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設計、監理を担当
60代のご夫婦のためだけの住宅です。
去年の春、弊社設計の住宅が掲載された雑誌「東京の若手建築家と建てる家」をきっかけにお問い合わせを頂き、家づくりが始まりました。家づくりを始める前は、マンションを購入し、リノベーションで検討されていたようですが、やはり何かが違うと、限界を感じられ、自分たちのライフスタイルに合わせた生活の器をと、一念発起し家づくりに至ったそうです。やはり、ご年配の方ほど既製の生活の器は窮屈に感じられると思います。
敷地は数年前に区画整理された新しい街並みと新しい建物が立ち並ぶ周辺環境。そこに新しい二人だけの住まいをご要望されました。最初にイメージしたのは区画整理された街並みに対して呼応するべく、整然としたファサードと佇まいと、限られた敷地の中で展開する合理的な秩序のあるデザインでした。そこでまず、平面計画としては大まかに建物間口を3分割、奥行方向を2分割し、各階それぞれ大きく6つの区画を軸に生活の機能をプロットしました。道路側の中央の1、2階の区画は中庭とし、各スペースへの通風、採光を担いながら、内部と連続した壁や窓を設けることにより、「吹き抜けのある部屋」、あるいは「天井の無い部屋」として視覚的には内部空間として計画しました。
2階の隣接しないように分けたご夫婦それぞれの寝室は、この部屋のような中庭を介して「続き間」のように繋がり、時には離れたり、住まい手の距離をコントロールすることが出来ます。
2階のファサードにはこの「続き間」としての設えが同一の窓を連続することにより表れています。
引き渡しの際にお施主様からお話しがあったのですが、家づくりのタイミングは人それぞれではあるが、この時期だからこそ今までの生活を一旦リセットして余生を楽しめるとおっしゃっていました。