注文住宅

うなぎの寝床

実施エリア:

東京都品川区

延床面積:

90平米

内容:

都心に建てられた木造3階建ての住宅。敷地の形状は間口4m、奥行き14.5m、所謂「うなぎの寝床」。 都心には、ミニ開発されたこのような狭小地が沢山あります。 土地の細分化については景観的議論もありますが、若者が都心に住むということを考えれば、有効なストックの活用であるとも言えます。
このような場所で豊かに暮らすには、それなりの工夫も必要です。この敷地特性を上手く活かすため、内部は階段を挟んだスキップフロアで構成し、 各フロアが緩やかに繋がり、奥行きのある空間となっております。

ロケーション

品川区大井町で設計・監理した木造3階建ての住宅です。
敷地の形状は間口は4m、奥行き14.5m、所謂「うなぎの寝床」。この敷地特性を上手く活かすため、内部は階段を挟んだスキップフロアで構成し、各フロアが緩やかに繋がり、奥行きのある空間となっております。
街並みに対する外観のお話をすると、1階は駐車スペース、2階はバルコニー、3階はルーフバルコニーが面しております。
道路側が南面ですが、あまり開放的につくっても、カーテン閉めっ放しであったり、対面する住宅にも気を使うので、中間領域的な空間を設けました。
2階はエキスパンドメタルの吊り引戸が付いており、プライバシーを保つ役割を担いつつ、大きな荷物の搬入の際は、開閉することができます。
3階のルーフバルコニーの壁は、斜線制限との関係で斜めになっており、3階建て住宅でありながら、2階建て住宅の屋根のようにも見え、街並みに対して、圧迫感を与えないように配慮しております。

夕景

『うなぎの寝床』の夕景の様子です。
1階ピロティ部分の床仕上げは、豆砂利洗い出し。幅広の方は駐車スペース、幅狭の方は人のアプローチです。
豆砂利洗い出しとは、左官屋さんがモルタルを塗る際に小石を混ぜ込んでおき、乾き具合を見ながら表面のモルタル分を洗い出し、小石を浮き出させる手法で、ひと手間加えることにより、手づくり感を残した仕上げとしております。
一般的な木造住宅の場合、1階部分にも構造的な壁量を確保するために袖壁が設けられますが、敷地の間口が狭いと、車を留めたらその脇をカニ歩きですり抜けるように出入りしないとなりません。
そうすると日常生活が不便になるので、今回は構造的な工夫をし、その袖壁は設けていないのが特徴です。
また狭小住宅の場合、よく道路に面して玄関ドアが付いておりますが、子供の飛び出しや、玄関ドアを空けると中が丸見えになるとか、好ましい玄関構えではありません。
今回の計画では、玄関ドアを奥の方の脇に設けていることも特徴です。狭い敷地ながらも人の歩く距離を長くすることにより、路地の奥に惹き込まれるような、少しでも豊かなアプローチを造り出そうと考えました。
外壁のクールなイメージのシルバーメタリックに対し、玄関廻りは板張りとしました。その対比が「うなぎの寝床」という敷地特性ならではの、奥行き感を助長し、人が惹き込まれるような暖かみのある演出にもなっております。
ライトアップされたシンボルツリー『シマトネリコ』の成長が楽しみ。足元に植えられた『フッキソウ』の可愛らしさが、写真ではお伝えできないのが、残念です。

玄関

『うなぎの寝床』の玄関の様子です。
土間部分は、アプローチと同じ「豆砂利洗い出し」仕上げ。上り框の段差は、低く押さえられております。
正面には濃紺の越前和紙が貼られた下足入れ。足元は浮かせて、飾り棚としております。下足入下部には間接照明が仕込まれており、昼間は自然光、夜は間接照明へと趣が変わります。
飾り棚背面のガラスは、準防火地域なので通常なら網入りガラスなのですが、耐熱ガラスを使って網なしのガラスを使ったり、枠を見せない等の配慮もしております。
右手の白い収納扉の中は、下足入れとコート掛け。左手には淡いモスグリーンの越前和紙が壁面一杯に貼られ、扉を開けると納戸。狭小住宅でありながら、大容量の収納が備わっております。
来客時や寒さが気になる時は、引き込み障子を閉めることもできます。

玄関から見える風景

玄関を入って、右手を見た時の風景です。
1階レベルの左手に見える白いドアは、トイレの入り口。ワンフロア上がった中2階部分は、キッチンスペース。ワンフロア下がった半地下部分は、子どもスペース。トイレ下には、スペースを余すことなく床下収納を配置しております。
階段スペースを挟んで「向うのフロア」と「手前のフロア」とが互い違いになる構成です。
このようなスキップフロアの空間は、視覚的にも楽しく、この階段を視覚的にも機能的にも如何に生活空間に馴染ませるかがポイントとなる訳ですが、デザイン的なことだけでなく、重力(温度差)換気のスペースとしても活用することが可能です。
夏場は暖気が上昇し、最上階に設けたハイサイドライトから抜けて、家全体が涼しい空間に。
冬場は階段下に設けた蓄熱暖房機(深夜電力)の暖気が緩やかなに上昇し、家全体を暖めます。
最上階には天井扇が設けられ、天井に溜まった暖気が2階のリビングダイニングに落ちてくるようなサーキュレーションを計画しております。

