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都心に住む夫婦の週末住宅として、またリタイア後の終の住処としての計画である。老後を考え起伏が少なく気候が温暖な南房総の山間に位置する田園の敷地が選ばれた。
最初に敷地を訪れた時に、南に流れる水路の土手一面に咲く草花、その土手越しに広がる田圃、背景に遠景の山並みという四季折々に豊かな表情をみせるであろう風景の構図に強い印象を受けた。これを十分に生かすために床面を田圃の高さまで持ち上げ、風景を大開口で切り取る構成が瞬時に決定した。開口を決定付ける庇高さを現場で慎重に調整して切り取る風景を決定した。庇がつくり出す深い陰影との対比によって、庭先、土手、田圃、そして遠景の山並がより鮮やかな色彩となって映し出される。
来訪した近隣の住民が「普段何気なく見ている風景がこんなにも美しいものだとは知らなかった。」と感動していた。この建築によって人と風景との関係をリセットし、その場に埋もれていた価値を再発見できたとすれば設計者として喜ばしいことである。