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設計、施工、監理を担当
I邸は、ちょっと変わった経歴を持っている。
奥様が実家を両親から受け継ぎ、ご主人とともに暮らし始めた家なのだが、実は築40年と25年の2つの家が合わさってできた、ちぐはぐの家だ。
元々ここには祖父母の家があり、両親が40年前、結婚を期に隣に別棟を建てて住んだ。その15年後、両親が祖父母の家を受け継いだときに、老朽化した母屋を建て替えると同時に別棟を増築して繋ぎ、ひとつの家になった。
年代の異なる2つの家の接合部には強度面での不足があり、また、頭でっかちで不安定な二階部分も持っていた。さらに、毎年Iさんを悩ますシロアリの被害も深刻だった。
何よりも夫婦の気を揉んでいたのが、一階にあったLDKがすぐ近くに迫る崖に日光を遮られ、一日中薄暗く湿気の多い環境で過ごさなければならなかったこと。
いっそ、建て替えてしまおうか―――
しかし、調べてみると土地の条件的に難しく、リノベーションに賭けることになった。
まず取り組んだのは、今後安心して数十年住み続けるための、躯体の改良。シロアリが猛威を奮っていた柱を補強し、増築部との接合強度不足を補う新たな梁を追加した。さらに、崖に面した擁壁に支えられ、バランスの悪かった二階増築部を減築するなどして、一軒の家として構造体の安定を図った。
「明るい部屋で暮らしたい」というIさんのご希望に応じて、日差しがたっぷりと射し込む二階に広いLDKと寝室を配置。梁を現しにして天井を上げ、さらに白の塗装を基調にして光が隅々まで回るようにした。階段室にも大面積のアイアン窓を設けて、リビングの光を届けている。
一方で、日照の悪い一階にはサニタリーやゲストルーム、大容量のウォークイン収納と、一時的に使う機能を集約させた。一階と二階で用途をハッキリと分けることで、ライフスタイルの中心を明るい部屋に置くことを実現している。
お引き渡し後まもなく、Iさんにこどもが誕生。もう一世代は安心して暮らせる明るいこの家で、今日もすくすくと育っている。