注文住宅

SKY FIELD HOUSE

面積:

135㎡

エリア:

神奈川県鎌倉市

実施時期:

2009年

内容:

丘陵地の東斜面の住宅地に建つ黒い片流れ屋根の住宅。正面はレッドシダーの竪格子で覆われる。2階の主室(居間・食堂・台所)はレッスン室と繋がり開放的な音楽ホールとなる。そこは東側のバルコニー越しに向かいの山並みまで眺望が利き、南側に隣家の視線を避けた連続する高窓を設け、空に向かって大きく開かれている。バルコニーのさらに上に1坪の花見台を設け、浮遊感を味わいながら谷戸池の桜を見下ろす。古い民家で使われていたケヤキの1枚板の蔵戸を玄関扉に利用し、また繊細な意匠を凝らした格子戸、ガラス戸、板戸を間仕切りに取り入れ、懐古的なエレメントを新しい空間に融合させている。内装は外壁面を大壁、間仕切りを真壁として扱う木造表現とした。特に2階の木造架構は黒く染色し、古い建具と馴染ませている。新旧の取り混ぜた意匠が空間に深みを与え、さらに熟成されていく。

2階の床はカバのパーケットフローリング、柱梁も黒く染色して、力強い印象となる。壁の珪藻土は、2階には紫色を微妙に配合している。

桧縁甲板の勾配天井の上部、平らな部分の天井裏が排気チャンバーとなっている。

外張り断熱エアーサイクル工法とし、床下から外壁体内、天井裏を空気が循環する構造となっている。基礎立ち上がり部の給気口は外気温により自動開閉し換気量を調節する。屋根裏の排気口は電動エアーオープナーにより、夏は開放して熱気を排出し、冬は閉じる。壁内換気により快適な室内環境を実現する。壁内結露もふせぎ、構造材を乾燥状態に保ち、耐久性を高めている。桧縁甲板の勾配天井の上部の平らな部分の天井裏が排気チャンバーとなっている。

1階の仕上げはナチュラルな桧無垢フローリングで柔らかな印象、壁の珪藻土には黄色を微妙に配合している。 天井は桧無垢材。

十和田石の浴槽、桧材を縁に回す。 壁、天井の板は桧材。

1坪の花見台から谷戸池を見下ろす。 遠景に丘陵地の山並みを望む。

玄関扉は古い民家の蔵戸を使用し、2階の主室に面した4箇所にも古い格子戸、ガラス戸、板戸を嵌め込み、懐古的な要素を取り込んでいる。
玄関ポーチには蔵戸と開き戸の2つの戸がある。玄関脇の大容量の納戸にはポーチから直接出入りできる。

西側道路に面した外壁にレッドシダーの竪格子を取付け、目隠しと遮熱を兼ね、ファサードの統一感を高めている。その他の外壁は耐候性を考慮し黒いガルバリウム鋼板小波板で覆う。

西入りで東西方向に長い長方形の敷地は、道路側から前庭(駐車スペース)、建物、東側の庭と3つのゾーンに分けられる。 東斜面の造成地のため、東側は盛り土の地盤で、地耐力がないため建物は避け、まとまった家庭菜園とする。西、道路側は駐車スペース、客用駐車とガーデニングの開放されたスペースとする。

サッシ上部はアルミプレート3mmの庇がつく。

東側に3段のバルコニーがある。1階は寝室に面したサービス用、2階は居間と連続し、その上は谷戸池の桜が望める1坪ほどの花見台で、居間からの梯子で上がる。

この住宅事例を手掛けた建築家

平林 繁

建築家 / @神奈川県

自然素材につつまれた『呼吸する家』 本来、日本の住宅(民家)は自然素材でできた風通しの良いものでした。それが現代社会、現代生活のなかで、いつの間にか人工的な材料や工業製品でできた息苦しいものになってしまいました。シックハウスといわれる住宅やエアコンをつけないといられない住宅といったものです。もちろん、現代の住宅で開発された断熱性能、耐震性能、耐久性、経済性などすべてを否定することはできません。昔の民家のもっていた良さを現代の住宅に活かした現代民家『呼吸する家』をめざしています。 エネルギーをできるだけ使わずに、快適に暮らしたい。地球温暖化や化石燃料の枯渇、脱原発がいわれる今日ではそう思わない人はいないでしょう。 風が抜ける家がいい。空気の流れをデザインし、風を呼び込み、自然対流による自然換気を促します。敷地、地形から夏と冬の風向きを考え、風の出入り口と風の流れるルートをデザインします。暖かい空気は軽く上に上がり、冷たい空気は重く下へ下がるという重力も利用し、建具を開閉することで、季節にあった状態にコントロールします。 もちろん窓は風と同時に光も取り入れるわけです。自然光をいかに室内に取り入れるかも同時に考えなければいけません。朝の光、昼の光、夕方の光をどれだけ室内に取り込むか。光のコントロールは近隣や道路が接近する敷地に住むために、プライバシーにも関係してくる現代住宅では欠かせないものになっています。 そして、自然素材の持つ調湿、脱臭、浄化作用を最大限に活用します。珪藻土、漆喰などの土壁や無垢のフローリングなどは経年変化を楽しむ素材でもあります。室内の空気を良くする自然素材のもつ暖かいテイストを住宅のデザインに盛り込みます。 このような細かな気配りの集積が大らかな空間、環境を生み出すことになるのです。 木漏れ日を浴びながら、そよ風が通り過ぎる、そんな快適な室内環境を目指します。

平林 繁

建築家 / @神奈川県

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