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学生時代に集合住宅の設計製図課題の類例調査として訪れた「桜台コートビレジ」(設計:内井昭蔵、1970年 竣工)。そこに植えられた象徴的な桜の木を望む場所に 計画地は位置する。
クライアントからは築20年程の古家付きの状態で売りに出されていたこの土地の購入にあたり意見を求められた。古家をスケルトンの状態から 間取りを変えてフルリ フォームやリノベーションするとすれば費用面では新築 同等のコストがかかることが予想され、面積規模からも 「形見のポルシェをビルトインガレージにいれる 」など の要望や理想とするライフスタイルの実現は困難 であり 費用対効果の面から 土地は購入するが建物は新しく更新 することで、計画がスタートした 。
新しく計画した住宅は隣接する名建築を借景した吹抜け のある2階リビングのガレージハウス 。 1階には玄関と一体化したビルトインガレージ、奥に独 立した個室を設けた 。
2階にはロフトに面した吹抜けのあるリビングを配置 、 プライバシーのバランスを取りながら 、大きな開口部か ら「桜」と「名建築」を借景し 、光と風を採り入れる 。 ガラスはLoe-Eペアガラスとし、熱と紫外線を大幅にカットする。 水廻りも2階キッチンの近くに配置、家事動線をコンパ クトにまとめ、バスルームは南向き。
ガレージは将来的には間仕切って部屋にすることも可能。さらにロフトがあること でライフスタイルの変化にも柔軟に対応し、オーナーチェンジの際にも使い方の自由度 が高まることで、同時に資産価値としても高くなるであろう。
日本では解体された建物の平均築年数が約25年と短く、ここでも築20年程度で解体する事は胸が痛む 。 せめて、新しく建てたこの住宅は世代が替わっても、 「桜台コートビレジ」のように、長きに渡って愛されて 使い続けられる建物となってくれることを切に願う。