キッチンスペース

中2階に設けたキッチンスペースの様子です。
中央には、長さ1.9mの作業台を設置。足元には、家電やゴミ箱などが収納されます。軽食や子供の勉強スペースなど、用途に多様性を持たせております。
作業台の背面には、大きな壁面収納も設け、豊富な収納量を確保しました。
正面には出窓を設け、明かりを取り入れる目的だけでなく、キッチンスペースに奥行きのある広がり感を演出しております。
キッチンは、作業台と共にオリジナルの製作です。
奥さま拘りのミーレの食洗器や、ハーマンのオーブンが組み込まれると共に、奥さまの使い勝手に合った収納計画もバッチリです。
吊り戸棚は、高い位置に付けると使い辛いので、低いところまで下ろして計画。キッチンより下がった位置にあるので頭をぶつける心配はないのですが、開き扉だと開いた際に頭をぶつけるので、スイングアップ/ダウンにするなどの配慮をしております。

スキップフロアのキッチン

キッチンから半階下がった玄関、半階上がったLDを見た様子です。
LDKをワンルームにする要望が多いのですが、奥さまは独立した広いキッチンスペースが欲しい、そのことによって、LDが広くなるなら、なお良し。ということで、このようにキッチンとLDとが半階スキップした空間になりました。
キッチンは、奥さまが一番長く居る場所。子供が帰ってきた様子も一目で分かります。
作業台を挟んで、娘さんとパンの生地を捏ねたり、餃子の皮を包んだり。夜は、ご主人にお酒のツマミを提供するのでしょうか(苦笑)
左手の窓は東面で、朝日が燦々と差し込む中、朝食も頂けます。隣地の緑も借景として取り込みました。

パソコンデスク

2階南側に設けたパソコンデスクを見た様子。
道路反対側には住宅が建ち並び、開放的に作っても、カーテン閉めっ放しになったり、対面する住宅に気を使うので、中間領域的空間(2階はエキスパンドメタルで覆われたバルコニー、
3階は壁で囲われたルーフバルコニー)としました。
窓側は、バルコニーと一体になった快適なパソコンスペース。
デスクの幅は2.15mありますので、お子さまと並び、ゆったりとした勉強スペースにもなります。
バルコニーは、エキスパンドメタルの吊り引戸が付いており、
日中は外の方が明るいので、向うから中を覗かれることはありません。
プライバシーを保つつ、光や風を取り入れながら、バルコニーや前面道路までをも中間領域として取り入れた構成になっております。これも都心狭小地で豊かに暮らすための工夫です。

吹抜け空間

2階パソコンスペースからLD越しに家全体を見通した様子。
奥に見える中2階はキッチンスペース、中3階は水廻りスペース、3階は寝室スペースです。
吹抜けを介して、2階と3階とがダイナミックに繋がっている様子が感じられます。
単に吹抜けを設ければ繋がるというのではなく、左手(北側)に設けられた造付家具や間接照明が、空間の一体感を生んでいるのです。
2階と3階の造付家具の扉には、越前和紙を貼っております。ちらの和紙は、超撥水という特殊加工をしております。結露やカビ対策といった和紙の通気性を活かしながら、防汚性が高く、水拭き可能な素材です。
和紙貼りの提案は、私どもの方から建主さんに提案したのですが、それをどう受け止めるかは建主さん次第。
私は少し派手な色合いのイメージをしていたのですが、建主さんが選んだのは淡いモスグリーン。明るく、落ち着いたもので、とても品のある感じになっていると思います。
本住宅は、準防火地域に建つ準耐火建築物。基本的には、柱や梁を表しにすることはできませんが、少し工夫し、表しを実現しております。
建主さんによる好みもありますが、都心狭小地では斜線制限により天井を高くすることが困難なため、梁を表しにすることは、天井を高くするための有効な手法にもなります。

水廻り空間

中3階に設けた水廻りスペースの様子。
2階から中3階への移動の際には、中2階のキッチンスペースを眺めながら上り下り出来ます。
入口ドアは、開閉時に邪魔にならないよう引き戸としおります。来客時は閉めるとして、普段は開けっ放して生活することにより、 空間に広がりを感じ、かつ風通しの良い家になります。
水廻りスペースからは、階段スペース、更に向うに2階のLD、
その更に無効に2階バルコニーが見通せます。見通せるということは、風の流れも良いということですね。
洗面台も、既製品ではなく、オリジナルの造作。間接照明だけでも明るさは十分です。
洗面ボウルは二つ、浴室の広さは1.25坪、狭小地に建つ住宅でありながら、贅沢な水廻り空間を実現しました。

