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「間窓の家」
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間と間のあいだの窓
ここに住む人は、愛着のある版画の額や物品を沢山集めていました。
今回の家造りは、人の居る場所づくりと飾る壁づくりからスタートしました。
額や物を飾るには、その背景となる壁や余白を多く用意することにしました。アルバムの台紙のページを増やす様に、間仕切り壁を作りました。 部屋を廻ることは、ページをめくることと似ていて、ページそれぞれのシーンがあり、 次のシーンへの切り替えや予感させる展開になると良いと思いました。
一方、暮らしの間仕切りは、使い勝手に合わせて間仕切ると共に、家族それぞれの気配を共有できる、空気が通う一つの家にすることが、お施主さんの住み方に丁度良いと思われました。
間仕切り壁に窓を付けました。
人影が見えるかもしれない。
呼べば答えが返ってくるかもしれない。
向こうの部屋に飾った絵が見えるかもしれない。
日光が思わぬところに陽を落とすかもしれない。
あちらの灯りが、この部屋に暖かく漏れるかもしれない。
今居る場所から、次の間に広がる連続感を持ち合わせた
余韻のある空間を目指して設計しました。
海外の蚤の市などで集めた版画の額や、雑貨を沢山お持ちで、これらをちゃんと飾りたいというご希望でした。ギャラリーとして一つ専用のスペースと、それぞれの壁に適度に飾る壁があることを求められました。
ギャラリーはリビングに併設し、飾った物が常に見られる配置ですが、リビングに次の間があることで、適度な広がり感とアクセントを持たせています。又物の収納と整理のためにもこのスペースは有効と思われます。
庭は今後、自家栽培の野菜や果物を育てる予定とのことで、これから緑豊かな景色となることでしょう。
ギャラリー以外の場所も、例えば階段ホール等、額を飾る予定です。間窓(室内に設けられた窓)と、額とのアンサンブルが楽しめるギャラリー空間になります。
間窓から見える次の間の空間はそれぞれ色味の違うペールトーンで配色し、多様な空間の連なりを感じられるようにしています。
1)最初にお施主さんからも、こういう案を比較検討したい、というテーマがありました。遠景の山並みが少しだけ見える2階リビング案か、庭作業も充実できる1階リビング案か、の2案です。それ以外に暮らし方、嗜好・所持品の確認などのヒアリング内容も盛り込み、模型による提案から始まりました。
上記の提案には部屋のとり方、窓の開け方なども盛り込み、空間性や、天井形状(小屋組み)など立体的な多方向視点で、お施主さんと設計者の、どういう家造りの方向性にするかを、意見共有しました。
2)1階リビング案に決まってからは、例えばオープンなキッチンの形状を何案か、ショールームへも通いながら、一つづつ確認しながら進めました。又打合せの際には、ここの空間がお気に入り、という具体的な空間のある、カフェやお店、街路の家の外壁材など、好みや実際の様子を一緒に体験することで、求める空間性や機能を共有していきました。
3)それぞれの詳細、設備機器・仕上げ・サッシ形状・照明・などはそれぞれ、タタキ案提案→ご夫婦の持ち帰り検討→調整提案→ご夫婦検討を2、3回フィードバックして確定していきました。
4)当事務所は東京所在・お施主さんは松本ということで、面談打合せ以外に、メールとスカイプ会議で、その都度こまめに打ち合わせ、地域をまたいでも充実した家造りになったかと思います。これはお施主さんのご理解とご協力によるところもあります。
リビング奥には吹抜けがあります。 右手ギャラリーはアンティークの家具や雑貨を飾り、空間のアクセントと広がりを作ります
ガラススクリーンで仕切られたギャラリースペース。モルタル仕上げがリビング全体のアクセントになっている。
ギャラリーから間仕切りガラススクリーン越しにダイニングを見た眺め
規格品L型キッチンに家具工事でカウンターを作りU字型としました。夫婦2人でキッチンに立てる通路幅です。 カウンター側はネイビー色
洗面・脱衣・トイレ・ランドリーが一体となった広めの洗面スペース。ライトグレーに白陶器の組み合わせ。奥はウォークインクローゼット・物干バルコニーにつながる。ウォークインクローゼットは主寝室にもつながっている。家事動線を配慮した回遊動線。