモンスペースで、天井の高い居間と屋上テラスにも面していて、2階の要のスペースとなっている。 屋上テラスから導かれる光は図書コーナーで1度バウンドし、階段と格子のフィルターを通して居間まで到達する。 台所の奥には2階の子供室を貫通する吹き抜けがあり、1階のお母さんが子供たちの様子が感じられる関係をつくっている。子供室には吹き抜けに面して木製フラッシュ窓が取り付けられている。
このように1階のコモンスペースは2階のプライベートスペースに部分的に貫通させて、家族間の関係が交わるように空間的に作り出している。
木ルーバーは開口部に取り付けたフィルターである。水平方向に取り付けた木ルーバーを通った光は木漏れ日もように柔らかな光となる。時には、光のストライプを室内に描き出す。この木ルーバーによって、部屋の開放感とプライバシーを保ち、そして日射や風による熱環境を調節する。
構造は鉄筋コンクリートの壁式ラーメン構造で、仕上げは外断熱にイペの板張り、珪藻土塗り、ルーバーはイペの25×50mm角材を60mmピッチで取り付けている。

平林 繁

自然素材につつまれた『呼吸する家』 本来、日本の住宅(民家)は自然素材でできた風通しの良いものでした。それが現代社会、現代生活のなかで、いつの間にか人工的な材料や工業製品でできた息苦しいものになってしまいました。シックハウスといわれる住宅やエアコンをつけないといられない住宅といったものです。もちろん、現代の住宅で開発された断熱性能、耐震性能、耐久性、経済性などすべてを否定することはできません。昔の民家のもっていた良さを現代の住宅に活かした現代民家『呼吸する家』をめざしています。 エネルギーをできるだけ使わずに、快適に暮らしたい。地球温暖化や化石燃料の枯渇、脱原発がいわれる今日ではそう思わない人はいないでしょう。 風が抜ける家がいい。空気の流れをデザインし、風を呼び込み、自然対流による自然換気を促します。敷地、地形から夏と冬の風向きを考え、風の出入り口と風の流れるルートをデザインします。暖かい空気は軽く上に上がり、冷たい空気は重く下へ下がるという重力も利用し、建具を開閉することで、季節にあった状態にコントロールします。 もちろん窓は風と同時に光も取り入れるわけです。自然光をいかに室内に取り入れるかも同時に考えなければいけません。朝の光、昼の光、夕方の光をどれだけ室内に取り込むか。光のコントロールは近隣や道路が接近する敷地に住むために、プライバシーにも関係してくる現代住宅では欠かせないものになっています。 そして、自然素材の持つ調湿、脱臭、浄化作用を最大限に活用します。珪藻土、漆喰などの土壁や無垢のフローリングなどは経年変化を楽しむ素材でもあります。室内の空気を良くする自然素材のもつ暖かいテイストを住宅のデザインに盛り込みます。 このような細かな気配りの集積が大らかな空間、環境を生み出すことになるのです。 木漏れ日を浴びながら、そよ風が通り過ぎる、そんな快適な室内環境を目指します。