リノベーションの依頼先探しで迷っていたとき、リノベりす(SUVACO)の専門家紹介サービスを利用して、相性の合う女性建築家に出会えたNさん。入居されてから1年3ヵ月経ち、今はどのように暮らしていらっしゃるのでしょうか。気になる暮らしぶりを、リノベーションを手掛けられた+Marchitects(プラスエム・アーキテクツ)の建築家・碧山美樹さんにも同席していただき、編集部が伺ってきました!
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お気に入りは回遊する動線
家事効率がグンとUP!
‟キレイ”を保つ暮らしの工夫
もっと暮らしを好きになるために
お気に入りは回遊する動線
-住まわれて1年3ヵ月経ちましたが、住んでみていかがですか?
「とても快適に過ごせています。家で仕事をしているので、日中はほとんどダイニングスペースかワークスペースで過ごしているんですが、日当たりがよく冬でも暖房なしで大丈夫なんですよ。意外とリビングには仕事や家事を終えてゆっくりとくつろぐ時間にならないと行かないですね。リビングのアクセントウォール もとても気に入っていて、実は当初は壁紙を自分で購入して張りました。希望のカラーで無地の壁紙を探していることを伝え、店頭で購入したんですがいざ壁紙を張って全体を眺めると、想像していなかった仕上がりに!遠目で見ると、うっすらと模様があるクロスだったんです。ここのアクセント壁は、絶対に無地にこだわりたかったので、壁紙の上から自分でペイントを塗りました。大変でしたが今となってはいい思い出です。(笑)」
-その他に気に入っているポイントはありますか?
「キッチンと寝室をつなげたところですね。ドアが一つあるだけで風の通りが全然違うんですよ。動線としてもとても便利なので寝室への出入りはほとんどこっちからですね。もともとは寝室のクローゼットのドアだったところなんですが、開口をふさぐ方が費用がかかるし、せっかく開いているなら使いましょうということでできた動線だったんですが、大正解でした。」
碧山さん「そうですね、よくあるマンションの間取りは縦に長いことが多くて、南側と北側の部屋が分かれてしまっていることが多いんですね。そうすると北側の部屋の条件が悪くなってしまって生かしきれないことがあるんですが、南側と北側のスペースを繋げてさらに室内窓を設けたことで家中に風が通って気持ちよく過ごせるようになったんだと思います。」
家事効率がグンとUP!
-住んでみてわかったことはありますか?
「キッチンの使いやすさですね。素材やデザインにはもちろんこだわっていたのですが、予想以上に使いやすくてとても気に入っています。本当に便利だなと毎日感じるのは、食洗器と食器棚の位置で、隣り合っているので、右から左へ流れ作業的に片付けていくことができるんです!片付けが本当に楽になりました。あとは、IKEAの吊戸棚の高さもちょうどいいですね。それまでは吊戸棚って使いにくいイメージしかなかったんです。前の家でも倉庫と化していましたし、リノベ―ションしてる最中も吊戸棚を機能させるっていう頭は全くありませんでした。でも、実際使ってみたら、ちゃんと届くしちゃんと使えるってことがわかったのが私にとっては衝撃でした。(笑) 今は砂糖や塩、ラップなどを入れていて、料理中は開けっ放しにして使っています。」
-確かに吊戸棚は使いにくいイメージがありますね。高さはどのように決められたんですか?
「まず吊戸棚の上を空けたいっていう希望があって、天井につけたくなくて。それでどれくらい空けたら空間が空いて見えるかっていうのは現場で碧山さんと決めましたね。」
-吊戸棚下の照明、圧迫感がなく洗練された印象になっていますよね。
「そういえばこのキッチンになってから、夫と一緒にキッチンに立つことが多くなったんですよ!使いやすくなったからなのか、広くなったからなのかわからないですが。(笑)週末の朝ごはんは、夫がよく作ってくれるようになりました。」
-それは素敵な変化ですね!他に生活の中で変化したことはありますか?
「布団をよく干すようになりました。朝起きて、天気がいいと何か干したいっていう気持ちになるんですよ。(笑)なので布団干しやシーツなどの大きいものの洗濯の頻度はあがりましたね。前の家では忙しかったこともあって週に2回しか洗濯ができなくて週末のどちらかは家事でつぶれていたんですが、今はこまめに家事をするようになったので、週末はゆっくり過ごせるようになりました。」
碧山さん「窓が大きくてたくさん光が入るので自然とそういう気持ちになるのかもしれないですね。あとは、寝室からまっすぐにベランダまでいける生活動線ができたことも布団を干すことのハードルをさげているんだと思います。」
‟キレイ”を保つ暮らしの工夫
-入居された当時の写真とほぼ変わっていないですが、家をキレイに保つコツはあるんですか?
