家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討に役立つ機能や情報が満載!
アカウントをお持ちの場合
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
ジュエリー職人の父、ジュエリー作家の娘、そして猫2匹が共に暮らす家です。この住宅には、いわゆるリビングと呼ばれる部屋を設けない代わりに、家全体がリビングであり、キッチンであり、ダイニングであり、浴室であり、庭でもあれるような空間を提案しました。
それは、大きな空間に小さな機能を最小限のスケールで組み込むという操作によって、キッチン、ダイニング、浴室、庭それらすべてがリビングになりうる様な空間構成になっています。
区切られた部屋ではなく、人によって発生する場を土間を中心に団らんの空間として創り出しました。
座敷に配置された居間・寝室・水回りなどの生活機能は、全て土間に繋がっています。
座敷と土間とのあいだにある段差は、空間をやわらかく区切りながら、そこへ腰掛けることで、座敷に上がる・土間に下りるといった次の動作への「きっかけ」を促し、それぞれの領域を繋ぐ役割も果たします。
さらに、その繋がりは土間に面する大開口によって庭・駐車場へと拡張していくことで、土間と庭の境界線は曖昧になり外部と内部がひとつながりの大空間という体感になります。
こうして、建物および庭は「土間」を中心とする相互関係を与えることで、コンパクトな機能空間は流動的拡張してゆきます。
この全体を結びつきが発生したとき、空間全体が「リビング(団らんの場)」となります。
このような入れ子構造の大空間では、通常温熱環境の負荷が避けられません。そこで、本住宅ではいくつかの仕掛けを空間に組み込んでいます。
夏場は壁面にちりばめられた小窓と高い天井高という構成を生かして、自然換気の対流を促し、庭へは砕石を用い実面積以上に表面積を上げる事で、打
ち水の気化熱による冷却効果を最大限に引き出しています。
また冬場は、土間空間が大きな暖房設備として機能します。
この土間は、生活の中心空間であるとともに、工房・作業場空間としても使用するため、その主要な領域に底冷え対策のための床暖房を敷設した。日中、土間へ深く差し込む陽光による蓄熱によって床暖房をより効率的に運転させ、この大空間の底面を暖める結果、夏場と同じく、高い天井高によって自然対流が促され、空間全体に暖気がゆきわたる仕組みとなっています。
このようにして、大空間でありながら冷暖房機能のロスを極力少なくし、快適な熱環境を構築しました。
家を建て替えてから今まで以上に多くの友人が訪ねてくるようになっ
たと仰って頂いています。
二匹の猫たちも自由気ままに過ごすこの土間には、日本の交流の場である「土
間と縁側」のあたたかな風情があるからかもしれないと感じます。
空間の用途を串刺しにするように、この住まいの半分を占める土間空間。 水廻りとリビングは大きなカーテンで仕切り、玄関とリビングはトイレブースが程よいパーテーションの役目を果たす。
ガルバリウム鋼板を横葺きに仕上げた外観。 道路面には鋼板の目地に合わせたサイズの小窓がランダムに並ぶ。 一方で庭側に配された開口部は床から天井まで突き抜けるような大開口を配置。木製玄関ドアの上部には、この大開口に揃えたFIX窓を設置することで、統一されたデザインの中にリズミカルな表情を与える。
ダイニングテーブルの足を外せばそのまま板間となるので、夏はそのままごろりと寝転がるくつろぎ空間、冬は炬燵をおいて床座の生活も可能。このテーブルをそのまま土間に引っ張り出せば椅子座の食卓にもなる。 家具と建築の境界線をあいまいにして、その使われ方の幅に自由度を持たせる計画。
土間に半分突きでたトイレブース。 そのはみ出した部分をガラス張りにすることで、インテリアの圧迫感を軽減している。 トイレに入ればこのガラス部分が柔らかく光り、行燈のようなインテリアを演出する。
浴槽に浸かりながら、土間越しに外の景色を眺めることができる浴室。
四畳半の寝室。一辺が小上がり状になっており、畳ベッドとして使える。上蓋を持ち上げれば中は収納スペース。