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桜並木の近くに建つ住宅です.
敷地は東西に長く間口に対して奥行が3倍近くあり,採光が取りにくい形の土地でした.そこで昼間に使う時間が長いリビングと子供部屋を二階に配置し,近接する隣家の屋根の上から光を取り込める高窓を計画しました.
また道路際まで張り出した駐車場の上部を広いテラスとして,高さを抑えることで,リビングからの視界は広く,道路からの視線は遮る関係を作りました.春にはテラスを通してリビングのソファから桜を眺めることができます.
一階二階とも,敷地の奥行の深さを生かして東西を突き通す通路を設け,光や風が家中を軽やかに抜けていく空間を目指しました.
「明るく風が抜けてみんながリビングに集まりたくなる家」というのがご要望でした.
リビングや玄関に使っているタイルやフローリングは質感のよいものを厳選し,それをキッチンのアクセントウォールとしても使っています.
東西にながい北側斜線が厳しい地域だった上,ハザードマップ上70〜80cmの浸水は可能性があるエリアだったため,1mの高基礎やそれに伴う基礎外断熱など安全・性能に関わる部分はもちろん,リビング・子供部屋の開放感も妥協せず,いかに高さを抑えるかがポイントでした.暮らしの中で大切な安全や採光通風,開放感などあとからはどうしようもないところにはしっかりお金を掛けつつ,洗面やお風呂,キッチンなどはシンプルで簡素な既製品をぴったりセッティングする方向でコストダウンを図っています.
設計時に詳しくヒアリングさせて頂いていたので,収納や動線などが暮らしにぴったりはまってとても快適だと言っていただきました.
ご相談を受けてまず住まいについての考え方をアンケート及び対面のヒアリングでしっかり把握してからご提案しています.プランが決まったあと,改めて家事や住み方についての詳細アンケートを取り,それを元にプランを詳しく詰めながら詳細図をしっかり書いて工事契約を行っています.
また素材や住設・家具・カーテンなどもサンプルやショールームで実物を必ずご確認いただき,現場も月に一回程度ご案内することで,現物とイメージの落差が生じないように注意しました.
とても仲がよくて,いつも笑っている情景が目に浮かぶご家族で,お持ちのものも質のよいものをしっかり長く使われる印象だったので,シンプルな中でも素材感があるものが正しく配置されるようなデザインにしたいと思いました.
玄関の正面にアオダモのメインツリーを植え,コンクリート打放しのポスト・表札パネルをつけた門柱をアイストップに一度雁行させることで,奥行きのあるアプローチを作りました.玄関扉は意匠と断熱気密性能を兼ね備えた北欧のもので,袖壁もその色と合わせた南洋材を用いることで,ガルバリウムとコンクリート平板のシンプルで工業的な外観の中心点となっています.
道路側外観夕景.駐車場の上を広いテラスとすることで,道路側からは宅内の天井しか見えないような関係を作り,また外構照明をテラス高さを変えながら雁行させて配置し,唯一外観で木を使っている玄関を柔らかく照らすことで,奥行を感じさせるファサードデザインとなっています.
一階廊下.ヒノキ無垢材の階段と土間の連続のようなタイル床の対比
玄関からつながる廊下と階段.上足の空間にも同じタイルを用いることで玄関からの連続感を持たせています.階段はヒノキ無垢板の跳ね出し階段.手すりも同材同寸の板で作り,土間のような一階と明るい二階をつなぐ象徴的な空間としています.
屋根の傾斜をそのまま天井にも反映させた開放的なリビング.南側隣家が切迫した環境ですが,隣家屋根の上にハイサイドライトを設置し,そこから光を取り入れています.高窓だけではなく,写真背面に当たるテラスにつながる窓,キッチン小窓,硝子張りの階段室のスリット窓,廊下奥のランドリーからの光など,様々な方向から採光を取ることで,時間や季節に関わらず光や風が抜けるリビングを目指しました.
キッチンからリビングを見通す.ソファもテーブルも,外から帰ってきた家族が通る階段も,空の様子が一目でわかる高窓も,全てを見渡せるキッチン.両脇通れるので家族みんなで家事をするのも苦ではなく,またカウンターから20cm立ち上がっているので炊事後ちょっと散らかっていても気になりません.開放的で合理的なLDKです.
二階リビングはともすると外や一階と切り離された空間となりますが,低く設定された駐車場上のルーフテラス,スケルトン階段が見える硝子張りの階段室,プライバシーを気にすることがない空が見える高窓など,二階に居ても一階や町の気配が緩やかに伝わる構成です.
リビング夕景.高天井側は小棚からの間接照明で天井を照らし,低天井側は彫り込まれた照明ボックスから壁を照らすライン照明を階段室まで連続で通しました.光にグラデーションをつけることでメリハリのあるライティングとなっています.
キッチン背面に位置し,リビングと同じ高さを持つ子供部屋.子供が孤立しない配置です. 東側はアパートの共用廊下が切迫しているので,そちらは通風のための磨りガラスの上げ下げ窓にとどめ,隣家の屋根の上から採光する高窓を設置しました.天井高を生かした球のペンダント照明はお嬢さんのお気に入り.
家具は作る人によって設計手法が変わります. 家具屋さんは工場で,大工さんは現場で作りますから,使う道具や材料,可能な精度にも制限があります. この本棚は子供部屋に設置されたものです.シナベニアというごく一般的に売られている材料の,定尺寸法の中でいかに簡単に,フレキシブルな本棚を作ることができるかを考えました. 大きなボックスの中に小さなボックスがはめ込まれた構成で,適度に棚内を分節しつつ,本だけではない大好きなものを飾れる場所を組み込みました. 白染色で,柔らかなシナの木の色を残しつつ,背面はお嬢さんが大好きなくすんだピンク色に塗って,部屋に華やかさをもたらしています.
シフト制のお仕事で,コロナ以前から在宅勤務も多かったご主人のための書斎.面積的には2.5畳と居室としては最小限の部屋ですが,棚・デスクを一体に製作し,持ち物や本など正確にヒアリングして,あるものをあるべき場所に納めることで,欲しいものが手に届く,秘密基地のような書斎ができました.
一階主寝室.最も滞在時間が短いこの部屋はシンプルに,清潔に,機能的に作られています.照明は両脇のスタンドだけではなく,ベッドヘッドの壁に間接照明が仕込まれていて,寝ながら入切・調光できるスイッチが手元についています. 寝室と連続したウォークインクローゼットは,一部をチャンネルサポートのシステムで高さを変えられるようになっていて,服の変遷に対応しやすくしています.右側のカーテンの奥の押入は廊下側からも出入できるようになっていて家族共用の荷物も入れやすくなっています.
キッチンの背面脇にあるランドリー.奥には奥様用のデスクカウンターもあり,梅雨や花粉など外に干せない季節には乾燥室としても使用可能だし,なによりちょっと置いておいても気にならないバックヤードがあるだけで,格段に家事が楽になります.