階段

水廻りを出ると、半階下にLD、半階上に寝室が見えます。
LDの向うにはパソコンスペース、その向こうには2階バルコニーまで見通せます。寝室の向うにはルーフバルコニーがあり、半階上がるだけで洗濯物が干せるので、家事動線もスムーズです。
うなぎの寝床形状でワンルーム的空間とする場合、短辺方向に構造壁量が足りなくなるので、ブレースを活用し、解放的な空間を実現しております。
階段スペースを挟んで「向うのフロア」と「手前のフロア」とを繋ぐ剛床は、鉄骨階段の踊り場を活用しております。
木軸の踊り場だと、床が厚くなり、頭をぶつけてしまうからです。斜線制限により階高を押さえているので、こんなところにも工夫が必要でした。しかもスキップフロアなので難しかった!
踊場は鉄板の上にナラ材を載せているのですが、下から見上げた際にも木の表情を出すため、鉄板は穴あきとしております。
スキップフロアの空間を開放的に繋ぐには、階段の設計は重要です。階段を単なる移動空間として捉えるのではなく、吹抜けの一部として組み込み、横方向への広がりを生み、彫刻的に、そんな階段を目指しました。
人の動きとともに、光の取り入れ方や風の流れをも設計しました。

階段

水廻りを出ると、半階下にLD、半階上に寝室が見えます。
LDの向うにはパソコンスペース、その向こうには2階バルコニーまで見通せます。寝室の向うにはルーフバルコニーがあり、半階上がるだけで洗濯物が干せるので、家事動線もスムーズです。
うなぎの寝床形状でワンルーム的空間とする場合、短辺方向に構造壁量が足りなくなるので、ブレースを活用し、解放的な空間を実現しております。
階段スペースを挟んで「向うのフロア」と「手前のフロア」とを繋ぐ剛床は、鉄骨階段の踊り場を活用しております。
木軸の踊り場だと、床が厚くなり、頭をぶつけてしまうからです。斜線制限により階高を押さえているので、こんなところにも工夫が必要でした。しかもスキップフロアなので難しかった!
踊場は鉄板の上にナラ材を載せているのですが、下から見上げた際にも木の表情を出すため、鉄板は穴あきとしております。
スキップフロアの空間を開放的に繋ぐには、階段の設計は重要です。階段を単なる移動空間として捉えるのではなく、吹抜けの一部として組み込み、横方向への広がりを生み、彫刻的に、そんな階段を目指しました。
人の動きとともに、光の取り入れ方や風の流れをも設計しました。

寝室

階に設けられた寝室。
階段踊場から寝室を、その向こうには吹抜、スノコブリッジを渡った向うがルーフバルコニーといった具合に見通した様子です。
3階のルーフバルコニーから取り込まれた光は、3階だけでなく、吹抜やスノコブリッジを介して、2階のLDに明るい自然光が取り込まれます。

見通し

3階の見通しの様子。「うなぎの寝床」では、この『見通し』を大切に設計をしました。
建物間口3m強の細長い住宅です。その個性的な敷地特性を活かし、奥行きのある内部構成となっております。
3階のルーフバルコニーから吹抜けを、すのこブリッジを渡った向こうには寝室、更にその向こうには階段室、更に更にその向うにはロフトといった具合に見通せます。
床の広さ的には5畳ほどの小さな寝室ですが、さまざまな空間単位全体が繋がり、空間的には24畳ほどの広さに感じます。
階段室に設けたハイサイドライト、ロフトに設けたトップライトが、その奥行き感の演出に一役買っております。
ハイサイドライトやトップライトは、光を取り入れるだけでなく、最上階に上がってくる夏の暖気を外に逃がす役割もあります。
左手壁面は、全面収納。狭小地に建つ住宅でありながら、収納量はタップリです。この収納や間接照明の連続性も、空間の奥行き感を助長させております。
階段室の最下段(半地下)に設けた蓄熱暖房機(深夜電力)の暖気が、家全体を暖めながら緩やかに上昇し、吹抜け上部の天井扇によって2階のリビングダイニングに暖気を落とし、快適な温熱空間を実現しております。

ロフト

ロフトには、梯子ではなく、階段でゆったりと上がれます。しかも半階分なのでラクチン。
ロフトの天井高さは、1.4m以下と建築基準法上で決まっていたり、写真左手は、高度斜線の制限により壁が傾いていたり、ロフトへの入り口を床を一段下げて2段構成としているのは、ロフトへの出入りが窮屈になってしまうのを避ける工夫です。
半階下は、水廻りスペース。3階の寝室と、中3階に設けられたトイレとの関係が近いので、夜中に起きて、トイレに行く動線計画もコンパクトです。
ロフトに入る階段の踊り場(中4階)と、中3階に入る階段の踊り場との高さ関係が絶妙で、ストレス(頭をぶつけること)なく階段を上り下りできるギリギリの設定。難しかった!
ロフトに上がって、見返った様子。階段室越しに寝室、その向こうに吹抜け、すのこブリッジを渡ってルーフテラスが見通せます。
ロフトの天井には、トップライトが設けられ、明るく、風通しの良い空間となりました。