2017/12/18更新0like2753viewSUVACO編集部

専門家フィーチャー

子育てリノベから、大人の女性の上質リノベまで。幸せな“化学反応”を起こす建築家・碧山美樹の横顔

女性建築家として、リノベーション・注文住宅を問わず、幅広い活動をしている碧山美樹さん。SUVACOが運営するリノベーション専門サイト『リノベりす』を通じて成約した、Nさんのマンションリノベは今でも人気の事例である。

そんな碧山さんだが、実は初めから建築家を目指していたわけではなかった。なぜ建築家になったのか、これからどこへ向かっていこうとしているのか、お話を伺った。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

大学では法学部に入ったが、インテリアのことが忘れられず設計事務所に飛び込んだ

福岡で生まれ育ち、幼い頃から家に興味があったという碧山さん。物心つくころから自分の居場所を自作することを覚え、本で場所をつくったり、冷蔵庫の大きな空き箱で自分だけのスペースをつくったり、その後も個室を与えられるまでは押し入れや広縁に居場所をつくっていたという。
大好きだった父と

大好きだった父と

宮崎の高校に通っているころ、インテリアコーディーネーターという資格があることを知るが、当時は25歳からしかなれなかった。仕方なく関西の大学へと進学する。

「高校を卒業したら外に出るのがあたり前という家でした。関東か関西か………早く『都会』に行きたい私にとってはどちらでも良かった。受験日程の早い関西の大学で決めてしまおうと思いました。(笑)

父親が法律関係の仕事をしていた関係で『できれば法学部へ』と言われ、その通りにしました。今思うと、先のことはあんまり考えていなかったですね」
大学時代は古い一軒家の離れを借りていたが、家主が「自由にしていいよ」というのをいいことに、壁や天井全部にペンキで色を塗って自分好みに仕立てるなど、住まいへの関心は絶えることはなかった。
いよいよ就職活動の時期を迎えたが、どこかしら違和感がぬぐえなかった。みんなが同じリクルートスーツを着ているのがイヤで、ひとり違う格好をして行っては冷たい対応を受けたこともあった。もう就職活動をやめようかなと思っていたころに、新聞で、ある設計事務所の募集広告が目に留まった。碧山さんは電話を取った。「建築の経験はないのですが、事務職でもいいからやらせてもらえないでしょうか……?」

当時はバブルの時代。気前の良い社長が雇ってくれた。日中は設計事務所で働き、夜は建築設計・インテリアの専門学校へ通う日々が始まった。

さまざまな事務所で働きながら学ぶ日々

数年たった頃、店舗デザインやクリニックなどを得意とするタックデザイン事務所へ入所、内装を中心とした設計や現場監理を担当する。

その後、住宅の仕事に対する思いが募り、アトリエ系の設計事務所である小山隆治建築研究所へ。そこは、作品のためなら犠牲をいとわず突き進む、「常に戦っている」ような環境で、当然のように終電の日々が続いた。
なかでも碧山さんにとって忘れられない現場がある。

それは新聞社を引退した方の、書庫を兼ねた家の建築だった。予算が厳しく現場監督を雇う費用もないので、碧山さんが米子(鳥取県)にある現場へ常駐することになった。

泊まる宿もないので、施主の実家に泊まり込み、職人さんたちと過ごす生活が2ヶ月以上続いた。週末もあまり帰れなかった。
米子の現場を担当していた頃

米子の現場を担当していた頃

「毎朝、現場から歩いて15分ほどの海辺に行き、気持ちを整えてから仕事に向かいました」
そこで、現場監督の難しさ、段取りを組むことの難しさを、身をもって知った。30歳を過ぎた頃だった。
アトリエ事務所で2年ほどたったころ、関西を出て東京へ行ってみたくなった。当時見ていた雑誌『太陽』(平凡社)の表紙に載っていた力強い空間の写真から目が離せなくなったことも一因だった。その作品を手がけていた設計事務所を調べて、自分を雇ってもらえないかと直接、電話をかけた。
雑誌『太陽』の別冊

