SUVACOで成約

2021/03/29更新0like13465view

著者:SUVACO編集部

専門家フィーチャー

旗竿地とは思えない開放感。あちこちに居場所がある、キッチンが中心のおうち(建築家・植村康平さんに聞きました)

愛知県豊橋市にある、旗竿地とは思えないほど開放的なおうち。施主のMさんが、SUVACOのアドバイザーに相談したことがきっかけで、建築家の植村康平さんと出会い、このすてきなおうちが誕生しました。設計を手がけた植村さんに、この家の魅力やプランニングでの工夫をお聞きしました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

【DATA】
種別:注文住宅
所在地:愛知県豊橋市
敷地面積:171.94㎡
敷地の特徴:旗竿地
延床面積:96.06㎡
階数:2階建て
間取り:2LDK
期間:設計5ヶ月 、施工6ヶ月
完成時期:2020年08月
設計会社:植村康平建築設計事務所
施工会社:株式会社 荒川工務店

敷地が持つポテンシャルを活かす

編集部 松本

編集部 松本

(聞き手)SUVACO編集長・松本:
このお宅は旗竿地だということですが、プランニングではどのようなことを意識されましたか?
植村さん

植村さん

建築家・植村康平さん:
M様邸の新築にあたり、土地探しからお手伝いさせていただいている中で、今回の旗竿地と出会いました。

旗竿地というと、プランの制限や駐車しにくいなどのデメリットが目立つ土地だと思われがちですが、奥まっていることから人目を気にしなくて良かったり、静かに暮らしやすかったりというメリットもあります。

もともとM様、特に奥様には「こういった暮らしをしたい」というビジョンがはっきりありましたので、そのご希望と土地の特性を重ね合わせて考えました。料理をしたりホームパーティーを開いたり、ご夫婦でお酒を飲むことがお好きとのことでしたので、キッチンをメインにした間取りを考えました。
植村さん

植村さん

玄関を開けるとすぐにキッチンがあるのですが、旗竿地を活かした長いアプローチを介しての空間なので、実際に体験していただくと違和感はまったく感じないと思います。

玄関ポーチの坪数も通常より減らすことができたので、建物全体の坪数を抑えることもでき、全体のコストコントロールにもつながったのではないでしょうか。
編集部 松本

編集部 松本

東側のガラス面などはかなり開放的な印象ですね。
植村さん

植村さん

広くつくった土間もリビングダイニングの一部として使えるようにしています。土間、庭、外部空間をつなげていくようなイメージですね。

東側には住宅が並んで建っているのですが、周辺住居のお庭が皆さんほぼ同じ位置につくられていて、視界がかなり抜けているんです。2階窓から東側を見るとかなり遠くまで見渡せるような環境だったのでこれをうまく使おうと、東側を強く意識して間取りを提案しました。

周辺ロケーションも含め、旗竿地の中でも環境に恵まれている土地だったと思います。土地探しから一緒に行えたことで、土地に合わせたご提案をできたことがお互いにとって良かったです。

あちこちに居場所を見つけられる家

編集部 松本

編集部 松本

室内には段差が多くつくられていますが、これは植村さんからのご提案だったのでしょうか?
植村さん

植村さん

M様との打ち合わせの際、「おうちの中にいろんな居場所があるといいな」と仰っていたので、部屋ごとにカチッと区切るよりも、段差や窓際に座れるような、ちょっとした居場所をたくさんつくろうと思いました。

家族全員が自由に自分のお気に入りの場所をつくりつつ、ゆるくつながっていられるような空間を目指しました。
編集部 松本

編集部 松本

リビング上のロフトもその一環ですか?
植村さん

植村さん

このスペースはご主人の書斎スペースなんです。1人で仕事をしつつお子様の声も聞こえて、キッチンから「ご飯だよ」と呼ばれたら降りていけるような、程よい距離感をテーマにしてつくりました。

だから、2階建てではあるんですけど、暮らし方としては平屋の延長のような形に近いかもしれませんね。
編集部 松本

編集部 松本

造作のベンチもその暮らし方の良いアクセントになっていますね。
植村さん

植村さん

そうなんです。このベンチも通常より少し奥行きを広く持たせて、腰掛けるだけでなく、ここでお昼寝もできるような、いろんな用途に使えるつくりを意識しました。Mさんの小さなお嬢さんは、こういった場所を探して使うのがとても上手なんです(笑)。
編集部 松本

編集部 松本

小さなお子さんが自然と使ってくれている姿を見ると、「やった!」って思いますよね(笑)。
植村さん

植村さん

そうですね、何も説明しなくても使いこなしてくれているのを見られた時は、とてもうれしかったです。
編集部 松本

編集部 松本

ちなみに、この吹き抜け上のボックスのようなスペースは?
植村さん

植村さん

ここ、実は2階のトイレが入っているスペースなんです。1階から見上げた時に空間のメリハリがあるといいなと思いまして。吹き抜けのうちベンチのある側の天井は、座った時に落ち着けるよう低めにしているんです。

