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初めてお越しいただいた時の
ご夫婦の若さに見合わぬ
卓越した感覚や、
競合先が古巣の会社だったことなど、
色々な衝撃が今でも鮮明に
思い出されます。
既に見晴らしの良い土地を購入され、
その土地に見合った家造りを
検討されているとのことでした。
一通りのご要望や思いを聞いた後、
打ち合わせの終わったそのままに
元井と二人で現地確認に行きました。
二方が7mほどの擁壁の上にある
台形を少し崩したような形をした
歪なその敷地は、
〇東には遠くまで開けた眺望
〇北側には集合住宅の緑
〇南・西はギリギリまで迫る隣宅
という立地条件だったのですが、
この少し癖のある条件がハマったのか
雨上がりの夕方、
少し濡れた地面に足で線を引き、
大まかな建物の形状や
サッシの位置・窓から見える景色が、
頭の中に描けたような気がしました。
設計段階では上記の条件から、
歪な敷地形状に逆らわず、
敷地形状に合わせることによって
生まれた空間を大切にしました。
一見、無駄になりそうな斜めの空間は
決して整数では割り切れない、
【たまり場】の空間に。
開けても隣家の玄関とかち合ってしまう
南面の窓は敢えて設けず、
東・北面に配置する事によって、
カーテンいらずのLDKを
生み出すことが出来ました。
順調に進んだ打ち合わせとは裏腹に、
施工は難航...
なんせ、建物に直角や平行の概念がなく
何度とも言えない、
敷地なりの角度の組合せ。
現場管理を行いながら、
何度も設計時の自分を恨みました。
大工さんをはじめ、各職人さんは
さぞかし頭を悩ませたことでしょう。
その甲斐あって、この敷地に合った
この敷地にしか合わない
唯一無二の住まいを
造ることが出来たと思います。
また一見 無駄の多そうな
このプランを見て、
面白い提案だと感じ取ってくれた
住まい手さんに感謝です。
仕様
床:熊野産杉無垢フローリング
壁:オリジナル珪藻土・クロス
天井:栂羽目板貼り・クロス
外壁:白洲そとん壁・杉羽目板
屋根:ガルバリウム鋼板
断熱:基礎断熱仕様
窓:アルミ樹脂複合サッシ
設備:床下エアコン
耐震等級3
気密測定C値:0.7
玄関ポーチの庇も三角形。土間は洗い出し仕上げ。
リビング階段の脇には本棚。階段の高低差を利用して高い場所でも取りやすく。本棚下には床下エアコンを設置しています。
キッチンからダイニングへの目線の先には丘陵地帯の見晴らしを望める
キッチンからパントリーへ。天井高と素材を変える事で、別の空間として区別した。羽目板の天井にはダウンライトを付けずスッキリと見せた。
北側の窓には隣地集合住宅の植栽と竹林を望む。
日中の採光は吹き抜け上部のFIX窓から取得
三角形のウッドデッキと軒先に斜めに突き出た目隠し壁で隣地からの視線を遮りながら、圧迫感を出さない様に考えた。
二階の吹き抜けに面したフリースペースには出窓を設けちょっとしたベンチに。二階からも景色を望める様なたまり場を設けた。
障子を透過した光が 優しくサニタリーを照らす。