雑誌『太陽』の別冊

電話では断られたが、「まずは会ってほしい」と着の身着のまま東京・飯田橋にあるアカデメイア一級建築士事務所へと向かい、めでたく勤務できることになった。

そこは、古民家を再生する案件を扱っていた。その仕事を通して、木の良さ、古いものの良さを実感した。さらに、部材や素材、構造材など建築を構成する要素が持つ「力強さ」について意識するきっかけともなる。

出産、子育てを機に独立。 子育て目線のリノベーションで頭角を現す

その後、結婚して出産することになり、事務所を退職して1年ほどは家事と子育てに専念する。

「子育ては幸せでしたが、だんだん『このままでいいのだろうか?』という焦りに似た気持ちが生まれてきて、いてもたってもいられなくなりました。そこで、向こう見ずかもしれませんが、自分の事務所を立ち上げ、建築家として独立することにしました」

とはいえ、まだ実績もない事務所なので仕事は来ない。そこで、自邸の中古マンションをリノベーションすることにした。自身の子育て経験を生かして、間仕切りを極力なくし、常に子供の様子を感じられる空間を生み出した。
「子供を産んだことで初めて生活をリアルに感じられるようになったと思います。子育ての経験は、今の仕事に大きなプラスになっています」

碧山さんの自邸リノベは反響を呼び、「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」で経済産業大臣賞も受賞した。これをきっかけに、碧山さんへ子育て世代からの依頼が次々と来ることになる。

家によって生活が変化する。その一翼を担えるのが喜び

以来、リノベーションか注文住宅かを問わず、数多くの住宅を手がけている碧山さんは、どんなことを心がけているのだろうか。

「この仕事で大事にしているのは、建築やリノベーションをしたことで、その人の何かが変わっていくこと。暮らしだけじゃなく、その人自身が変わっていくことも含めて」

たとえば、冒頭で述べたNさんのマンションリノベーションがそうだ。リノベによって生活動線が変わったことで、Nさんは布団を干す回数が増え、それまであまり料理をしなかった夫が自然と料理をするようになったという。

「家づくりを通して、こうした『化学反応』を引き起こし、住む人たちに幸せになってほしいと思っています」

【関連記事】
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独立した頃は子育て世代からの依頼が多かったが、今ではキャリアシングルマザー世帯、高齢者3人世帯、シングル+ペット世帯など様々な顧客にも対応している。

「Nさんの事例を取り上げていただいてから、女性からの問い合わせがとても多くなりました。世の中ではブルックリンなどの男前リノベが人気ですが、『そうではないものを…』と思う女性からの声だと思っています。私自身、そういう男前リノベも嫌いではありませんが、もうすこしシックで上質なものを提案したいといつも思っていました」

そんな碧山さんが、顧客と接するときに大切にしていることを聞いてみた。

「お客さまはそれぞれの背景や事情を抱え、全身全霊でぶつかってきます。たしかに自分が数百万から1,000万円ものお金を出してリノベーションするとしたら、必死になるだろうなと思います。そこにしっかりと向き合う。さらに、お客さまの要望を満たすだけではなく、『こんなこともできるんだ』というプラスアルファを盛り込みたいと思っています。100%応えるのは当たり前。そこに何かを加えるプレゼンテーション(提案)を常に心がけています」
仕事と家庭を両立させ、多忙な日々を送っている碧山さんだが、最近になって絵を習い始めたという。