逆に窓の下側は天井を高くとってあるので、腰掛けると光が上から降り注いでとても気持ちいいはず。個人的にも気に入っている場所のひとつです。
編集部 松本

編集部 松本

リビングから見える景色や外の植栽などの緑も印象的ですね。
植村さん

植村さん

何度かお仕事をご一緒させてもらっている造園屋さんに入っていただきました。建物のつくりをすごく理解してくださる方です。お隣の庭の景色とも上手につながるよう、敷地のメリットを活かしてデザインしました。

使いやすさを徹底した造作キッチン

編集部 松本

編集部 松本

キッチンも造作だと思うのですが、つくる上でポイントになったことなどはありましたか?
植村さん

植村さん

素材や仕上げについてはデザインを考慮してつくりましたが、使い勝手という部分では奥様のこだわりを強く盛り込んだ場所ですね。隣のテーブルや冷蔵庫の位置なども含めて、動線をすごく考えています。

写真左手奥にあるキッチンワゴンにはお酒などを収納しているのですが、これも造作でおつくりしたものです。最初は引き出し式の家具で考えていたのですが、居場所が多い家だからこそ、好きな場所へワゴンごと移動できるつくりにしました。ベンチや屋外テラスで、おふたりがゆっくりお酒を飲めるとすてきかなとひらめきまして。
編集部 松本

編集部 松本

ダイニングテーブル横の小さなニッチ(くぼみ)も気になりますね。
植村さん

植村さん

キッチン横にはコンセントを仕込んだニッチをつくりました。リモコンやティッシュなどの小物収納や、携帯の充電なんかに便利なんですよ。机の上が散らからないよう、スッキリ見せられると思います。

建具を開け閉めすることで部屋の間取りが変わる

編集部 松本

編集部 松本

2階の寝室奥にあるドアはどこにつながっているんですか?」
植村さん

植村さん

このドアの向こうは3畳くらいのウォークインクローゼットです。寝室からも隣室のスタディースペースからも入れる回遊式です。

ちなみにこのウォークインクローゼット、寝室、スタディースペースの間にある空間と建具が、実は間取りの大きなポイントなんですよ。

寝室、スタディースペースそれぞれに3枚の建具が付いているのですが、この建具をすべて開け放すと3つの部屋がつながって大きなワンルームになります。
植村さん

植村さん

両方の建具を閉じると真ん中のスペースを簡易的な客間として使用することもできますし、寝室側の建具を閉じると「スタディースペース+真ん中のスペース」、スタディースペース側の建具を閉じると「寝室+真ん中のスペース」といったように、建具によって部屋の区切り方を自由に変えられるんです。

今はまだお子様が小さいのでキッズルームとして使われることが多いようですが、きっとその時々のライフスタイルに合わせて用途が変化していくスペースになると思います。
編集部 松本

編集部 松本

昔の日本家屋が襖の開け閉めでスペースを使い分けていたのに近い発想かもしれませんね。

ところで、照明もとてもすてきですが、これはどのように決めていかれたのでしょうか。
植村さん

植村さん

ブラケットライトやダウンライトはこちらから提案しましたが、リビングや寝室のペンダント照明は奥様から「これを使用したい」と具体的な提案があったものです。

配置や高さのバランスを見て一緒に決定しました。すごくセンスの良い方で、かなり初期の段階から照明に限らずエリアごとの希望や使い方をまとめてくださっていたので、その要望をうまく形にするのが、今回の私の仕事だったといってもいいかもしれません。
対応業務 注文住宅、リノベーション (戸建、マンション)
所在地 愛知県名古屋市名東区 (ほか全2拠点)
主な対応エリア 岐阜県 / 静岡県 / 愛知県 / 三重県 / 滋賀県
目安の金額

30坪 新築一戸建て2,250〜3,000万円

60平米 フルリノベ600万円〜

取材を終えて

最後に、施主Mさんと建築家・植村さんとの出会いをつくったSUVACOアドバイザーの加藤にも、このおうちを実際に見た感想を聞きました。
加藤

加藤

空間全体がおおらかに作られていて、M様ご家族や植村さんの人柄や雰囲気がにじみ出たようなおうちだなぁと感じました。家具や照明だけでなく、キッチンの取っ手やスイッチなど細部に至るまで好きなものを詰め込んで妥協せずにつくられていたのも印象に残っています。

大きな窓や吹き抜けで内にも外にも抜けがあるので、実際よりとても広々と感じられて居心地が良く、私もつい長居してしまいました。
この家ができるまでのいきさつを、建て主のMさんに聞きました。
中古リノベから注文住宅へ路線変更。フィーリングの合う建築家とつくった、どこにいても居心地の良い住まい【成約ストーリー】

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