「掃除機がスティックタイプでコードレスになったので、すごく便利で頻繁に掃除機をかけるようになりましたね。それまでは、大きなクローゼットからよいしょって掃除機をだして、コンセントを差して、っていうのが本当に面倒だったんですが、掃除機をしまう場所が家の中心にあって思い立ったときにさっと取り出せるので掃除機をかけることが億劫じゃないんです。ただ、コードレスなので使える時間は短いんですが、今日はこっちで明日はむこうとかこまめにかけてます。家がまだ新しいのでキレイをキープしたいっていう気持ちがまだあるんですがそれを維持できる環境が整ったな、とは感じています。」
碧山さん「もともとここは分電盤を収めるスペースとして考えていた場所なんです。後ろに冷蔵庫を置いているので、1㎝単位で調整していて、本当に偶然で掃除機が収まったんですよ。」
-それは本当にすごい偶然ですね!あと1㎝奥行がなかったら掃除機が入らなかったということですよね。この収納以外もとてもきれいに物が収まっているように感じるのですが。
「収納を考えるときは、まず使い勝手を最優先に考えています。動作のアクション数がなるべく少なくなるようにとか。あとは基本的に『見せる収納』のセンスが無いのと、掃除しやすさを考えて『全てしまう』ようにしてるのですが、収納を開けたときにゴチャっと見えない工夫だけはするようにしてます。」
-もともと片付けは得意だったんですか?。
「いえいえ、もともとインテリア本とか好きでよく読んでいたので、『いつかこんなステキな空間に住めたらいいな』『家具も収納も整えたいな』と妄想してました。(笑)賃貸の時は、収納が少なくて、使い勝手も悪くて、それがずっとストレスで『アレはどこだっけ?』『あ!こんなのあるの忘れてた』ということが度々ありました。ですが仮の住まいという意識があって、そこまでチカラを入れて整えようとしていなかったです。いつか家を買ったらどこに、何が、どのぐらいあるか、把握できるようにしたい!と強く思ってました。なので、ずっと頭には収納を整えたい気持ちがあったけど、本当にやる気になった大きなキッカケはやはり『家を買ったこと・リノベーションしたこと』でしょうか。」
-お気に入りの家ができたことで暮らし自体を整えようという気持ちになった、ということでしょうか?
「そうですね。掃除も、料理も、服の着替えも、モノと時間のムダを出来るだけ少なくできれば、日々の生活ももっと快適になるに違いない、と。あとは見た目から入るタイプなので、お気に入りのものが増えれば、家事も楽しくできると思って。(笑)」
-その甲斐あって、もう散らかることがなさそうですよね。
「引っ越しのタイミングでかなり断捨離できましたし、物の定位置もほぼ決まって、それぞれのスペースに入る量しか持たないように意識しているので、できるだけ今の状態をキープしていきたいですね。」
もっと暮らしを好きになるために
-今でも十分素敵な家ですが、これからアレンジしていきたいことなどはありますか?
「予算上、手がつけられなかった洗面所とトイレはぜひ変えたいですね。マンション自体築浅なので設備は問題ないんですが、床と壁の色は変えようと考えています。まだ具体的なイメージはないんですけど。あとは、ファブリックなどの小物を気分に合わせて変えようかなと思っています。」
-暮らしながらそういうことを考えるのも楽しいですよね。最後に、これからリノベーションをしようとしている方にメッセージがあればお願いします。
「自分でできることとできないことの線引きをはじめにしておくといいと思います。例えば、壁の色や壁紙は後からDIYでどうにかなるけど、壁の有無や電気の配線は自分ではできない。なのでどうしようかな、と迷ったときはそういう基準で優先順位を決めるといいかなと思います。あとは、私の場合、飽きるか飽きないか、も結構重要視しましたね。今は好きだけど、3年後はどうかな、とか。だから素材感にはこだわりましたが基本はシンプルに、作り付けの家具などはお願いしないで、いつでも好きなように模様替えができるようにしました。」
-碧山さんはいかがですか?
碧山さん「一般的だけれども、やりたいことの優先順位を決めておくと予算や間取りのコントロールがしやすくなりますね。リノベーションするときって、はじめはあれもこれもってなんでもやりたくなってしまうんですが、そうなると結局スケルトンにしなくちゃいけなくなったり、どんどん予算もあがってしまうので、譲れないポイントをはっきりと持っているといいかもしれません。リノベーションをされる方って、新築の方に比べると空間を作り込もう!というパワーがすごいんですよ。(笑)」
-ちなみに、Nさんのお宅であきらめたことはあるんですか?
碧山さん「キッチンの設備ですね。実は少しずつグレードを下げて、当初よりも100万円程度見積もりを低くしたんですよ。天板の素材とかね。」
「でも今となっては何をあきらめたのか覚えてないんですよ。(笑)その程度のこだわりだったということですね。」
-このたびは興味深いお話をありがとうございました!