「仕事に直接関係するわけではなく、趣味として始めたものですが、物事を深く見る、見尽くすというスタンスで対象に向き合うことは、大いに刺激になります」

住む人のより良い暮らしを見つめる視線は、これからも日々研ぎ澄まされていくことだろう。

よくある一日の流れ

朝4時ごろに起床。

6時まで仕事。それから平日はお弁当、朝ご飯をつくる。

7時に子供を送り出してから、準備をして、8時半〜9時に事務所に着く。
曜日によっては学校で講師。打合せ、現場で一日外を回っていることも多い。

夕方早めに帰宅した時はしっかりご飯を作るが、遅くなった時は手抜きまたは買って帰ることも。

夜23時過ぎには就寝。
愛娘とのひととき

愛娘とのひととき

碧山さんに20の質問

1. 建築家/デザイナー以外で選べるとしたら、どんな職業に興味がありますか。
世界中を旅する料理人。

2. 影響を受けた建築家やデザイナーをお一人選ぶとしたら誰ですか。
1人ではないですが、やはり建築の考え方を教えてくれた先生(所長)達です。

3. 好きな住宅建築を一つ教えてください。
サヴォア邸(設計:ル・コルビュジエ)は佇まいも美しく心に残っています。

4. 今までで一番大変だったのはどんなプロジェクトですか。
前述の米子のプロジェクトです。

5. 仕事をする上で誰にも負けないと思う点はありますか。
聞く力、かな。

6. どんなものからインスピレーションを受けますか。
街歩き。 

7. 今後仕事で挑戦してみたいことはありますか。
古い倉庫や蔵などのリノベーション。
また、リノベのテイストの一つの柱として、「大人のオンナの上質なリノベ」をやっていきたいと思います。

8. 依頼を引き受けるかどうか、決めるポイントはどこですか。
施主さんの思いに私が応えることができるだろうか、ということです。

9. 施主との初めての面談では、どんなことを聞きますか。
もちろんご要望を伺うのですが、直接関係のなさそうなことをたくさん話します。雑談する中で本音が見えたり、言葉にならない思いが伝わってくることもあります。

10. 得意なジャンルや好んで使う素材はありますか。
いろんな木、障子、ベンジャミンムーアペイント。

11. これまでにどんな家に住んでいましたか。
子供の頃は父が転勤族だったので官舎住まいです。
関西にいた頃はセルフリノベーションを楽しんでいました。(まだリノベーションという言葉もなかった頃です)
セルフリノベーションのプラン

セルフリノベーションのプラン

セルフリノベーションのビフォー/アフター間取り

セルフリノベーションのビフォー/アフター間取り

セルフリノベーションした部屋

セルフリノベーションした部屋

12. 今はどんな家に誰とお住まいですか。
郊外のマンションをリノベして住んでいます。主人と娘の3人暮らしです

13. 日本で好きな街を3つ挙げてください。その理由もあわせて教えてください。
福岡 美味しいものがあってお祭りが楽しい。
神戸 海と山とお洒落な街にすぐ行ける。
京都 伝統とアヴァンギャルド。東京にないものがある。

14. ご自宅で使用しているもので、買ってよかったものがありましたら、ひとこと理由を添えて教えてください。
ラッセルホブズのカフェケトルは2台目です。コーヒー好きの私にはなくてはならないもの。
15. これから家を建てる・リノベーションする方にオススメする本があれば教えてください。
『カーサ ブルータス』
『普請の顚末』柏木博+中村好文
16. ペットは飼っていますか。
20年一緒にいた猫がこの夏に死んでしまいました。 

17. 料理はしますか。もし、得意な料理があったら教えてください。
親子丼と出汁巻は子どもが褒めてくれます。

18. 寝る前や休日時にリラックスや気分転換でしていることはありますか。
お風呂読書が最高のリラックス。ただし本は若干ふやけます。

19. 好きな音楽やアーティストはいますか。
平井堅が好きです。あの声。。。

20. 好きな言葉・座右の銘を教えてください。
「禍福は糾える縄のごとし」を胸に、自分自身をコントロール?
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対応業務 注文住宅、リノベーション (戸建、マンション)
所在地 東京都豊島区
対応エリア 茨城県 / 栃木県 / 群馬県 / 埼玉県 / 千葉県 / 東京都 / 神奈川県
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