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敷地は南傾斜の住宅団地の北端に位置し、その北側には北傾斜の森が広がっている。
北側の森の木々は日差しを順行で受けて、美しい彩りを見せてくれる。また、北側の斜面は東から西に向かって急傾斜で下っているため、敷地から見た森の表情は一様ではない。北東側では近接する木々に包まれているかのようで、北西に向かうにつれて木々は眼下へと離れ、高台から森を見渡すような視界が開ける。一方、敷地南側は前面道路を挟んで、住宅が立ち並んでいる。
北側の森との関係性をより純化させるため、住宅街を遮るように、塀の如く立ち上がる「閾の間」を配した。一方、森との関係が単調にならないように、場面ごとの関係性を抽出して空間化し、箱に閉じ込めることを考えた。自然の山桜が立つ北東側には、山桜を丸ごと取り込むような背の高い大開口を持つ「水の間」を、眺望の開ける北西側は、風景を切り取った見晴らしの良い「森の間」を配した。森との関係をよりドラマティックに体感できるように、その中間に「光の間」を配している。「光の間」は、森との関係を近景の枝葉に限定的なものとして、南からの日差しとの関係を強調している。その「光の間」への十分な採光を確保するため「閾の間」は床を地面に埋めて建物高さを抑えている。また、「閾の間」が塀となることで、南側の大開口を気兼ねなく全開にすることができる。建物中心部に位置する「空の間」は外部空間でありながら、室内のスケール感で計画している。「閾の間」に守られていることで安心感と開放感を兼ね備えた空間となっている。「閾の間」は南側を塞ぎ、床を下げることで、他の空間には無い落ち着いた静けさのある空間となり、「森の間」へと歩みを進めることで劇的に空間が変化する。
周辺環境との選択的な関わりから導き出された多彩な箱が、それぞれ補完し合いながら円環状に連続することで、変化に富んだ豊かな集合体としての空間を構成している。