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設計、施工、監理を担当
鵠沼桜が岡の閑静な住宅街の一画にある中古物件情報を持って、古今に来てくださったのが初見でした。
当初は緑豊かな場所での新築住宅も視野に入れながらでしたが、中古+リノベのメリットデメリットをご説明し、築年数は30年近くあったものの、純和風で設えの趣や先住の方の家への愛着を感じる手入れの状態、既存のものを大事に生かしながら住んで行きたいという住まい手の相性も合わさり、中古+リノベを選択。
予算感を睨みながら、理想の住まいを想像しながら現地調査を行って、プロジェクトがスタートしました。
古今全員で現地調査を行い、聞いていた通り、家の持つ雰囲気とびっくりするくらいの状態の良さにみんなで驚いたことを思い出します。
この中古+リノベは上手くいくぞと確信めいたものを持ちつつ、ここはこう変えてこうすると絶対良いですねって住まい手と話しながらイメージを一緒に膨らませていたと思います。
一般的な改装だとなかなか全面リノベーションを行える資金がなかなか調達できない中、この住まいでは、非常に状態が良かったため、フラット35Sのリノベという中古物件+改装費用を一式で借りるような仕組みに落とし込めることができ、資金を調達できた。
中古+リノベは、既存の家屋の状態が築年数にかかわらず、何より大事で、先住の方の家への思いやりが、後々にこれほどまでに差が出るんだと思い知らされた好例でした。
丁度、コロナが急速に蔓延しだし、オンラインでの打ち合わせや、子供たちの面倒だったり、医療従事者である住まい手のお仕事柄、密に何かをしたり、行動したりがしずらい中、上手くお互いの要素を伝え、伝わるのが難しかったにも関わらず、住まい手の達観した考え方あってこそ滞ることなく、進めていけたと思っています。
費用的には少しオーバーしてしまったけど中古住宅の難点である耐震、断熱を現代レベルまで押し上げつつ、窓の交換やガラス交換、デザイン性や土地の良さを引き出す庭との関係性の部分も含めて手を入れられたかなと思っています。
状態の良い中古物件に、達観し、古いけど良いものを継承したいという住まい手、既存を生かしながら、新しいものを加えていく私たちの長所の部分がうまく融合できて、作り手の私たちもすごく納得できた住まいになりました。
この家を大事に大事に育んだ先住の方もきっと喜んでくれるかなと思っています。
住まい手の気質とご理解、縁に感謝しつつ、私の住まいとの至近なこともあり、この住まいとまだまだ付き合っていく所存です。
早く10年経過し、馴染みに馴染んだ景色を見たいなと思っています。
仕様
床:紀州杉30mm無垢フローリング
壁:クロス貼り 一部 モルタル仕上げ
天井:ヘムロック羽目板張り
造作建具:マンガシロ突板
造作キッチン:杉材・ホワイトオーク無垢
造作洗面台
造作家具
耐震補強
南面ほぼ全面に窓を新設し、庭との一体感を図った
障子をすべて壁内に引き込める仕様とし、夏場の強烈な日射を防ぎつつ、冬場の冷暖房効果、夜間の外部からの視線を防ぐ。 障子を透過した柔らかい光がより空間に馴染む。
杉材を主体とした造作キッチン。 ダイニングテーブルも造作。 木視率が高い中、野暮ったくなりすぎないよう配慮した。構造的に抜くのが難しい柱は、既存の柱を埋木しながら既存利用している。
暮らし上手な奥様と入念に打ち合わせを重ね、作りこみ過ぎない形として、将来に余白を残している。
杉材とステンレスとモルタルのキッチン。 料理好きな奥様の鉄主体のキッチンツールが並ぶことを考慮して色を制限し、おおらかな造作キッチンになっている。
天井が小屋裏だったため、天井を抜き、屋根面に断熱材を入れる事で、梁を現しとした。 小屋裏を介して繋がる二階の寝室との間に小窓を設けた。光と風と人の気配を1Fと2Fで繋げている。
子供が小さいうちはプレイスペース。 1F主寝室同様天井を抜いて、屋根面に断熱材を移設することで、梁を現しとしている。 入口建具の雪見障子は既存を再利用した。
キャンプ道具と女の子の今後の靴量を考慮し、豊富な収納量を誇る。床は、色モルタル仕上げとし、手すりも造作している。
洗面台上部に南側LDKからの採光と通風を室内干しスペースにもなる洗面室につなげるため、欄間回転窓を設置している。
趣のある部分は残しつつ、格子・植栽を新設。塀で使われていた大谷石を敷石として再利用し、予算を抑えつつ、体裁を整えた。