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この家は、北鎌倉へ通ずるメイン通りから
幅2メートルの道路付けを10mほど通り、
敷地に入っていく、一般的に言う旗竿上敷地という環境。
3F建てが建てられる地域だが、周辺は家々に囲まれて、
南側からの直射日光はあまり期待できないが、
北側に山並みを見通すことができ、
東側からもなんとか午前中は陽光を期待できる周辺環境。
当初から、3F建てを考慮し予算組やPLANを練っていたが、ウッドショックの影響で
3階建ては直に価格上昇を受けてしまう世相で、
予算が合わなくなり、私の方でも予算と睨めっこし、
あらゆるものを削減対象にしていったが、
求める暮らしの実現からは遠ざかり、
住まい手の想いも実現しないにも関わらず、
予算が追い付かない状態に陥って、
住まい手の方でも土地を諦める決断を迫られるほどの
状態までなっていった。
そんな中、
私の方でも最後の一手として2階建て+ロフト計画をご提示し、住まい手の方でも1Fで考えていた仕様を大きく方向転換してくださり、なんとか予算に追いつく形となった。
現在、無事に完成まで辿り着けたのは
今、思い返しても本当に苦しい作業で、
乗り越えられたお互いの信念の賜物のような、
私にとっても特別な家となった。
住まい手ご夫婦は、アパレルや雑貨、アート事業・イベントなどに携われていて、メインのお仕事以外でも多岐に渡って世の中と対峙をされている方々。
当然、お二人とも達観されたセンスをお持ちで、
建築にも造詣が深く、詳細打ち合わせでは、
お互いの価値観や想いのすり合わせなどが非常に楽しかったし、へぇ~と何度も感嘆させられたのを思い出します。
ちなみに今物件の外観デザインの色味やバランスは、
ほぼお二人の成果物。
おかげで古今では見ないデザインとなり、
北鎌倉のメイン通りから少し覗くその姿は、
周辺のセンスある建物にも溶け込み、
もうすでに馴染んでいます。
内部は、
開けている北側と東側を中心に展望とキッチンを据えて構築していく構成となり、建築中、住まい手にも立ち会っていただき、加筆修正を加えながら進めていく事が出来て、自分自身もコンパクトな空間ながら広がりを感じられる空間になったと思っています。
あまりにも激務過ぎだけど、しっかり地に足をつけ、世の中と対峙し、人々に影響を与え、ご自分の役割を全うされようと常に労を惜しまない姿にいつも私は触発されています。
今や、私自身、身の回りで何か不具合あると
Hさんに話すネタができたって思う始末。
そんな住まい手との共同作業は苦しくも非常に楽しい経験で、創業以来続けている弊社のブログを読んで、門をたたいてくれたのも本当に有難かったし、出会えたのも縁だなと思っています。
家に居るときくらいは、この家で心穏やかに過ごせることを祈ります。
今後のお二人の住み熟し(すみこなし)が楽しみでなりません。
仕様
床:オーク3層積層材 無垢複合フローリング
壁:オリジナル珪藻土・クロス
天井:オリジナル珪藻土・クロス・米松羽目板貼り
外壁:杉赤身材+オスモ外装塗装、白洲そとん壁
屋根:ガルバリウム鋼板
断熱:床断熱仕様 樹脂複合サッシ
設備:造作キッチン
その他:造作家具
耐震等級3
UA値 0.49W/㎡K
この家の在り方として、この景色を軸として空間構成を住まい手とともに重ねていった。 天井は米松の羽目板を採用。継手を無くすため敢えて横貼りにしている。
木製フェンスと植栽の間をすり抜けるようなアプローチ。 植栽計画施工は住まい手のご友人が担当。
外壁は同じ杉板でも幅と貼り方を変え、シンプルな矩形な建物にリズムが出るよう配慮した。
防火地域内でも使える防火構造の木製玄関ドア。 杉板とそとん壁との相性も良い。
ロフトへのストリップ階段から採光がこぼれ、陰影を生み出す。
質実剛健のシンクとマンガシロ面材による造作洗面カウンター
右手の壁の向こうにあるランドリールーム内の天窓からの採光を欄間ガラスを介してリビング側に間接光を導いている。
き抜けを介してロフトと繋がる。 コンパクトながら広がりが感じられる空間構成。 内観は、ミッドセンチュリーの雰囲気をベースに構築した。
防火地域内の為、ガラスの幅が制限される中、サッシを繋げることで北東方面に抜ける景色を望めるよう計画している。
この窓から隣家の屋根を超えて南側の直射日光を享受できる。 模型での検討を重ねてこの位置であればと設置をしていった。
吹き抜けとロフトは障子で間仕切れるようにしている。北側からも南側からもロフトは視線が抜け、居室扱いができる居心地の良い空間となった。