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3LDKの南側半分のリフォームを計画、独立型キッチンと和室を取り払い、タイル貼りのワンルームにつくり変えた。西側にオープンなI型キッチンと、思いきり大きなタモ無垢材のテーブルを配置、その周りを夫が集めた美しい椅子たちが囲んでいる。「娘がお絵描きしたり、私が仕事を広げたり、それぞれがテーブルの周りで好きなことをしています。何をしていても気にならないんです」
東の壁面は厚い杉板でできた本棚で埋まり、その手前を可動家具で仕切って3つのコーナーに分けている。奥は杉の縦格子で軽く仕切った夫のワークスペース、明るいバルコニー側は子供のスペース、その中間地帯にソファを置いたくつろぎのスペース。家具の配置を変えれば空間は変幻自在だが、今はこれがいちばん快適。「家族が何となくそこにいる感じ」があたたかく、心地よい。
原木を材木屋さんから購入。木の質感が生活を包む
この空間にはマンションっぽくない温もりがある。その大きな理由は無垢の木をふんだんに使っていることだ。タモの大テーブル、厚い杉板の棚、杉の角材を格子状に使ったパーティション…。木の質感がコンクリートの箱の内側に、やわらかな空気感を生み出している。 「群馬に古材なども扱っている知り合いの材木屋さんがあって、原木を買いに行ったんです」と碧山さん。 使った無垢材はタモと杉の2種類。大テーブルはスライスしたタモ材を2枚はぎ合わせている。杉は丸太のまま買って、必要に応じてスライスしてもらった。厚さ4㎝の棚板は耳付きのままで、そばに寄るとラフな木肌が自然を感じさせる。材料をまとめて買ってムダなく使い切ることで、かなりのコストダウンができた。一方、可動家具の材料は安価なシナ合板。シンプルなデザインにして、大工さんにつくってもらい、こちらもコストダウンにつながった。
今回のリフォームは第1期工事で、子供室が必要になったら、今回手をつけなかった北側の2室と水回りをリフォームする予定だという。
所在地: 富士見市
家族構成: 碧山邸 夫47歳 妻42歳 長女3歳(取材時)
築年数: 12年
延床面積: 53㎡
工事費: 600万円(設計料別)
設計: +Marchitects(プラスエム・アーキテクツ)
LDK
床:タイル
壁:塗装 一部杉ルーバー、キッチンパネル
天井:塗装
キッチン本体:アルミルモ
コンロ:ガゲナウ
レンジフード:暖冷工業
食洗機:ミーレ
水栓:グローエ
トイレ、浴室:既存
床は60cm角のタイル貼りで床暖房入り。足触りがよく、目地が少ないので掃除もしやすい。タイルの硬い質感、白く塗装した壁と天井、無垢の木のあたたかさのバランスがほどよい。
床下に防音下地材を施工したため、床は15㎝ほど上がったが、天井には30㎝の懐があったので、ギリギリまで上げて2.75mの天井高を確保。空間に広がりが生まれた。
「家族が集まる場所」をつくるため、いったんフルオープンにした空間に3m×1mの大テーブルを設置した。材は国産のタモ。食事も、子供が絵本を読むのもここで。
畳敷きの低い台と収納棚を並べただけで、簡単に取り払える。収納扉の面材には、長女が2歳のときに描いた絵を利用。
収納棚は絵本を並べたり、オモチャをしまったり、自分なりにモノの管理ができるような工夫をした。
ソファのあるくつろぎのスペースは囲まれている感じがあって落ち着く。棚に並ぶ蔵書もインテリアの一部。「子供コーナー」との間に置かれた収納の下部はこちら側からも使える。
低めのパーティションで仕切られ、家族の気配を感じながらデスクに向かうことができる。
カーテンボックスを取り払い、新たに木の枠をつくって障子を納めている。障子を閉めると和紙を通した光がやわらかく、落ち着いた和の雰囲気が生まれる。アクリル板に杉の縦格子を取り付けた戸袋は照明にもなる。